仮の場所
この世は仮の場所
誰ひとり留まり続けることはできない
みな棲み慣れたこの世から
いつか必ず旅立っていかねばならない
仮の場所で果たし得る目的は
やはり仮の目的でしかない
この世で何を成し得るか
この世に何が残せるか
そんな仮の目的ばかりに気を取られている間に
仮の人生そのものも泡のように消えていくだろう
真に催された意志によるものでない限り
仮の世界に残せるものなど何もない
この世という仮の場所にて
心身という仮の生命あるうちに
真からの呼びかけに耳を傾け
真の場所に生まるると知らされ
真の目的に参画する喜びをいただく
その真に出遇わない限り
この世という仮の場所から
次なる仮の場所へ遷移するだけ
生の門より仮に至りて
死の門よりまた仮に赴く
それが真なき世界の実相
これ以上空しいことが
これ以上哀れなことが
他にあるだろうか………
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