最終出勤日

案外みんなに温かく見送られた

社内の人間にお礼の電話なんてするつもりがなかったのだけど、やはり最後の2時間くらいになると、感謝したくなったので各所に電話かけた

失う瞬間にしか、持っていたものを確認できないというのは切ない

もっと楽しく、もっと仲良く働けた可能性を考えた

労働時間が異常に長かったが、それ以外はまあ良好な職場だったのかもしれない

でもその考えは意味がないことだ

もう過ぎ去ったものだからだ

会社の人間は優しく接してくれた

僕は溜まりに溜まった残務を、やっといて!と言えなかった

そして残務は終わらなかった

明日会社に行って終わらせる

幸せは既にあるのだろうか

僕は自分が話題の中心になってないと会話に入る努力を放棄してしまう

僕の頭はまた、今日を後悔しようとしている

でもそんなことは無意味だ

僕はそこそこ好かれていたし、仕事もきちんとこなした

みんなは温かく送り出してくれた

そして僕は最後まで仕事を抱え込んでいた

それが現実だ

ただそれだけ

誰が悪とか、誰のせいとか関係ない

何をやったか、だ

僕は拗ねていただけなんだろうか

ただ、過ぎ去るものに対する思考はもうやめようと思う

明日から僕は自由なのだから

明日から僕は自由

最後の日に優しくされるのはズルい

だが、ありがとう

前に進むエネルギーも少しだけ受け取ることができたよ



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