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参加サークル:白白明けで待ち合わせ

文学イベント東京 参加サークル 「白白明けで待ち合わせ」の紹介ページです。

「白白明けで待ち合わせ」は、夜をテーマにした不束百(ふつつか もも)様と藍沢紗夜(あいざわ さよ)様の合同サークルです。文章・イラスト・デザインなどの一次創作をされています。


■ 合同誌『夜を辿る』

「真夜中から白白明けまで」をイメージした、不束百と藍沢紗夜の合同詩集。全6作の散文詩を収録しています。

Contents
二十四時 真夜中の始まり——藍沢紗夜
一時   未明に浸る  ——不束百
二時   永い夜    ——藍沢紗夜
三時   明星は未だ  ——不束百
四時   薄明のなか  ——藍沢紗夜
五時   ひかりを抱く ——不束百
あとがき


合同誌『夜を辿る』にはこちらの栞がセットになっております。



■ 散文詩集『夜想』 


孤独な夜のための幻想散文詩集。

2018年~2021年までにTwitterに投稿した作品の中から厳選した29作品+書き下ろし7作品を収録しています。
過去に電子版を発行した『夜想 完全版』を製本用に編集したものです。

表紙イラスト:不束百

「星空のデザート」
 ブルーベリーチーズケーキに星空を見た。 あれはデネブ、あれはベガ。じゃあアルタイ ルはきっとこれ。さそり座が狙うチョコレー トはホワイト、食べられちゃう前にフォーク を刺した。ふわり広がる甘味は、星になった あの子の形見。零れ落ちた涙はたぶん、いつ かの夏に見つけた流星の生まれ変わりだね。

「夜は海」
 深海と浅瀬の狭間で彷徨っている、夜は海 だ、他のいきものの姿は見えず、気配だけが 漂う。溺れることも沈むことも出来ず、ゆら ゆらと波に揺られる。鈍った音が耳を撫でて は去っていく。目を閉じれば光が見つかる気 がした。君の名前を呼びたくて、繰り返し思 い出している、あの日の背中と最後の言葉だ け。



■ 「ゆめのかけらたち」 400円


悩みながら、戸惑いながら、喪いながら。それでも生きていくための掌編小説集

過去に Web掲載した青春小説、純文学風、童話風など全11 編の掌編を加筆修正し収録、未公開作品も加えた自選掌編作品集です。1万字以下のお手軽に読める作品を集めました。


 花が散る前に、一つ
 花は、いつか散るからこそ美しい。最初にそう言ったのは、誰だったのだろう。
「 晴之さん、こっちこっち」
 華奢な手で僕の手を引いて、円花はこの博物館の奥、鉱物が展示された場所に足取り軽やかに歩いていく。
「そんなに急がなくても」
「だって、早く情之さんに見てほしくって。ほら、綺麗でしょ? 自然の中でこんなに素敵なものが創り出されるなんて、なんだか 神秘的よね」
 円花は腰を屈めてその水晶を覗き込んだ。
 僕は、得意げにそう語る彼女の横顔ばかりが気になって、水晶ではなく、隣の彼女をじっと 見つめてしまう。
「綺麗だ」
「でしょ? ・・・・・・って、晴之さん、どうして私を見てるの。展示を見てよ」
「うん、見てるよ、 ちゃんと」
 本当に? と不満げに頬を膨らます彼女の耳が、ほんのりと色づく。それがなんだか可笑し くて、僕はふっと笑みを漏らした。
 ふと、円花が体を起こして立ち上がると、おもむろに僕に背を向け、数歩歩いてから立ち止 まった。
「・・・・・・晴之さん。私がいなくなっても、どうか思い出してね」
「な、なんだよ急に」
 円花は振り返って、儚げに微笑む。その姿が段々と薄れて、靄が掛かるように視界がぼやけていく。
 手繰り寄せるように手を伸ばして、名前を叫んだ。
「円花……!」

 伸ばした指の先に、見慣れた天井があるのに気付いて、僕はようやくこれが夢だったと気付 いた。
「また・・・・・・同じ夢・・・・・・」
 体を起こすと、仏壇の上にある、笑顔の妻の写真と目が合う。
 円花は、二年前の結婚記念日前日、僕と二人の幼い息子を残し、交通事故で亡くなった。職 場に行く途中でのことだった。
 何かを訴えたいのだろうか、なんて邪推してしまうほど、近頃よく、この夢を見る。学芸員 だった円花の職場である博物館に、二人で出掛けたときの夢だ。



■ ポストカード(3種類)

「思考の海に沈む」 不束百


「最高純度の幸福な悪夢」 不束百


「夜想」 不束百


合同誌『夜を辿る』(栞つき) 500円 
「散文詩集『夜想』」 500円 
「ゆめのかけらたち」 400円
「ポストカード」(3種類) 100円
は、文学イベント東京 販売予定作品です。

参加希望者(WEB作家さん・イラスト描きさん・漫画家さん)は以下でチケットを購入ください。


遊びに来たい方、作家の作品を買いたい方はこちら。


よろしければ、作品の自費出版の費用にさせていただきます。