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ムダに教養がつくかも知れない不定期な雑学講座の連載(講義中は寝ないこと)~世界宗教の基礎知識3「キリスト教」をひもとく 第2講「旧約聖書」の世界 その4

出エジプト記=エクソダス

「創世記」につづくのは
「出エジプト記(Exodus)」とよばれるシリーズです。
ここでの「主人公」は、「十戒」でおなじみのモーセです。

 この内容は、苦境に立ったユダヤ人が約束の地をめざす話や、
神とかわされた「契約」について記されています。

  アブラハムの子孫であるヤコブは、
70人あまりのユダヤ人を伴って、エジプトに移住しました。
そして、エジプトの地において勢力を強めていきました。
この状況に対し、新しく即位したエジプトのファラオは、
  これらの人々に重い労役を課し、
行動を監視するなどの迫害を与えました。

 やがてモーセが出生し、そして成長します。
そして、神がモーセに対し「ユダヤの民」を導き
エジプトの人から逃れさせ、カナンの土地へ向かうよう啓示しました。
この言葉を受け、モーセはファラオの下に行き、
ユダヤ人の解放を求めますが、ファラオはこれを聞き入れず、
さらに迫害を強めていったのです。 

そこで、神はモーセを通じて10の災いを起こします。
  まず手始めに、ナイル川の水を、
神のいうとおりの方法で血に変えたのです。
 それでもファラオは、迫害をやめないので、
エジプトの民は、井戸を必死で掘るしか手がなかった。

  この血の災いの後、神はさらにモーセに、
ファラオの国土をカエルによって占領させるという
「蛙の災い」を起こさせました。

そのあと、列挙すると、「ぶよ」、「あぶ」、「疫病」「腫れ物」、「雹」、「イナゴ」、「暗闇」と、
次々と「災い」をエジプトにもたらすのです。
 究極の「ハラスメント」ですが、
とうとう最後に「最後の災い」というものを神は仕掛けさせるのでした。

 すなわち、神がエジプトの民と獣、そしてエジプトの神に審判を下し、
すべてを滅ぼすというものでした。
  しかし、子羊の血で印をつけたものはそれを免れる。
とユダヤ人たちに伝えたので、
結果、神の言葉を伝えた、モーセのいうことをきいたもの以外、
皆ことごとく死んでしまったが、
言いつけを守ったものだけが救われました。

 ファラオはとうとう折れて、
「あなた方とユダヤの民はわたしのところから出て行くがよい、
そしてあなたが言うようにあなた方の神に仕えるがよい。
そして、羊と牛を持っていき、わたしを祝福しなさい。」

 と告げました。こうして、ユダヤの民はエジプトを脱出しましたが、
神はそこで厳しく「選民」の掟を言い渡します。
「割礼」という事ですが、詳しくいうと長くなるので、
神との契約。という意味あいとして、ここではとどめておきます。

 こうして、モーセは200万人のユダヤの民を率いて、
「約束の地」を目指します。  

 しかしその途中、心変わりしたファラオは。
脱出したユダヤの民を軍を差し向け、追いかけさせたのです。
ユダヤの人々はそれに恐れおののきました。
そして、モーセに詰め寄りました。

すると、モーセは
「神がいま、あなた方のために戦うから、黙ってみていなさい。」
 と告げます。

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モーセは神の導くとおり、持っている杖をあげて手を海にかざすと
目の前の海は真二つに割れて道ができたのです。
これを「葦の海の奇跡」とよんでいます・
ユダヤの民はこの渇いた海の道を渡り終えました。

 そして再びモーセが手をさしのべると、
その渇いた海の道を追ってきたエジプトの軍勢ともに、
その道は再び海になり、エジプト軍はおぼれるか、
撤退して、ユダヤの民は無事エジプトを脱出しました。

 モーセの「十戒」

 エジプト軍の追っ手から逃れたモーセたちは、
神に導かれてシナイ山の麓にたどり着き、そこでモーセは神によばれます。

そして山頂まで登ったモーセは、
神から10条の戒律、すなわち「十戒」を授かりました。
いわゆる「モーセの十戒」とよばれる戒律です。

 この戒律を守ることにより、ユダヤの民は救われる。
という神との契約です。
ユダヤ教はこういった「生活上での戒律」が重視されており、
「行動の解釈」が大きな要素を占めています。

 さて、その10の戒律とはなんでしょう。

 1 わたし(ヤーヴェ)以外を神として祀ってはいけない
 2 偶像を作り、これを拝んではならない
 3 神の名をみだりに唱えてはならない
 4 週の七日目は安息日とせよ
 5 父母を敬いなさい
 6 人を殺してはいけない
 7 姦淫をしてはならない
 8 盗んではならない
 9 偽証してはならない
 10 隣人の家、妻、持ち物を欲してはならない

いまでいえばごく当たり前のの話ですが、
この頃はこういったことが
まともに守られてはいなかったのかな。
ということも感じられます。

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 こうして神から授かった「十戒」が、記された石版は、
神からの指示によって専用の箱(契約の箱=アーク)を作り、
そこに納められました。

 この箱はアカシアの木で作られ、
長さは130㎝、高さ80㎝、幅80㎝で純金に覆われ、
底部に四つの足、二本の棒が取り付けられ、
箱の表には二体のケルプ(神の鳥)が描かれている。
と記録にはあるけれど、誰もみたものはいません。
何故なら、それはいつのまにかどこかに消えてしまい、
行方がわからないからです。

この話のことを「失われたアーク(The lost ark)」 といっています。

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