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とても暗くて憂鬱になる超短編小説⑦

善悪の判断

悪人は処刑されて善人だけが生き残った
しかしまた善人の中から悪人は現れて
善人だった悪人が処刑されてゆく
その繰り返しだった
それからこの世界は
1人の悪人も出さぬよう
些細な違反にも
目を光らせた

少しの罪さえ許されず
違反者は
次々と処刑されていった
残された住民はビクビクしながら
法律を遵守し
清廉潔白に
日々を過ごしていたが
もしかしたら
冤罪で殺されるんじゃないかと
夜も眠れないほど不安になり
やがて気が狂う人がでてきた
気が狂った人たちは発狂しながら暴れ
やがて戦争になった

この戦争は
もはや何のため
なのかも分からずに
人々は殺し合いをし
この国の住人は
誰一人生き残らずに
皆 悪人になって
死んでいった。



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