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「老けない人」は大人になっても遊んでいる

「老けない人」は大人になっても遊んでいる、遊びと仕事は境界線が曖昧なほうがいい

2014年3月、「ハフィントンポスト」のシニアライター、キャロリン・グレゴワールが書いた1つの記事が爆発的ヒットとなった。
そのタイトルは「創造性の高い人がやっている18のこと」

クリエイティブ思考の人々の習慣を探ったこの記事は瞬く間にシェアされ、フェイスブックの「いいね!」は50万にものぼった。

このことは、効率化や生産性向上ばかりが議論される時代において、創造性の重要性を改めて認識させる契機となったと言える。

この記事の元となった研究を行っているペンシルベニア大学の心理学者、スコット・バリー・カウフマンとグレゴワールの新著『FUTURE INTELLIGENCE これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣』から、実際にクリエイティブ思考を持っている人たちの習慣をいくつか紹介しよう。

子ども時代の遊びがインスピレーションに
1年間対話するより、1時間ともに遊んだ方が、相手の人柄はよくわかる。
プラトン・スイスにある「森のようちえん」では、4歳から7歳の子どもたちが
終日、屋外で遊んでいる。
雨の日も晴れの日も、子どもたちは森の中を駆け回り、一緒にゲームをし、見つけた物で何かを作り、周辺の自然の中を探検する。

子どもたちに課される目標や期待値は極めて低い。
たとえば、地面に自分の名前を書く、といった程度で、算数や読み書きは一年生になるまで教わらない。

「真剣さ」と「遊び」のうまいバランス
この幼稚園では、子どもたちが自由な遊びを通じて大切な社会情緒的スキルや運動スキルを身につけ、生来の好奇心と想像力と創造力を磨くことをなにより重視している。

この重要な基盤が確立されて、ようやく小学校で習う学科の準備段階に入るのだ。大人も同じように、子どものような遊びの感覚を養っていれば、働き方を変えることができる。

わたしたちはどんな内容であれ、とかく仕事を深刻で難しいものとみなしがちだ。もちろん仕事で成功している人は、真剣に考え、仕事に多くの時間と努力を注ぎ込んでいる。
しかし傑出した結果を出す人たちは、仕事における「真剣さ」と「遊び」のバランスをうまくとっている。

仕事で遊ぶことができれば、柔軟な心で新しいアイデアを練ることができ、また、長時間働いても強いストレスを感じたり、消耗したりせず働き続けることができる。

クリエイティブな仕事には、真剣な時間と遊びの時間がある。

往々にして最善の結果が出るのは、両者をうまく組み合わせたときなのだ。一方、遊びと仕事をきっちり分けるのは、現実的でないばかりか、害さえ及ぼす。

研究により、子どもでも大人でも、仕事と遊びを混ぜ合わせると、学習にも創造性にとっても、望ましい結果につながることがわかっている。

テレビゲームデザイナーのジェイン・マクゴニガルもまた、わたしたちがしていることの多くはゲームと同じく「ただ楽しむため」のものであり、それは人生を幸せかつ柔軟に生き、仕事で結果を出すために欠かせない、と語っている。

誰もが思い当たるように、わたしたちは大人になるにつれて遊び心と好奇心を忘れ、生活は仕事とまじめな事柄に支配されがちになる。

かつてジョージ・バーナード・ショウはこう言った。
「人は老いたから遊びをやめるのではない、遊びをやめるから老いるのだ」

遊び心が常識的な考えから脱却を促すもちろん、大人が「子どもの心」を取り戻す方法もある。

ある実験で、大学生を2つのグループに分け、1つのグループには、「その日の授業が休講になった」と想像してもらい、もう1つのグループには、「自分が7歳の子どもで、学校が休みになった」と想像してもらった。

すると、「自分は7歳で今日は学校が休みになって喜んでいる」と想像した学生の方が、その後で受けた拡散的思考テストでクリエイティブな答えを出したのだ。

つまり、遊び心は常識的な考え方からの脱却を促すのだ。

現在、誰も彼も遊び不足で、遊びが許容され歓迎される空間が渇望されている。

最近の調査では、遊ぶことの多い大人はストレスを感じにくく、ストレスをうまく扱い、人生により満足し、より多方面で成功を手にしていることが示唆された。

遊び心を持ち続ければ、年をとった後もクリエイティブ思考とバイタリティを維持できるのだ。

東洋経済オンラインより抜粋