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カフェを経営してた頃 / それに纏わる話

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30年以上のカフェ経営の中で出会った素敵なエピソード差し障りのない範囲で書いていきます。
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記事一覧

AIがシンギュラリティを迎える今、筍を煮ながら緩く人間に残された道を考える。

大好きな言葉 / Steve Jobsが残した”Connecting The Dots"と言う言葉がある。 僕は35年近く飲食の世界にいた過去がある。そのおかげか料理は大好きだ。上手い下手より好きなのだ。飲食の世界に居たことが今こんな形で役に立つとは思っても見なかった。友達の和食店オーナーからアドバイスも貰えるし、ネットで調べれば調理方法、レシピも教えてくれるという便利な時代だ。 そして、大病して体力的に飲食の世界では生きていくことが出来ないと悟り、過去に写真の学校で学

喫茶店の味 / Piza Toast にはタバスコが欠かせない。

過去に喫茶考として投稿しているが再び喫茶店愛を語ってみた。 前の晩に茄子のトマトソースパスタを作った。少し多めにソースを作り翌朝はピザトーストと決めている。 ピザトーストと言えば喫茶店の味、この写真よりも分厚いトーストにオニオンとピーマン、マシュルーム(缶詰のマシュルームが多かった)に刻んだハム(ソーセージ、サラミソーセージ、ベーコンなどを使うお店もある)が乗ってる奴だ!私の作るのはあくまで前夜のパスタに使った具なので茄子も入っている。そしてMix Cheeseをたっぷり

1984年の思い出 / あの頃の私

青春にはちょっと間に合わなかったけど楽しい時代を過ごしたUSAを振り返る。 1984年、ロサンゼルスオリンピックの頃、LA郊外の街で仲間とベーカリーを共同経営していた。サンドウイッチも販売していたのでランチに買いに来る人も多かった。バゲットを使ったサンドウイッチの中にはチキンカツやテリヤキチキンを挟んだメニューもあった。 まだ髭もない、眼鏡はかけておらずコンタクトを入れていた。永住権も取得した。 この頃のアメリカは、食パンがまずかったので、日本の食パンやアンパンを製造し

読書とcaféの微妙な関係 / カフェに纏わるエピソード

カフェで読書、なんてお洒落なんでしょ、一人ゆっくりお茶しながら誰にも邪魔されずゆっくり本を開く至宝のひととき。想像しただけで本好きにはたまらない場所です。 お店側としてもアイドルタイムに優雅に空いているお店で読書している姿はイメージ的にも良いです。 しかし、現実はそうでもありません!午後の昼下がり、おしゃべりを楽しみに来るお客様もいます。お店側としてはその方々も大切なお客様です。カフェはそういう場所でもありますからウエルカムです。 すると読書している人達には途端に居心

バラッドを一曲 / CAFEを経営していた頃のエピソード3

もうかれこれ30年近く前の話です。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ランチが終わって一段落の午後3時、私のランチタイムが始まる。 いつも簡単に済ませることが多い。軽く食べ珈琲を飲みながら本を読んでいると常連の Tさんが入ってきた。Cafeをやっていると素敵な女性達とも友だちになれる。 彼女は雑誌棚から女性誌を選びカウンターに座りバナナクリームパイとアッサムティーにミルクを注文した。 雑誌を見ているのか見てないのかパラパラ。 そして一言「求婚

Photographer "higehiro"Profile / パティシェから家族写真家になった、スーツを着ない人生

noteは8年前に登録している。しかし断片的に発信するに留まっていた。 昨年あたりから少しづつ書き始めることを再開し、今年4月コロナが収まり始めた頃から本格的に再開する。 再開するきっかけとなったのは、コロナ渦で出張撮影が減り時間が出来たこともある。もう一つ昔から下手の横好きで紙ノートなどに思い付いたことなどは書き留めていた。下手っぴなのだが書くのが好きなのである。 写真もそうなのだが、たくさん撮っていると自分の世界観がわかり”らしい”写真が撮れるようになるように、文章も

音楽CDの中古値段が下落/Cafe店主の呟き エピソード番外編

今回はカフェを経営していた頃の話というより、それに纏わる話です。 ....................................... 音楽CDが不人気になり中古市場でも安値で取引されている。音質的には優れているが、スマホの普及でネット配信の方が時代にマッチしているのだから流れとしては仕方がない〜我が家に眠っている大量のCD(500枚以上)を売ろうと査定したが二束三文と言う結果だった。CDプレーヤーを再び買って楽しむ事にする。 私のCDコレクションの一部 Ba

常連さんの言葉に映画「卒業/THE GRADUATE」を思い出した日 / カフェを経営していた頃のエピソード2

ランチが終わり常連さんが珈琲を飲みに来る時間がやって来る。私はこの時間が大好きだった。オーダーに追われるランチの2時間が過ぎ、やっと常連さん達と話ができる時間だからだ。常連さん達はそれぞれ個性溢れ魅力的な人ばかりだ。そんな人達だから話も面白い。 今回は私が人生を折り返しに差し掛かる50代の頃のお話です。 …………………………………………………………………… 「いらっしゃい!」 「ブレンドね!」 「はい!」 週に2〜3回寄ってくれるリタイアしたMさんが現れる。 ジムの帰り

日本の喫茶店考

喫茶店のメニューの話から始めよう ピーマン、オニオン、マシュルーム、トマトソース、ハム、シュレッドミックスチーズ以上。これは金属の楕円のお皿にのっていたナポリタンスパゲッティーと並んで喫茶店の定番メニュー。そしてタバスコソースは忘れてはいけない。喫茶店にこのメニューがないとがっかりする。そういえばピラフと言う食べ物もあった。 勿論、ハムサンド代表されるサンドイッチ、それもミミは落とされ、薄っぺらのハム、きゅうりとチーズが挟まっていたやつ。確か辛子バターが塗ってあり、色付け

私がカフェを経営していた頃 /エピソード 1 「 読書する人」

13年前カメラマンに転向するまで、30年以上カフェを自営していた。そんな中、お客様との関わりで色々なエピソードが有る。これから差し障りのない範囲で経験を少しづつ話していければと思う。 ................................................... 午後3時の幸せ ランチタイムの喧騒が去り、片付けが終わった頃その人は現れる。 「リンゴバターケーキと珈琲で!」とカウンターの前を通り過ぎる時、注文する。週1のペースで窓際に座り、抱えてき