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”何がわからないのかわからない”を考える

こんにちは。ひいろです。
コロナの影響で学校の施設が使えなったり、授業のパフォーマンスの低下を理由に学費の低減を求める声がちらほら聞こえます。

確かに大学の消費者としては一理ある意見です。

今回はいつものマーケティング系統ではなく
教育心理学の論文を読みました。

東京大学大学院教育学研究科の瀬尾氏の論文

数学の問題解決における質問生成と援助要請の促進
つまずき明確化方略の教授効果

を読んだので書いていきます。

はじめに

わからない問題に出くわした時、
質問するという行為はとても有効的です。

しかし、いざ質問するとなると
何を質問したらいいのかわからない。

何がわからないのか、わからない

数学などの分野では特に多い悩みかなと思ったりします。

質問が思い浮かばないと質問もできません。
たまに、なんもわかりませんとか聞きに来る人もいますが、、。

質問できないと進行度が遅くなってやる気がなくなったりと負の連鎖です。

勉強する側も大変ですが、質問される側も大変です。

家庭教師をしていた時
とりあえずわかりません、とか
何がわからないのか、わかりませんとか言われるのが
一番困りました。

最低限わからないポイントを確認してほしい、、、
まず、問題のゴールは見えているのか、
そして、スタートラインに立てているか、

じゃあ、この足し算はできるかな?とか聞くと
当たり前のことを聞かないでと言わんばかりな態度を取られたりした経験もあります。

その節はバカにしすぎましたね。ごめんなさい。

けれども、当たり前のこと言わないでの話になると
こっちもこれくらいのレベルの問題は当たり前でしょって事になります。

自分の現状を伝える・理解するということは、
わからないことを聞くにあたってとても大事なことなのです。

じゃあ、どうしたらいいのってなったとき、
教える側が毎回深堀りしてあげるのも手かもしれません。

しかし、教育現場においてそんな余裕はない。

今回の論文は
なら、実際に生徒自身に
何がわからないか理解する手法を教えたらいいんじゃないか
という考えに基づき。

それが効果があるものなのかを数学の授業をつかって研究しています。

つまずき明確化方略

何がわからないかわかるようにする方法を
つまずき明確化方略と今回は定義しています。

そして、つまずき明確化方略で重要になるのがメタ認知

メタ認知とは、自分の認知している内容を理解し、コントロールすることで
自分の理解度を知るために重要です。

メタ認知を促進させるためには、
問題を注意深く読むことや、問題を明確にすることなどが効果的といわれています。

しかし、数学において
問題を注意深く読んだところで
結局わからないで終わってしまう人は多い。

そこで、研究ではより具体的な方法として
チェクリストを作成し実験で使用しています。

1:わからない用語、記号に印をつけて確認する
2:図、表、グラフが使えるか確認する
3:問題を数式で表せるか確認する
4:使える公式があるか確認する

個人的にこのチェックリストを勉強会で活用したい。

実験と結果

いくつかの実験を行っていますが。
最後のまとめの実験を紹介します。

高校生の数学の授業を対象に
質問に関する授業を行いその効果を測定しました。

まず、数学が得意なグループと不得意なグループでの差を見るために
文系クラスと理系クラスにわけています。

そして、質問に関する授業について
援助要請認知群と
方略教授+援助要請認知群の2タイプの授業を
文系、理系のクラスで別々のグループに行いました。

援助要請認知群とは質問することって大事なんだよっていう
質問の意義を説く授業で
方略教授とはチェックリストを使って
実際にどうやって自分の中でわからないところを見つけるかの方法を説く授業です。

効果の測定として、授業前と後に
レベル別の数学問題に対して質問を考えてもらいました。
この考えた問題の数を生成質問数とおきます。

質問は、
やり方がわからないなどの、自分の状況理解ができていない質問を一般質問
図示ができないなどピンポイントな質問を内容関与的質問として

一般質問は減少を
内容関与質問は増加することが
効果が出ているという認識に基づいて判断します。

結果は以下のようになっています。

教育

どちらのクラス、授業においても
効果が出ているようでした。

しかし、チェックリストをつかった方略教授を行った方が
よりよい結果が出ていました。

最後に

何がわからないのかの理解を促進させるために
チェックリストの活用とその使い方の説明は効果がある結果がえられました。

今回は数学の授業に限った研究でしたが、
これは、数学の授業に近い授業(例えば経済学とか)にも有効なのではないかと思います。

また、自分自身が理論的な問題で分からなくなった時も
自分の中で何がネックになっているのかを一つ一つ考えていくことが問題解決の糸口になりそうです。

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