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洞窟遭難救出を通じて欠乏した自分への信頼を取り戻す - 映画「The Recue」を見た話

タイ洞窟遭難事故の舞台裏を描いたドキュメンタリー映画「The Rescue」を見た。映画「Free Solo」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を受賞したエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チンによる長編。


同じサッカーチームに所属する少年12人とコーチが洞窟に閉じ込められ、その後救出された物語は誰もが知っているニュース。ただその詳細は全然知らなかった。救出作戦に投入されたのはタイ海軍特殊部隊や米軍特殊部隊。ただ屈強な彼らには洞窟ダイビングを伴うミッションを、安全に遂行するスキルがなかったのだった。


そこで呼び寄せられたのは、誰もがやる意味を疑うマイナースポーツに興じ、社会性に乏しく、時には偏屈な英国人のおじさんたちだった。チームスポーツが苦手で、いじめられた経験もあり、欠乏した自分への信頼を取り戻すために、誰もいない静かな暗闇を人知れず潜っていたケーブダイバーたち。そんな彼らが団結して、閉じ込められた13人を救ったのだった。英雄たちにこんなことを書くのもなんだが、ちょっと映画「アルマゲドン」みたいな展開である。


タイ海軍が保有していた門外不出の87時間にも及ぶ非公開のフッテージと再現映像、関係者へのインタビューを組み合わせて構成された本作は、その繋ぎ目が曖昧で息苦しくなる。エキストリームな環境での撮影に慣れている両監督とは言え、水中の撮影は「Free Solo」の時よりもチャレンジングだったに違いない。

本作はDisney+で配信中。


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140文字の文章ばかり書いていると長い文章を書くのが実に億劫で、どうもまとめる力が衰えてきた気がしてなりません。日々のことはTwitterの方に書いてますので、よろしければ→@hideaki