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映画

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2024年2月の記事一覧

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シアター・イメージフォーラム2024/02/24

【感想ではなく記録のための雑文】1月に観た映画8作品(2024/1/1~2024/1/31)

遅くなったけど、今年もやろうと思います。昨年からはじめた視聴した映画の記録です。 本を読むのは実はあまり得意ではないので、映画を観ようという流れです。 アマゾンプライムは月600円。月6本観たら元を取った気分になれます。最近はファーストガンダム(アムロが出るやつ)からの銀河英雄伝説にハマっており、とりあえずの元は取っている気がしています。 例によってアウトプットする準備は一切なく書いています。観てない人から見れば(観た人もかも)意味不明かもしれません。 どうぞすっ飛ばしてくだ

【この世は不安と怖いモノだらけ】映画『ボーはおそれている』感想

まさに3時間の悪夢。『ボーはおそれている』は2月16日から公開されている映画だ。 監督は日本でも話題となった『ミッドサマー』、『ヘレディタリー 継承』のアリ・アスター監督。主演『ジョーカー』などで知られる名優ホアキン・フェニックス。 アクの強い両者がタッグを組んだということで公開前から話題になっていた作品だ。自分が鑑賞したのは公開初日のレイトショー。116席に対し客入りは7割程度、男女比は6:4くらい。 大学生くらいのグループがきていて「いや~来たくなかったのに来ちゃった

「哀れなるものたち」

今年のアカデミー賞で5部門を受賞したヨルゴス・モンラティス監督の「哀れなるものたち」を観てきました。あの容赦ないエグさが大好きで「ロブスター」「聖なる鹿殺し」「女王陛下のお気に入り」の次とあり期待して見にいってきました!周りの評価も凄かったのですが、私個人としてはイマイチでした。多分、ストーリーの途中から事実が徐々にわかってくるというミステリアスさがなかったからかも。カズオ・イシグロの「私を離さないで」みたいなエグい展開。 次回作はモランティス監督は韓国映画が公開とか。エグい

热辣滚烫。中国で公開された「百円の恋」のリメイク作品映画がヒットし過ぎで社会現象に。ネット民の考察が興味深い

中国は旧暦新年(春節)で大型連休の真っ最中です。ボクもすっかり休み気分で、noteの更新を怠けておりました。 春節の話題といえば、爆買いにインバウンドで来る観光客の報道が日本ではいつも話題かと思いますが、コロナも収まっている時代にもかかわらず今年の中国から日本への旅行者はあまり多くはなかったようですね。 一方中国国内では、帰省での激混みや旅行の盛況はもちろんですが、文化面では映画がネットで大きな話題となっています。春節シーズンに合わせて多くの話題作が公開され、興行ランキン

【この神秘性は色褪せない】映画『ミツバチのささやき』感想

土曜日に映画館で『ミツバチのささやき』を観た。 『ミツバチのささやき』は今から50年も前に公開されたスペインの映画だ。映画好きの間では「生涯の1本」として選んでる人もいるほど名作として名高い作品でもある。 監督はスペイン出身のビクトル・エリセ。 この監督、とても寡作な方で1969年の長編デビュー作から2023年までに長編は3本しか撮っていない。 その監督の31年ぶりの新作『瞳をとじて』が2月9日に公開された。その公開に合わせて『ミツバチのささやき』もリバイバル公開されてい

【これぞフランス産エンターテイメント】映画『ジェヴォーダンの獣』感想

18世紀のフランスを震撼させた謎の生物「ジェヴォーダンの獣」にまつわる伝説をもとに描かれたアクションミステリー映画『ジェヴォーダンの獣』。 日本では2002年に公開されたが22年経った今年4Kレストアされた映像のディレクターズ・カット版が公開されたので観に行ってきた。 「ジェヴォーダンの獣」とはフランスで実際に起きた怪事件。 18世紀のジェヴォーダン地方で女性や子供ばかりが謎の生き物に襲撃される事件が起きた。被害者数は3余年あまりで100人以上。だがその正体は謎に包まれ

【ネタバレ有】映画鑑賞記『ファイアバード』

2/9劇場上映開始されました。 あらすじ 舞台は旧ソ連のエストニア軍。 同性愛は、5年以上の強制労働収容所送り(環境や気候が劣悪であり、「労働」とは名ばかりで事実上の「死刑」)という、ゲイには過酷で、規律も厳しい縦社会の中。 パイロットで将校のロマンと、二年間の義務兵役を間もなく終え故郷に帰る日を待ち望んでいる二等兵のセルゲイは、密やかに愛を育むが、時代・社会ゆえにカップルとして一緒に暮らしたり、公の場に姿を現すことは許されない。互いに「何もなかったことにしよう」「

【まるで実写版ナウシカ!!】映画『VESPER ヴェスパー』感想

生態系が破壊された地球を舞台に絶望的な世界から抜け出そうとする少女たちの生き様を描いたSFファンタジー映画『VESPER ヴェスパー』。 この映画、観たいと思っていたものの2回ほど観る機会を逃していて(1回はチケットを購入した後だったので悔しかった)。 だから上映最終日ギリギリに観に行くことができて良かった。 そこまでして観に行きたかった理由、それは本作を実写版『風の谷のナウシカ』と評する感想をいくつも見かけていたから。 『風の谷のナウシカ』は日本を代表するアニメーシ

映画 「Wish」感想つらつら。

今年は、ディズニーが世に誕生してちょうど100周年の年にあたるそう。 公開前から「ディズニー100年の集大成」と銘打って宣伝された、「Wish」。 駅に予告のポスターが掲示されていたり、グッズがコラボされたりしているのを見かけ、広告にもかなり力を入れている様子がうかがえた。 さあ、どんなものを出してくるんだろう、と気になっており先日ようやく観に行くことができた。 〜ここから じゃんじゃんネタバレに繋がることにも言及していきます。ご注意ください。これから観にいかれる予定の

SF好きなら『ラ・ジュテ』を観て欲しい!!

『ラ・ジュテ』とはクリス・マルケル監督によって1962年に公開されたフランス映画。近未来、廃墟のパリを舞台に世界を救うために過去と未来へ"タイムトラベル"する男を描いたSFだ。 特徴的なのが動画ではなくモノクロ写真とナレーションで展開されるという点。 タイトルにもある通り、この記事は『ラ・ジュテ』をお薦めする記事だ。 本作は特にSF作品が好きな人に全力でお薦めしたい。それもできるなら今のうちに。今お薦めする理由は3つある。 ①YouTubeにて無料公開中だから。今現在

ゴンドラについて

Amazonプライムを契約してから、知らなかった映画をちょくちょくみるようになった。 今日見たのは、「ゴンドラ」という映画。 僕が生まれたのとほぼ同時代に、日本で制作されたインディーズ映画。 監督さんは、この映画を自主制作するのに借金を背負って、AV監督になり、今じゃ巨匠的な扱いらしい。しかもSM作品の。 なんだそれ。すごい話だ。 都会に生きる少女と青年の出会いから、虚ろな世界が動き出す様を、静かに描いていて、心に染み入った。 俺の田舎じゃさぁ、死んだもんは海に帰るって

哀れなるものたち 受け継がれる母と娘の意思

 『哀れなるものたち』は、多くの人が語っているように、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を骨子にした作品だ。さらに、『フランケンシュタイン』の作者であるメアリ・シェリーやその母であるメアリ・ウルストンクラフトの人生を重ね合わせて、という複雑なレイヤーを持った構成になっていて、原作者アラスター・グレイは間違いなくメアリの母娘のことを書いているだろうし、ヨルゴス・ランティモスも、いまこの時代にこの作品、ということで意識しているように思える。  自分はフェミニズム史には

映画とファッション|衣装からみた映画「ゴールデンカムイ」

映画「ゴールデンカムイ」、見ました? めっちゃよかったですよね。ゾクゾクしました。 登場人物が現れるたび「うわー、土方歳三きたー!」とかひとりでキャーキャー思いながら観てました。 さまざまな角度から映画「ゴールデンカムイ」については語られていると思いますが、ドレスをつくる仕事をしているわたしはやはり、「衣装」の面から映画「ゴールデンカムイ」のすごさをみてみたいと思います。 また、博物館学芸員資格を学ぶわたしは、今までゴールデンカムイやアイヌに関連するさまざまな博物館展示