火事と衣服と妹
どうも。
東野京(ひがしのみやこ)です。
ファーストリテイリング(UNIQLO)が能登半島地震の被災地へダウンやヒートテック等の防寒着を寄付するそうですね。
私だったらとても嬉しいと思いますし、こういう時に良くしてくれた企業はその先も愛用するのかなと思います。
被災時にもらった服で思い出した話があるので、今回はそれについて記していきたいと思います。
実家が全焼した話
過去記事でも幾度となくこの話をしてしまっているかもしれませんが、それは2011年4月11日のことでした。
ちょうど一ヶ月前に発生した東日本大震災の混乱が続いていた状況で、大学の開始が遅れていたのを思い出します。
見覚えのない電話番号(伯父さんか伯母さんでしたが、ショックすぎてよく覚えていません)からの着信は訃報を告げる悪夢のような報せでした。
東海地方の某県に存在していた私の実家が全焼したというものです。
私の二周り上の母と私の二つ下の妹が借家の一戸建てに暮らしていました。
妹は母の叫び声で気が付き、二階から飛び降りて一命を取り留めました。
母はその時に煙を吸ってしまったのでしょう。
一酸化炭素中毒で帰らぬ人となってしまいました。
出火元は一階と見て間違いないようですが、火事での損傷が酷いことから出火の原因は不明とのことでした。
自然出火の可能性もありますが、放火の可能性も否定はできないとのことです。
嬉しそうにしていたご近所さんの表情が脳裏にこびりついて離れず、今でも邪推してしまうことはあります。
真相は闇の中です。
伯父さん伯母さんのチョイスした服
火事からかろうじて生き延びた妹は所持品も何もなく、全てを失ってしまった状態です。
飛び降りた時に柵が脚に刺さった事もあり、その時に着ていた服すら使い物になりません。
妹が病院に運ばれ治療を受けましたが、外傷は柵が刺さった部分のみで命には別状ありませんでした。
駆け付けた伯父さんと伯母さんが妹に服を買ってくれたり、葬儀の段取り等の協力をしてくれました。
伯父さんと伯母さんには感謝しています。
東京から行き来するのは流石に困難であるため、葬儀と火葬の後は各種手続き等に奔走する為に暫くホテル暮らしとなりました。
手続きが完了した後、東京(とは言っても端っこなので実質神奈川県)のアパートに戻り妹との暮らしが始まりました。
落ち着いて余裕が出てきたからか、その頃くらいから妹は伯父さんと伯母さんに買ってもらった服が正直ちょっとダサいというような不満を垂れ流し始めました。
一見すると我儘にも感じられてしまいますが、火事で何もかもを失ってしまった妹からしたら衣服くらいしか選択肢がありません。
住み慣れた地を離れ、友人知人の居ない地で仲も良くない兄の世話にならなければならない苦痛を思えば、それくらいの我儘は言いたくもなってしまうのかもしれませんね。
下北沢のとある店で
妹が服についてあれこれ言い始めたのは私にも一因があるかもしれません。
当時はアルバイトの給料が入る度に下北沢にあるお気に入りのお店に行き、服を買って帰るというルーティンがありました。
物持ちが悪くないこともあり、私の服がそれなりに多数あったことは妹にとって羨望の的となってしまったことでしょう。
血筋によるものなのか、妹からしたら私の持っている服のデザインも好みのものだったようです。
どうせ買うなら本人が気に入るものが良いと思い、下北沢のお店に連れて行ってあげました。
結果としてはどハマリしてしまい、毎月私からお小遣いを貰う度に服を買いに行っていたように思います。
知らない間に色違いの同じ服を持っていたりして、少し気まずかったのを思い出します。
それで気分が上がったのか、自分で色々買いたくなったのか、私の大学卒業が迫り一人暮らしを余儀なくされる(同居は卒業迄と話していました)からか、火事から一年少々経ってようやく就職してくれました。
今では何かしらの仕事をしながら都内で一人暮らししているので、無事に自立できて良かったと思います。
時が経ち
学生時代によく通っていた下北沢のお店は、一度移転をして、その後いつの間にか閉店していました。
現在はネット通販のみで稼働しているようです。
当時はそこで買った服ばかり着ていましたが、気付けばそれ以外のものも増えてきました。
妹の服装も変わっていっているのだろうかと思いましたが、そのためだけにわざわざ連絡を取るほどではありません。
いつかまた会う時に覚えていたら話そうと思います。
おわりに
妹とは最後に会ったのが何年前か思い出せないレベルです。
お互いの誕生日と、妹の住居の更新の際に保証人として契約書にサインさせられるくらいの交流しかありません。
便りがないのは良い報せと思うようにしておきます。
最後までお目通し下さった方、ありがとうございます。
また何処かでお目にかかれたら幸いです。
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