G.H.ミードの初期身振り論

以下は、ジョージ・ミード初期の公刊論文より。『プラグマティズムの展開』編者によると、まだヴントからの影響を多分に残していたころの著作。

人間の行為が動物の行為から区別されるのは、何よりも、有意的注意の本質的局面を示す、〔行為の〕停止の増加によってである。そして、この停止の増加が意味するのは、まだ実行されてはいない諸活動を表す身振りの増加、つまり行為におけるその価値がまだ完全には表出されていない諸態度をとることの、増加である。(ミード, 2003, 注p. 9)
身振りが表すのは、他の個体との関係における、ある個体の運動的態度である。その態度…が感情的であるのは、行為の進行が禁止されているためである。始動しはじめたある行為のこれら初めの諸々の指示物のうちで、特定のものが存続し、――例えば、歯をむき出すこと、または鼻孔を上げること――、他方で〔それ以外の〕行為の残りの部分は、抑制されるか、そのもともとの価値を失うということが、実際に起こる。 (ミード, 2003, p. 33)

上記の「停止」とか「禁止」とか訳されている'inhibition'は、プロセスモデル (Gendlin, 1997/2018)における第VII-A章の'pause'を考察するうえで、とても参考になる。


文献:
Gendlin, E. T. (1997/2018). A process model. Evanston, IL: Northwestern University Press.
Mead, G. H. (1964). Selected writings (edited by A. J. Reck). Indianapolis: Bobbs-Merrill.
ジョージ・ハーバート・ミード (2003). プラグマティズムの展開 (加藤一己・宝月誠編訳) ミネルヴァ書房.


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