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教師という「仕事」と「生産性」について考察。

 まずは「初めまして」の方もいらっしゃると思いますので、簡単に自己紹介。
・北海道の小学校教諭
・経験年数18年目(現任校で4校目)
・担任(担当)履歴
 5年生→6年生→5年生→6年生→3年生→5年生→6年生→3年生→
 5年生(特支)→担任外→4年生(特支)→6年生(特支)→6年生(特支)
 1年生→4年生→1年生→1年生→3年生

 以上の経歴や普段仕事をしていてこの「仕事」について考えていることを述べていこうと思います。よければお付き合いくださいませ。


▶︎「仕事」は何かを生み出す(=「生産」)すること。

 仕事の究極的な目的は何でしょうか。
 それはいうまでもなく、「労働の対価」として「賃金(給料)」を得ることですよね。この賃金が、労働者の生活を支えているのです。

 では「賃金」はどこから発生するのか。
 それは仕事が何かを「生み出す」からそこに利益が発生し、労働者には賃金としてその利益が分配されるわけです。
 この事実は一次産業であろうと三次産業であろうと変わりありません。

  • 作物を育て、原料を採掘し、販売することで利益を生み出す(一次産業)

  • 製品を作り、それらを販売することで利益を生み出す(二次産業)

  • サービスの対価として利益を生み出す(三次産業)

 では、教師は何を生産し利益を得ているのでしょうか。

▶︎教師の「仕事」とは。

 我々日本国民が教育について考えるとき、一つの指標になるのが「教育基本法」です。

「教育基本法」第一条

教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

 平たく言うと、「子どもの人格の完成」を目指す仕事であると言えるのかな、と思っています。

 そのために我々教師は日々、学習指導や生活指導を学校という場で行なっているのです。

▶︎教師に「生産性」は馴染まない。

 では教師は何を生み出しているのでしょうか。
 学力の高い子ども?
 誰とでも仲良くなれるいい子?
 
 もちろん授業をしているのですから、どの子にも学習を理解させる努力は必要です。しかし学力は教師の力量だけではどうにもならない事実もあります。
 例えば、
・その子が持っている生まれながらの特性
・授業を受ける集団の特性
・家庭環境
・そこに至るまでの養育歴 など

 時に学力テスト等の数値で学級の子ども達を通して担任(担当)教師自身が評価されることもありますが、上の事実からそれで教師が評価されるのは酷な場合もあると考えます。

 また、教師の仕事の目的が教育基本法が謳うような「人格の完成」であるならば、人間の長い人生の中の1年間や2年間を関わったくらいで教師の仕事は評価できないと思うのです。
 今担任している子ども達がどのような人生を歩むのか、どのような大人になっていくのかは、(小学校教諭の場合)10年近く先の未来になってみないとわからない側面があるのです。

 もちろん、学力という点においては「わかりやすい授業」をして子どもの理解を引き出すことは一つの「生産性」であるかもしれません。
 しかしどれだけ工夫した授業を行なっても、その時には理解できなかった子どもが数年後に「あの時先生が教えてくれたことはこういうことだったんだ」と理解することもあります。

 つまり、数多ある「他の仕事」のように教師の仕事をその瞬間の「生産性」ではかることは馴染まないのではないでしょうか。

▶︎教師の「労働」に対する「生産性」は。

 しかし、「賃金」を得る手段としての「労働」に対して「生産性」を考えた場合は、話が変わってくるのではないでしょうか。
 かつては「聖職」などと言われていたこの仕事も究極的には生活をしていくための賃金を得る「労働」であることには変わりありません。

 ではここで「生産性」=「より高い賃金」と定義してみます。
 
 ところが、教師という仕事は悪名高い「給特法」によってどれだけ働いても得られる賃金は一定、変わらないのです。
 どれだけ残業しても、休日出勤しても、です。
 つまりどれだけ労働力を提供しても「より高い賃金」は得られません。

 ただし、「相対的に」なら「より高い賃金」を得ることができるのではないでしょうか。

 簡単にいうと、相対的に「時給」なら上げることは可能です。
 より早く、退勤することです。

分母が変わらないのなら・・・

 労働の対価としての「賃金」を「生産性の指標」とするなら、教師の「生産性」は時給で考えてみてはどうでしょうか。

 より効率的な仕事をして、ムダを削減し、早く退勤する。
 現状では教師の「生産性」を上げる方法はこれしかないのではないかと考えています。

 以上、長々と書きましたが、これは「賃金」に対しての側面でしかありません。
 あくまでも我々教師の仕事は子どもの人生に関わる大きな仕事です。
 その点だけは忘れないでおきたいな、と思います。

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