「リーダー・エフェクティブネス・トレーニング（L.E.T.）」における基本的な概念である、「行動の窓」について考えてみたいと思います。

　リーダーの主要な役割として問題解決の促進者であることを認識することは、多くの組織やグループの運営において非常に重要です。グループのリーダーに求められるのは、メンバーの問題を解決することであり、組織やチームが直面する課題に対して積極的に対応することです。特に、メンバーが自身のニーズを満たすことができず、または組織の目標達成に至らない時、リーダーの介入が特に必要とされます。この文脈で、リーダーが問題解決に取り組む際のフレームワークとして「行動の窓」という概念が紹介されています。

　「行動の窓」は、リーダーがグループメンバーの行動をどのように認識し、どのように反応すべきかを示すツールとして役立ちます。このモデルは、リーダーの目の前に存在する行動を「受け入れ可能な行動」と「受け入れがたい行動」の二つの区分に分けて考えることを可能にします。たとえば、積極的に業務に取り組むグループメンバーの行動は、問題を引き起こさないため、受け入れ可能な行動として位置付けられます。一方で、リーダーの時間を不必要に消費し、依存しすぎる行動を示すメンバーの行動は、リーダーにとって受け入れがたいものとして認識されます。

　リーダーの「行動の窓」は、その日のリーダーの心理的状態や、行動が発生する特定の環境、さらにはメンバーの個々の性格によっても変動します。たとえば、リーダーが良好な精神状態にある日は、メンバーの行動に対してより広く受け入れることができるでしょう。逆に、リーダーが疲れている場合や環境がストレスを引き起こしている場合は、通常受け入れられる行動であっても受け入れ難くなることがあります。

　また、「行動の窓」はリーダーに対して、メンバーの行動に対する自身の反応を明確に意識させ、それに対する正直な感情を認識する手助けをします。これにより、リーダーは個々の行動にどのように対応すべきか、より効果的な戦略を立てることが可能になります。L.E.T.における具体的な問題解決のアプローチについては、別に示されるわけですが、リーダーがどのようにして問題に対処し、生産的な環境を維持するかについての洞察が提供されます。

　このモデルは、リーダーがグループのメンバーの行動を評価し、問題がある場合には早期に対処するための枠組みを提供します。リーダーはこのツールを用いて、どのメンバーが問題を引き起こしているか、またその問題がグループの生産性にどのように影響しているかを判断することができます。その上で、リーダーは適切な介入を行い、人間関係を安定させ、生産的な仕事を続けることができるよう努力します。

　さらに、「行動の窓」はリーダーとしての自己認識を深めることにも寄与します。リーダーは自身がどのように問題に対応しているかを自己評価し、必要に応じて自己改善を図ることができます。このプロセスを通じて、リーダーはより効果的な問題解決者としての能力を高め、組織内での自身の役割をより効果的に果たすことが可能になります。

　リーダーが問題解決の役割を効果的に果たすためには、自身の行動とメンバーの行動に対する深い理解が必要です。この理解を基に、リーダーは問題を早期に特定し、適切な解決策を実行することで、グループの目標達成とメンバーの満足を促進することができるのです。

「行動の窓」の具体的活用

　リーダーとして問題解決を促進するためには、様々なスキルやアプローチが必要ですが、その前提として「行動の窓」という概念はリーダーシップにおける効果的なツールと思います。この概念を活用することで、リーダーはメンバーの行動を適切に評価し、問題解決への適切な対応を行うことが可能になります。本稿では、リーダーがこの概念を利用して問題をどのように特定し、解決策をどのように策定・実行すればよいでしょうか。

リーダーに求められる問題解決の役割

　リーダーは、組織やチーム内の問題を見つけ出し、解決策を提供することが期待されます。これには、対人関係のトラブル、業務プロセスの障害、またはチームのモチベーションの低下など、多岐にわたる問題が含まれます。リーダーがこれらの問題に対応する方法として、まずは問題の存在を認識し、それが組織にどのような影響を与えているかを把握することが重要です。

「行動の窓」の活用

　「行動の窓」は、リーダーがメンバーの行動を「受け入れ可能」と「受け入れがたい」の二つに分類し、それぞれの行動に対してどのように反応するかを決定するためのフレームワークです。このモデルは、リーダーが個々のメンバーの行動パターンを理解し、問題の兆候を早期に捉えるために非常に有効です。

受け入れ可能な行動

　これには、チームの目標達成に寄与するプロアクティブな取り組みや、コラボレーションを促進する行動が含まれます。リーダーはこれらの行動を奨励し、さらに発展させるための支援を行う必要があります。

受け入れがたい行動

　遅刻や早退、業務の遅延、他のメンバーへの悪影響など、チームの生産性にネガティブな影響を与える行動がこれに該当します。リーダーはこれらの行動に対して迅速に対応し、必要に応じて改善策を提案することが求められます。