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量より質と言うけれど・・・

年末が近くなったこの時期は、ただでも忙しいのに、卒論・修論に関する研究も最終段階なので、より一層忙しさが増します。卒論・修論を提出予定の学生さんたちは、焦った様子もなく余裕があるみたいですが、指導する立場の私などは「このままで研究結果をまとめられるだろうか?」と胃が痛む思いです。

研究結果をまとめるためには、数多くの実験やシミュレーションが必要ですが、”効率を重視する”学生さん達には、なかなか理解してもらえません。よく聞く慣用句に「量より質」という言葉があります。これは、量の多さよりも、一つひとつの質が高いことが大事だという考え方です。また、やみくもに量をこなすよりも、質の高さを追求するべきだという文脈でも使われます。もちろん、質が高いに越したことはありませんが、その質の評価は難しく、必要最小限の量というのも最初から分かっているわけではありません。

何か新しい発見のためには、やはり、ある程度の量は必要です。はじめから質を求めようとしすぎて、量を積むことを軽視すると、新しい発見や気づきはありません。特に新しい研究では、答えがあるかどうかも分からない場合が多いので、駄目なやり方(失敗)を数多く経験し、正しい研究方向を嗅ぎ分ける嗅覚を鍛える必要があります。

人間は、論理性や合理性だけで質を判断できるほど万能ではありません。研究は高尚でカッコいいと思う人も多いかもしれませんが、実際は泥臭くて地味な仕事です。自分の限られた知識の中で、近視眼的に質の良し悪しを判断していないか、自分に問いかける姿勢は常に持ち続ける必要があります。

結局、”量を経験した人にしかわからない質”というものがあるのです。

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