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家庭になくてはならない液体【醤油】のあれこれ。

香り、風味、味が日本文化になくてはならないあの液体。醤油。

私たちが1日の中でほぼ毎日口にしているであろう醤油だが、案外その正体や健康効果は知らない。という人も少なくないだろう。

私もそのうちの一人だった。が、調味料講座をshironeriで開催するにあたり、おにぎり神谷の神谷よしえさんを講師にお招きしてお客様と一緒に半年間学びを得たことをきっかけに、より深く知りたいと思った。そして、佐賀が誇る老舗の醤油蔵を持つ『丸秀醤油』の秀島社長に直接蔵を案内していただき、醤油作りに触れたことで、毎日当たり前に口にしている醤油を正しく理解したい。そう強く思えた。

醤油の歴史】
日本の食文化を代表する調味料と言えば、なんと言っても醤油である。食欲をそそるあの香り、自然の旨みをたっぷり含んだ塩味のある優しいほのかな甘み、そして世界的にも類をみないバランスのとれた調味料。それが醤油なのである。醤油の歴史を紐解いていくと、さまざまな食材を塩水に漬けて発酵させた、古代中国の『醤(ひしお)』に行き当たる。中でも穀類を原料にした【穀醤(こくびしお)】が醤油のツールと言われています。※諸説あり
その後、鎌倉時代に伝わった金山寺味噌の製造工程で出来る上澄や、桶の底に溜まった液を醤油のように使い、室町時代以降の醤油作りたいへと発展したというのが一般的に普及している説です。つまり、日本の醤油は、中国から伝わった醤油の製法が日本で変化し、独自の変化を遂げ、地域ごとに異なる味わいや特徴が生まれたということである。

歴史を理解したところで、まずは、醤油の種類についてまとめてみた。
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【醤油と食文化と種類】

醤油ほど地域性のある調味料はないと言われている。みそは各家庭の出身地の食文化。受け継ぐことが多いようだが、醤油は住んでいる場所の食文化に影響されることがおおいそうだ。
また料理の種類によっても使われる醤油は変わってくる。

◉濃口醤油
原料は大豆と同量に近い小麦。関東を中心に利用されている。醤油の全生産量の約80%ほど。香りの高さも魅力の一つ。

◉薄口醤油
原料は丸大豆と軽く焙煎した小麦。仕上げに甘酒や水飴を加える。関西を中心に好まれている。料理の素材を活かすため、色、香り、旨みは控えめである。

◉生醤油(きじょうゆ)
もろみを絞った後に火入れをせずに、濾過して微生物を取り除いた醤油。香りは控えめ。近年大手メーカーが発売して以来、全国的にに流通。
※ボトル裏面のラベルには大豆・小麦・食塩だけが表示されているのも特徴。一般的に使われているお醤油は、ほとんどが生醤油(きじょうゆ)。

◉生醤油(なまじょうゆ)
生醤油(なましょうゆ)は、もろみから絞りだしたあと、加熱殺菌をおこなわない醤油。通常の醤油の製造工程ではビン詰めをする前に65℃~80℃程度の熱をかけて殺菌をする。乳酸菌や酵母菌などの動きを止める目的なのだが、この火入れをしていないのが生醤油である。ただ、微生物が生きたままの状態では賞味期限が短く、常温流通をすることができない。

佐賀県で唯一、天然醸造の製法で作られている醤油を作る丸秀醤油さんも年に一度の【蔵開き】にて予約販売で『生醤油(なましょうゆ)』を販売されており、その味は絶品。毎年多くのファンの方が予約をしている"菌が生きた醤油"である。

圧搾せず、自然に落ちていく醤油。時間と手間をかけた最高の醤油だ。


加熱殺菌をおこなわないので、雑菌がいるんじゃないの?と思われがちだが、技術の進歩により、雑菌を取り除くミクロフィルターが開発され、加熱殺菌しなくても、安全で安心して使うことができる。火入れの代わりに精密なろ過をして菌を取り除いているのである。
フレッシュな香りとまろやかな味わいが特徴的で、お刺身や冷や奴などお醤油をそのままかけたり、オイルや果汁と混ぜてドレッシングにもおすすめ。
※生醤油(なましょうゆ)はラベルに「なま」と読み仮名を表示することが義務付けられている。

◉白醤油
小麦をメインに、少量の大豆で造られる。江戸末期に愛知で造られるようになった醤油。旨みやコクは控えめで麹の香りと甘味が特徴的。うま味も抑えてあるので素材を活かすための醤油という存在。炊き込みごはんに使うと醤油の色がつかず、お吸い物や茶碗蒸しなども彩り豊かに仕上がりる。全国的に見ても白醤油の専業メーカーは少なくなっている。業務用途も多いが、一般消費者にも認知が進んできていて愛用される方も増えている。白醤油にだしを加えた白だしの認知度が高く、愛用者も多くなっている。

◉たまり醤油
原料はほぼ大豆のみ。愛知県を中心に中部、東海地方で好まれている。濃口よりも長く熟成させるため、旨み成分が多く、"とろり"としていて濃厚。口当たりの良い醤油である。仕込みに使う水の量は「たまり」は「濃口」の50%~80%位と少なく、この差が「たまり」独自のトロリとしたコクのある味にあらわわれている。また「たまり」は一年以上かけてゆっくりと熟成させるため、大豆と塩が見事に融和してまろやかな味になる。その証として他の醤油よりも濃い色合いが生まれるのである。
お寿司やお刺身につけるのにはもちろん、照り焼きや豚の角煮、佃煮にお漬物などいろんな料理に使える万能醤油であると言える。いつもの煮物に隠し味のように少量たまり醤油を足すだけで料理にコクが出るのでおすすめ。

◉再仕込み醤油
仕込みの際、塩水の代わりに発酵、熟成させたもろみから絞った生揚げ醤油を使う。山口県柳井地方発祥の、とろみのある濃厚な醤油。濃厚なうま味とコクがあり、熟成期間の長い濃厚な醤油。醤油で醤油を仕込む製法で、濃口醤油に比べて2倍の原料と2倍の期間を要する。大手メーカーが積極的に手掛けないタイプの醤油なので、小規模のこだわり醤油を目指す蔵元が手掛ける傾向があるようだ。半年から一年かけて濃口醤油をつくり、仕込み直しをしてさらに一年ほどかけてつくるケースが多いので、トータルで2年から3年かけて仕込みことが多い。時間を要す分だけその蔵や蔵人の影響を受けやすく、個性的な醤油が多い。使い方としては、濃口醤油やたまり醤油と同様、刺身の他、ソースの代わりにフライや肉料理に使用すると使いやすく旨みが増すように思う。料理の隠し味や煮物の最後に少量加えてうま味をアップ。

醤油の種類やどんな料理に合うかなどを知ることで醤油選びの基準が出来ます。原材料や味の違いを楽しんでみてください。毎日の当たり前が".少し特別な日常"に変化するかもしれません。

次の投稿では、実際に #丸秀醤油 さんの蔵見学してみて学んだこと、感じたことを投稿します。

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