僕と雀とアスファルト、それから蟻と……
その日は休日だった。
確か朝の9時ぐらいに目が覚めた。ゆっくり朝ごはんを食べてからランニングに行くことを思いついた。いつもは夜にランニングに行くことが多いのだが朝から行くなんて……贅沢な時間の使い方だなと思って即実行に移すことにした!朝ごはんを食べてから少し時間をおいて、ゆっくりとランニングの準備をした。
準備が整い!いざ、ランニングへ!
いつものルートを元気よく走る‼︎夜とは違い周りの景色もしっかり見える‼︎何より朝日が体にしみて、とても心地よい!いつもより足が軽い!自然とペースも上がっていった。
突然、僕は足を止めた。
雀が死んでいた。
冷たいアスファルトの上で……。
少しの間思考が停止した……。なぜかわからないが、一度背を向けてしまったことを覚えている……。
もう一度向き直してしっかりと雀を見た。綺麗だった。寝ているようだった。けど、ピクリとも動かない……止まったままだった。
意を決して、その雀を手ですくった!持ち上げたその瞬間目に入ったのは……少量だがたしかに雀から流れたのであろう固まった血と雀にたかる数匹の蟻たちだった!
雀を近くの土と草が生えた場所にそっと置いた……。
なぜそんなことしたのかって……アスファルトの上でなんて……硬いし、ザラザラだし、可哀想だと思ったからそうした。
多分、この雀を見つけたのが夜だったら僕はこんなことしなかったと思う!
ただの気まぐれ!偽善かもしれない!けど、その瞬間の僕はそんな行動ができる心の状態だったんだ‼︎偶然だ!そう……たまたまだ。
僕はまた走り出した‼︎
タッタッタッタ‼
ドクン、ドクン‼
タッタッタッタ、タッタッタッタ‼
ドクン、ドクン‼ドクン、ドクン‼
速度がさっきより速くなっていた‼︎
突然の死に触れたことで僕の心(命)が条件反射で訴えてくる‼︎
生きてる!生きてるって‼︎
次第に速度を落とし、最後にはランニングではなくジョギングになっていた……。
考えてしまったのだ……自分の足の下に蟻がいたらって……。
結局、足元に注意しながらゆっくり歩いて家に帰った。
先週の土曜日の僕へ
偽善と言われてもいい、その瞬間のたしかな僕の優しさに言葉を送る……。
「偉かったね」と……。
読んでいただいてありがとうございます。面白い作品を作ってお返ししていきたいと考えています。それまで応援していただけると嬉しいです。