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♨漫遊記#4 泊まれなかった浅虫温泉

 やっと本州に渡ってきました。ルール違反かもしれませんが、今回は行ったことがない温泉の話です。

 浅虫(あさむし)温泉は、青森県青森市浅虫にある温泉です。夏には海水浴、冬にはスキー、さらには水族館や遊園地などのレジャー施設も兼ね備えた観光地として賑わい、”東北の熱海”や”青森の奥座敷”などと呼ばれているそうです。

 30年近く前の話です。8月の初め頃、東北での地熱の調査が終わったので、青森に”ねぶた祭”を見に行くことになりました。調査現場から、青森市内のホテルを探しますが、さすがに時期が遅すぎて、ホテルはどこも満室でした。どうしたものかと考えながら地図を見ていると、青森市の近くに浅虫温泉という字が見えました。青森市内は混んでいても、少し離れた温泉なら部屋が空いているかもしれないと思いました。しかし、誰も考えることは同じで、浅虫温泉も旅館はどこも満室でした。残念ながら、浅虫温泉には泊まれませんでした。

 このままでは野宿しかない!?と思った時、いいアイディアが湧いてきました。”寝台列車に乗ればいいじゃないか!”。次の日、青森についた後に、東京行の寝台列車を予約しました。私が寝台列車に乗ったのは、その時が始めてでした。

  泊まるところがやっと確保できたので、お目当ての”ねぶた”を見に行きました。その時は小雨交じりの生憎の天気で、夕方からはかなり冷え込みました。繁華街のビルにあった温度計は、真夏なのに14℃を掲示していました。しかし、ねぶたの山車は綺麗で、跳人(踊る人)も元気よく「ラッセーラー」という掛け声をかけながら飛び跳ねていました。

 踊っている人たちは温まるでしょうが、見ているだけでは寒さが応えます。一通り祭りを見物した後、居酒屋に直行しました。「熱燗下さい!」と、真夏ですが熱燗を注文しました。お酒はすぐに出てきたので、一口飲んで生き返りました。こんなうまい日本酒は久しぶりでした。日本酒を結構飲んだ後に、寝台列車に乗ったので、その夜はぐっすり眠ることが出来ました。目を覚ますと、東京の近くまで来ていました。


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