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無料塾が人をつくる|第4章‐7|皐月秀起

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母を訪ねて三千里

いつもの通り学習会が終わり、自宅で夕食を食べていると、21時頃ある講師の学生から連絡が入りました。「生徒さんのお母さんが子どもと会えず困っていらっしゃいます」と。この小学生の男の子は電車で宝塚つばめに通って来てくれている子で、入会からしばらくはお母さんが教室まで一緒について来られていましたが、だんだん慣れてきたので、「つばめが終わったら駅で待ち合わせ」としていたようですが、待ち合わせの場所でいくら待っても彼は来ない、ということでした。

教室に戻り、講師の学生から事情を聞き、「お母さんは?」と聞くと、「探しに行かれました」とのこと。携帯に連絡してもつながらず。まずは、迷子の男の子を電車で待ち合わせの場所に行き、構内だけでなく近くのショッピングモールも探すが見つからず。構内のパン屋やキオスクに目撃者を探す刑事のように聞き込みをするが、誰も見ていない。時刻は22時を過ぎ、だんだん焦ってくる。そうしたときに、キャップを被りリュックを背負った彼を発見! サッカーのコーチ最後の日にわんわん泣いた同じ西宮北口駅で、「見つけた!」と泣きながら、2人で抱き合いました。

さあ、彼は見つかったところで、お母さんに引き渡そうと思ったところ、やっぱり連絡が取れない。それもそのはず、彼曰く「携帯を家に置いてきた」とのこと。どうりでつながらないはず。彼の次はお母さんを探そうと、また構内やショッピングモールを探すも見つからず。そうだ、家に帰って待っているかもしれないと、家まで行くことにしました。電車を乗り継ぎ30分、駅から丘の上の家までもう15分。手をつないで2人で夜道を歩きながら、週1回とはいえ、よく通ってくれているなと感心していました。家に着きましたが、お母さんはおらず。家で待つこと15分。戻って来られません。じっとしていてもしょうがないので、駅で待とうと、最寄りの駅で待つことにしました。0時近くになり、終電がなくなりそうです。小腹が空いたので、コンビニで買ったおにぎりを2人でほおばりながら、改札の前で途方に暮れていると、2人のお巡りさんがつかつかと。「○○くんですか?」と聞かれ、「はいそうです」と彼。レシーバーで「身柄確保」とお巡りさん。そう、お母さんは交番に行方不明の届けを出し、近隣の交番などが彼を一斉捜索していたのでした。私にその自覚は全くありませんでしたが、どう見ても誘拐犯のようです。でも、交番内で事情を説明すると、すぐ分かってくれました。「無料塾って、そんなのあるんですか?」と聞かれ、認知度はまだまだです...。

そして、0時半頃、ようやく彼とお母さんは出会うことができました。無料塾をやっていると、こういうこともあります。

お盆真っ只中の学習会 

先週は台風のため、泣く泣く休会にしましたが、心機一転。といっても世の中はお盆休み真っ只中で、「今日は勝手にお休みだと思っていました...」と言われる親御さんも多く(まあ、告知すればよかったんですが)、生徒さんはいつもの半分くらいの参加。

ただ、逆瀬川教室の中学生4人はなんかちょっと雰囲気が違っていて、いつもと変わらず普通に4人とも参加。4人とも横のつながりは全くないのに、何かこう示し合わせたように、休む雰囲気はかけらもなく、90分間集中して勉強していました。君たちのがんばりは、きっと生きるよ!

一方、こちら仁川教室のほうは、小学生が3人といつもの半分。そして中学生は、1人だけ(苦笑)。黙々と数学の宿題をやっていた彼にも幸あれ。

夏休みも終盤に

夏休みも終盤戦になってきました。

まだ宿題をやっている、我がつばめの生徒さんたちは大丈夫でしょうか(笑)。中1の女子の生徒さんが9月以降の部活との両立が難しそうとのことで退会、今日は12人の参加でした。

中学生は夏休み明けすぐに実力テストがある学校がほとんど。

川西から電車で通っている中3の彼は、「学校の授業では、どうしても分からないところがそのままになってしまう。塾に行っている子はそこが補えるけど、自分は分からないままだった。それがここに来るようになって、だんだん分からない箇所がなくなってきた」と。3年生の夏から通うって、(来春高校受験を考えると)遅いかな...と言ってましたが、勉強するタイミングに早いも遅いもないということを、彼は体現しています。ひそかに彼の実力テストの結果を楽しみにしています。

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