心の病のカミングアウト

心の病については気軽に公言するようにしている。僕の場合は現在病気ではないからだろうか。別に隠すことでもないしとも思うし、不利な立場に立たされることはないだろうと楽観的に考えているところもある。むしろメンタルの不調と付き合いながらうまくコントロールしている僕のやり方を公開することで、それが役に立つ人もたくさんいるのではないかという期待もあったりする。

カミングアウトというと最近ではセクシャルマイノリティに関する話題が多いように思う。多様な意見の中には、カミングアウトの必要がない社会を理想とする意見もある。それは心の病も同じだ。自分は心の調子をくずしやすい傾向にあるので配慮してくださいとは言いづらい。今日は調子が悪から休みます。そう言えたらどんなに楽だろうか。

母は僕が心の病を公言することを不安がっていた。就職に不利になるというのがその理由だ。就職だけじゃない。世の中には心の病に対する偏見は根強い。それでもカミングアウトする背景には、許容をしてもらうという思いがある。それは甘えとは違う。普段はできていることができない日というのがある。相手がこちらの事情を知らないのであれば、嘘をつかなければならない。嘘をつくことはストレスがたまる。ストレスは心の病にとっては大きな敵だ。

ただ、相手のことを考えずにカミングアウトするというのは身勝手だとも思う。カミングアウトされたほうは、どうしていいかわからないだろう。僕がかつて心の病を患っていたことを公言するときには、それでもうまく対処できているから大丈夫だよというメッセージも添えるようにしている。人は急になにかが起こっても対処のしようがない。リスクがあるのであれば事前に知っておきたいと考えるだろう。そういう相手には自分の状態を伝えておくことが有効だと思う。偏見を持たれることなく受け入れられるといいのだけど。

起業して自分で会社を経営していると、就職で不利になることはない。けれでもクライアントからすると仕事を任せても大丈夫なのか不安になるかもしれない。ここで、コントロールができているということがポイントとなる。メンタルの不調におちいったことのない経営者が急に調子をくずしてしまうと、その対処法がわからないだろう。一方で僕はメンタルの調子が悪くなりそうなときに事前に察知ができるし、調子が悪くなったときの対処方法も知っている。仕事を依頼する側としてはどちらがリスクが低いだろうか。

日本人は体調が悪くて休むときに、頭痛の様子だとか細かく説明しがちだという意見があった。海外では体調が悪いので休みますというだけでいいのだそうだ。こと細かに説明をするというのはハードルが高い。カミングアウトすることで状況を知っておいてもらうというのはひとつの手ではある。ただ、どんな状況であっても、調子が悪いといことを受け入れてもらえればいいだけだ。カミングアウトしやすい社会ではなく、カミングアウトが必要のない社会になればいいなと思う。

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