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映画

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2021年4月の記事一覧

ファルコン&ウィンターソルジャーの感想(ネタバレあり)

観る前はアベンジャーズの中でも若干地味な2人のバディものという事で(失礼)、そんな本編に絡まないミニシリーズなのかなぁ位の気持ちで、あまり期待せずに観始めたのだけど、結果的にはなんでもありのMCUの世界の中で僕らと同じか、それ以上に力無き人々に寄り添った視線の超重要な大傑作に仕上がっていた。 個人的には単体の作品だとMCUの中でもトップ3に入る位好き。 力無き人々の目線前半はこれまでMCU世界の中の大きな闘いの中で、ある意味ないがしろにしてきた人々の目線で話が進んでいくの

ボーン・アイデンティティー

鑑賞時の感想ツイートはこちら。 2002年のアメリカ映画。記憶を失った男「ジェイソン・ボーン」を巡るサスペンス・アクション作品で、後に続く「ボーン」シリーズの第1作です。原題 "The Bourne Identity"。 原作は、ロバート・ラドラムの同名スパイ小説 (邦題『暗殺者』)。主演は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、『リプリー』、『オーシャンズ11』のマット・デイモン。監督は『Mr.&Mrs. スミス』、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のダグ・リーマン

ノマドランドがアカデミー賞の作品賞を受賞! 監督賞、主演女優賞(フランシス・マクドーナンド)も獲得するなどの快挙ということで、納得の受賞。

Amazonプライムで観られるアカデミー賞作品、4選!

いよいよ、アカデミー賞の発表がありますが、今年の特徴としてはやっぱり動画配信の作品が多いこと。 緊急事態宣言も出て、東京や大阪は映画館も閉まってしまうという悲しいGWを迎えそうですが、映画ファンとしては動画配信に頼ることになりそうです。 そんな中で観ておきたい、Amazonプライムビデオで鑑賞できる今年のアカデミー賞ノミネート作品を、今回紹介したいと思います! 『サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-』 「SOUND OF METAL」 2019年 アメリカ 

街の上で

東京に住んでいた頃によく行っていた街、下北沢を舞台にした 映画『街の上で』を観ました。 日常系のストーリーで、出演者一人一人を実に丁寧に魅力的に撮られているなぁと思う映画でした。 役者でもありませんがこの映画に出たいとかこの人に撮ってもらいたいとかいう気持ちが分かるような気がします。 一緒に見に行った妻に劇場を出てどうだった?と聞くと 「「好きなの?」とか「好きやわ」とか多かったなぁ。  シモキタ行きたくなったわ。クスッと笑えるな」 と私よりはテンション低めだ。こないだ観

人斬りの苦悩と姉を斬られた怨嗟

今日は映画を観よう考えていました。きっと感想を聞いたら、観に行こうという気がなくなってしまうかもと思ったからです。 その映画がこちら 日本転覆を企てた志々雄真実との死闘を終えた剣心たちは、神谷道場で平穏な日々を送っていた。そんなある日、何者かが東京中心部を相次いで攻撃。やがて剣心は、ある理由から剣心に強烈な恨みを持つ上海の武器商人・縁との戦いに身を投じていく。(映画com解説から抜粋) 原作では最後のエピソードとなる「人誅編」をベースに、剣心の十字傷の謎を知る上海マフィ

この心地良さは何度も観たくなる。映画『街の上で』

『愛がなんだ』(2019年)、『アイネクライネナハトムジーク』(2019年)、『his』(2020年)、『あの頃』(2021年)などコンスタントに新作映画を撮り続けている今泉力哉監督の新作『街の上で』が、4月9日から公開されている。本来は2020年の5月に公開される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響によって延期しており、ようやく公開を迎えることができた作品だ。下北沢を舞台に一人の青年の日常と女性達との出会いを描いた物語で、『愛がなんだ』にも出演していた若葉竜也が主演

ワンス ダブリンの街角で

あらすじ: ダブリンの街角で毎日のようにギターをかき鳴らす男は、ある日、チェコ移民の女と出会う。ひょんなことから彼女にピアノの才能があることを知った男は、自分が書いた曲を彼女と一緒に演奏してみることに。すると、そのセッションは想像以上の素晴らしいものとなり……。 音楽は、人と人を紡ぐ。 ダブリンの街角で男は歌い、通りがかった女は男の奏でる音楽に惹かれる。 女はピアノを男の前で紡ぎ、男は女の奏でる音に惹かれる。 男と女は、自己紹介がない。 名前が無いのだ。 音楽で繋がっている

21ブリッジの感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。 レイトショーがない&名探偵コナンの新作の影響で、こういう渋めな作品は変な時間にしかやって無くてハシゴは無理だった。 流石のルッソ兄弟印ルッソ兄弟プロデュース作品。 監督作の「キャプテンアメリカウィンターソルジャー」や、こないだのプロデュース作品の「タイラー・レイク」にも通じる「敵も味方も信じられない中で主人公が自分の中の正義を貫き通す話」が好きなんだろうなぁと改めて感じた。 主人公は父親をなくした過去から犯罪者を憎んでいて、すぐに射殺する男み

背景を知るともっと面白くなる イラン映画の深いところ

سلام. 友人と家で会うときは決まって映画鑑賞。そして、ポップコーンの代わりになるのは決まって塩味の効いたカボチャの種。こんな平和な1日を何度も過ごしてきたんだ。 イランでは、劇場で海外作品が放映されることはまずない。しかしその反面、国内作品が非常に充実しており、年間100本以上製作され、放映されるほどの超映画大国なのである。 イランで知り合った中国出身の友人は、イラン映画のファンであることを社内で口にしたことをきっかけに、テヘランへの赴任依頼が来たそうだ。日本語字幕

映画『ノマドランド』のパンフレットない問題

アカデミー賞も近づいてきまして、その大本命ともいえる『ノマドランド』も日本で公開されました。 現代のノマド(漂流民)を描いた作品で、マジックアワーの映像の美しさと社会問題が融合されたなんとも美しい映画です。 ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞した作品で、アカデミー賞の大本命作品です。 今回はこの作品がアカデミー賞の本命作品でありながらパンフレットが作られていない問題についてnoteを書いてみたいと思います! サーチライト・ピクチャーズとは映画『ノマドランド』の配給会社は

チャップリンの映画をはじめて観た日。

ある日友達と行ったバー。まだこの状況になるもっと前の頃。 友達の知り合いのひとがお店をしていてその方が、とても歌がうまいと言っていて行ったんだけど、先客がいて無言のチャップリンを見ながら、お酒を飲んだ。 無言なのにこんなに面白いんだって知った。 2軒目でなんとなくお酒も入っていたりもしたけれど。 ただただ友達と釘付けだった。 みたことはない人は是非! こんな状況が終わったならば…。 また行きたいなそのバーも。 お酒も飲みに行きたいし。 何も気にせず楽しいこと

格差社会の犠牲者か?新たな生き方の幕開けか?『ノマドランド』が投げかける人生の在り方

3月26日から公開されている映画『ノマドラント』。アメリカの路上で暮らす車上生活者たちの生き様を描いた本作は、第77回ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を獲得、第45回トロント国際映画祭では観客賞を受賞するなど高い評価を獲得しており、第78回ゴールデングローブ賞でも作品賞や監督賞を受賞、第93回アカデミー賞で作品、監督、主演女優など6部門でノミネートされるなど、世界中の映画賞を総ナメにしてるといっても過言ではない作品だ。筆者も鑑賞したが、これだけの賞を受賞するのも納得

ノマドランド

あらすじ:リーマンショック後、企業の倒産とともになくなったネバダ州の企業城下町エンパイア。ここに暮らしていた60代の女性ファーンは長年住み慣れた家を失ってしまう。彼女は、キャンピングカーに最低限の生活必需品を積み込み車上生活『現代のノマド』として生活をはじめる。 今作品は今のアメリカを映す鏡だ。主人公であるファーンが住んでいたネヴァダ州エンパイアは米国石膏社(USG)の古典的な企業城下町だった。サブプライムローンの崩壊によりコストを削減し、効率の悪い事業を閉鎖。エンパイアは