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#11 水の中を巡る旅 奄美大島・2023年夏②

奄美大島南部・大島海峡でのダイビング。初日のチェックダイブは加計呂麻島東端の安脚場東で、今年も多様で豊かな珊瑚礁を満喫しました。
しかし、浮上すると面倒な仕事のメールが2本ほど入っており、休暇気分は見事に吹っ飛んでおります。
いい加減にせい、と苛立ちが募るものの、平日に2日間も有給休暇を取ると避けられないことではありまして、まあ、怒りをぶつける先がありません。

🔳ダイビング初日(続き)

◆ 2本目 嘉鉄オアシス ※2日目2本目も

… そんなブルーな感情は隠して、共にボートに乗り合わせたダイバーたちと「やっぱり奄美はいいですね〜」と、会話を交わします。今日のゲストはブランクダイバーやビギナーも多いよう。レベル毎に分けられたグループをオーナーを含め3人のガイドがケアしています。

中には、夏季休暇中という海上保安庁の若手職員もいました。普段も巡視船に乗っているのに、休暇中までダイビングとは、本当に海がお好きなのですね。
彼曰く、海上では本当にすることがなく、自然に海鳥の名前に詳しくなるそう。寄港地では、飲み屋の予約が若手の重大任務。ところが小さな港町では、船が一隻入ると、数少ない飲食店がすぐに一杯になってしまうので、果たして無事に会場を押さえられるかと、楽しみな陸上の夜のはずなのに憂鬱になるのだそうです。
何だか、とても共感してしまう。

別の年配の男性は、スキューバは久しぶりだが、ホエールスイムには毎冬来ているとのこと。その動画を見せてもらいました。好奇心豊かなザトウクジラの子供が、ヒレが触れるスレスレのところまで寄ってくる場面とか…
これはぜひ来てみたい。
「予約するなら、週末はもうかなり埋まってるから、早めにね」とオーナー。ホエールスイムは1〜3月がシーズンですが、常連はきっと前年に次の年の予約を入れるのでしょう。与那国島のハンマーヘッドもそんな感じだと聞いています。
大物フリークの不良中年仲間に、早く教えないと。

そうこうしているうちに、ダイビングボートは大島海峡を横断。
奄美南部を代表するポイント「嘉鉄オアシス」へやってきました。

ここは、白砂が広がる湾。透明度が素晴らしく、船上からでも「嘉鉄ブルー」を堪能することができます。

エントリーすると、砂地に根が点在し、色彩豊かな魚影がそれらを彩る、まさにオアシスが広がっていました。

▲ スカシテンジクダイとキンメモドキが群れる根
▲ 魚たちにとっても、まさにオアシス
▲ セジロクマノミ
▲ モヨウフグ

モヨウフグは、いつも着底しています。人が近づくとモゾモゾと泳ぎ出しますが、長距離は泳がないのか泳げないのか、ともかくすぐにまた着底するいじらしい魚。

▲ ガーデンイール畑 (ガイドのHさん提供)

このような素晴らしいポイントなのですが、このダイブは仕事のことで頭が一杯。
仕事を忘れるために潜っているのに、水中まで仕事に追いかけられるとは。

(初日)
平均水深 9.1m  最大水深 15.5m
潜水時間 46分  透明度 30m
水温 27℃    スーツ 2mmジャケット、5mmロングジョン+フードベスト

(2日目)
平均水深 8.8m  最大水深 13.1m
潜水時間 55分  透明度 30m
水温 27℃    スーツ 同上

◆ 初日3本目 油井小島

平均水深 8.2m  最大水深 23.7m
潜水時間 57分  透明度 10m
水温 26℃    スーツ 同上

油井の桟橋へ戻り、昼食。午後のゲストはわたしだけなので、近場のポイントへ。
桟橋で持参したカップ麺とおむすびを食べながら、スマホ片手に勤務先とメールのやり取り。

古仁屋の西にあるこのエリアは、カンパチの養殖が盛んに行われています。その餌を狙って、コバンザメが大物にくっつかずに、養殖場の周辺に住み着いているのだそうです。

ここも、浅場に広がる豊かな珊瑚礁が見事。
ただ、イラブー(海蛇)がうようよしていて、絡まないよう気を遣いました。

◆ 嘉徳ビーチの午後

3ダイブを終えてもまだ日は高いので、まだ行ったことのない場所を目指してみようと思い、嘉徳へ行ってみることにしました。
嘉徳は、わたしが泊まっている阿木名の北方にある海岸の小集落。地図を見ると、細い山道をしばらく走った先にある陸の孤島のようなところ。今や希少な人工物のない砂浜が広がっており「最後のジェラシック・ビーチ」とも呼ばれています。
歌手の元ちとせがこの集落の出身だそう。

細い山道を運転して着いた先には、人工物のない自然のビーチが広がっていました。人影も少なく、サーファーが二人ほど。

▲ 人工物のない砂浜

その背後にある小さな集落。
かつての小学校でしょうか、今では『嘉徳美術館』という入場無料・無人の施設となっていますが、その校庭には濃い緑が溢れていました。地方を旅していると、時折、古い施設がこのように地元の人々によって大切に守られ、まるでおとぎの国かジブリ映画の世界へ迷い込んだような場所に出会います。

▲ 嘉徳の学校跡

さて、嘉徳ビーチは、2014年秋の台風の到来により、大量の砂が流出。砂浜の消失を防ぐため、大規模な護岸工事が計画されました。しかし、今や全国的に数少ない人工物のないビーチを守ろうと反対運動が立ち上がり、計画から10年経つ今日も膠着状態が続いています。

こういう地域の問題に対し、局外者が論を垂れるのは不適切と思うので、地元の方々何人かに聞いた話を総合して、以下に記します。
地域住民のほとんどは、本音としては早く工事を進めてほしいらしい。理由は、砂浜に面した先祖代々の墓地が、浸食により年々地盤を削られているからだそう。このことは、一般的な報道にも、反対派の主張にも、あまり触れられていません。
ただ、その墓地は実は元々山の方にあったのを移転したという経緯もあるそうで、ならば元の場所に戻せばよいというのが反対派の論拠になっているそうです。
この争いは、どこまでも並行線ではないか…そんな声も聞きました。

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ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
次回は、アカククリの群れが舞うポイント・呑ノ浦を潜ります。宜しければ続きもご読み下さい。

私は、2020年に勤務先を早期退職した後、関東から京都へ地方移住(?)しました。noteでは主に旅の記録を綴っており、ロードバイクで北海道一周した記録や、もう一つの趣味であるスキューバダイビング旅行の記録、また海外旅行のことなども書いていきます。宜しければ↓こちらもご笑覧下さい。


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