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僕らが信じる、デザインの力。決算資料に命を吹き込め。

セルソースに転職を決めた時、周囲から言われたのは「あの会社、決算資料めちゃくちゃ分かりやすいよ」でした。

社長や業績のことではなく、最初に「決算資料」が言及される会社はかなり珍しいです。そして、確かに分かりやすい。さぞかし、いいデザイン会社を起用してるんだろうなと思ってました。

入社後に経営企画の人間として作成に携わってみたら・・・驚きました。その「狂気」とも言うべきデザインへの拘りに。外注は完全にゼロ。100%内製で作り上げていました。

今回は、セルソースが信じる「デザインの力」に、ちょっとだけ近付いてみました。

決算発表は「決算を発表する場」に非ず

決算翌日から始まる決算準備

第3四半期決算が終わり、一息ついた時のことです。裙本さんが「よし、年次決算資料の準備を始めよう。もうこのままじゃ間に合わない。」と言いました。

私は頭がパニックです。「え、あと3ヶ月ありますけど」と。そして、「少し休もうぜ」と(笑)

「そういえば、第3四半期決算発表の準備中から、年次決算のスケジュール引いてたな。。。」

そんなことを思い返しながら、みんなケツを叩かれ続けて準備を続けていると、本当にギリギリのギリでした。当日発表の数時間前まで図も文言も変わりました。

「決算情報を公にする場」であれば、資料の準備など数週間で終わるでしょう。しかし、セルソースにとっては違います。私の理解では、

セルソースという会社の「今」と「未来」を突き詰め、
凝縮してステークホルダーにお伝えする場

と裙本さんが考え、それをメンバーが120%理解しているのだと思います。そして、今や私も完全にそのメンバーの一員です。

そして、そのミッションを達成するためには、デザインが圧倒的に不可欠である、ということも、この9ヶ月間で心から理解させられました。

デザインは「表現」するためのみに非ず

デザイン思考

「デザイン思考」という言葉が世に浸透し始めて、すでに大分時が経ちました。これは、

ユーザー視点に立ってサービスやプロダクトの本質的な課題・ニーズを発見し、ビジネス上の課題を解決するための思考法

であり、セルソースでも非常に大事にしています。社内の評価基準にそのまま入っていますし、我々の6つのValueの一つである「Issue Driven」も、まさにデザイン思考です。

そして、「デザイン思考を持った非デザイナー」と「デザイナー」が一緒に議論をすることで、このデザイン思考が「結実」する所を目の当たりにしてきました。

全然座らない社長

初めて裙本さんと未来の組織や戦略について議論した時のことは、よく覚えてます。「この人、全然座らないな」という印象が強すぎて。

壁に直張りのホワイトボードに、何か書いて、ちょっと座ったと思ったらまた立って、書いて、そのまま考える。

私も前職では「ペンを握ったら離さない」と言われるほどにホワイトボードを占領するタイプですが、それ以上でした。「なんでこんな書くんかな」と思っていましたが、

「言語化できない、図式化出来ない思考や結論は意味がない」

この考え方が徹底しているので、自分の話していることが表現出来るかどうかをホワイトボードで確認しているのだと解釈しました。

つまり、「デザインはOutput(表現)するためのもの」だけではなく、「思考を深掘りしていくためのもの」としても位置付けています。

思考→議論→デザイン→表現出来ず、やり直し→議論→デザイン→やり直し→思考→議論→デザイン→表現できた!→それはどういうことなのかを言語化・・・

当たり前のようにデザインがプロセスに組み込まれていることが非常に興味深く、そして効果的だということがよく分かりました。

常に同席するデザイン戦略部長

もちろん、裙本さんはデザイナーではありません。ので、「こんな感じ!」が出来たらデザイン戦略部にデザインしてもらいます。

そうすると、ホワイトボードではいい感じだったものが、意外と違ったりします。若しくは、まだ突き詰められてないことに気付かされたりします。

そこから、そのデザインを見ながらあーだこーだと、また議論が始まります。ですが、これは「高いクオリティでの表現」をして貰えなければ出来ない議論であり、デザインのお陰でその深淵に辿り着けるのです。

そのクオリティでドラフトアップするには、「こんな感じ!」だけ聞いても無理です。そこに辿り着くまでのプロセスを聞いていなければ、極めて表層的なデザインになることでしょう。

そのため、そういった議論の際には「必ず」デザイン戦略部長が同席します。経営会議での結論をそのままIR部隊やデザイン部隊に投げている会社もあると思いますが、それでは思考も深まりませんし、本質的な表現が出来ません。

「そこにいることが当たり前」という価値観が共有されていることこそが、セルソースが持つデザインへの「想い」の発露だと思っています。

最後は一文字、一単語、一ミリにこだわる

内容が完成し、デザインが走ったら、最後は詰めの作業です。これも狂気。

一つ一つの言葉、表の構成、色、、、、其々が「本当に僕たちの言いたいことを表しているのか」を突き詰めに突き詰めます。

一つだけ例を挙げると、12月15日当日、資料開示の3時間前に話していたのは以下のスライドの一単語一単語でした。止まったのは「能力開発」。

僕らが今、「ヒト」と向き合ってやろうとしていることは何なのか

ここに戻り、その中での「人財育成」「能力開発」「成長機会」の定義をイチから話し合い、そして「能力開発」という四字熟語が相応しいのかどうか、を深く議論しました。3時間前。

このスライドの各単語など、きっと気にする人は1%に満たないでしょう。ですが、裙本さんを始めとして、メンバー全員がそこを議論することに一切の疑問を持たないのは、本当に素敵で凄いことだと思います。

神は細部に宿る。ホッチキスの位置とかそういうくだらないことではなく、本質的な細部に拘り切ることは、メンバー全員の思いを合致させる意味でも、極めて重要だと思います。

間違いなく、デザインは企業価値の一部

今、ファイナンスでは「非財務資本」が話題です。つまり、時価純資産(時価総額)と簿価純資産の差(=PBR)が会社によって物凄い違うと。

その差にはプラットフォーマーが持つ「データ」であったり、人的資本だったり、ブランドだったりします。私は、セルソースに来て思いました。「デザイン力」「デザイン思考力」は間違いなく企業価値の一部である、と。

どれだけ素晴らしい会社や戦略でも、他人が理解しなければ価値を感じてもらえませんし、そこから生まれるFree Cash Flowも織り込んでもらえません。その会社に勤めたいと希望する人も少ないでしょう。

「思考を深め、形にし、それを表現する」、このプロセス全てに関わるデザインのクオリティは紛れもなく企業価値に直結しますし、そこを明らかに意識しているSHIFTやラクスルは、やはり素晴らしい会社だと思います。

将来的には国際会計基準に「デザイン力」が含まれないかな・・・。

終わりに:とにかくホワイトボードのペンを握ってみる

「デザイン」というと何か遠いもののように感じますし、私もそうでした。ですが、セルソースに来て、意外とそうでもないな、という印象を強く持ってます。

人間は何かしら頭で考えるときに図式化やイメージを持っています。それを表現するかどうか、の話に過ぎないとも言えます。

ただ、それを手元のノートやiPadに書いているだけでは、僕はデザインとは呼べない、アートと呼ばれるものに近いと考えています。なぜなら、それを説明出来なくても問題ないから。

「他者に説明を求められる環境で、表現してみる」
→「会議でホワイトボードのペンを握ってみる」

これがデザインに一歩歩み寄る、最も手っ取り早い方法と思います。
(オンラインでも、iPadと繋いでGoodNote5に書いたり)

最近は、僕も会議では座らなくなりました。本当に。

では、今週はこんなところで。また来週。
以下に先日発表の決算動画・資料ページを貼っておきました。ご参考まで。

細田 薫


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