「空に吸い込まれる」と感じて、目を閉じたことはありませんか。
そんなこと、ありえないはずなのに、なぜでしょう。

空が美しいからなのか、空を美しいと感じる心が美しいからなのか、それは、僕にはわかりません。

人は、すぐに、美しさに惑わされてしまいます。
美しさだけでも、人の心を十二分に感動させることが出来るせいかもしれません。

感動すると、善悪の判断があいまいになるような気がします。
感動という、日頃、経験することのない体験に、特別な価値を見出してしまうためではないでしょうか。

空を見て、圧倒されるほどの美に浸る。
人であることを忘れてしまうくらい、心が揺り動かされてしまうのです。

けれど、一瞬でも、人であることを忘れるわけにはいきません。
だから、長い時間空を見続けることは避け、目を閉じて、視界から空を消してしまおうとするのだと思います。

（空なんて、いつでも見られる）
そう、自分に言い聞かせ、日常に戻ります。

吸い込まれてしまいそうなくらい感動する。
僕は、空を美しいと感じることの出来る人間らしい心の美しさにほっとしながら、空を見上げるのは特別な日だけにしようと、無意識の内に自分の中に、ルールを作っているのです。