見出し画像

#49 イギリス短期留学記

僕は中学1年生の時に、イギリスに短期留学に行った。
イギリスでの日々は濃いものばかりで、初日から最終日まで、とにかくたくさんの思い出ができた。
そして、人生で一番のピンチにも見舞われた。
今回は、イギリスでの出来事を皆さんに紹介しようと思う。

初日


イギリスについて早々、留学プログラムの引率として来ていた方に「ホストファミリーが変更になるかもしれない」と伝えられた。
初日は現地の語学研修学校に集まり、ホストファミリーとの初めての対面が控えていた。

一緒に留学プログラムに参加していた周りの人たちがホストファミリーと対面し、車で家に向かっている中、僕とペアになった子の2人だけ、ホストファミリーに会えないまま2時間が経過していた。
しばらくして、引率の方に「ホストファミリーが変更になりました。」と伝えられ、予定していたのとは別のホストファミリーと対面した。

軽く会話をした後、車で家に向かった。
家に着くと、当時13歳の僕よりも3個年下の男の子、ケビンと対面する。
ケビンはアーセナルファンだった。僕はずっとアーセナルが大好きだ。
ケビンとアーセナルの話をした。つたない英語を使いながら。

当時アーセナルには、いろんなチームにレンタルで貸し出されていたものの、宮市亮が所属していた。
僕が「宮くん」と呼ばれているのは、宮市亮が好きすぎて「宮」というラジオネームを使っていた頃があるからだ。
ケビンは「宮市亮は最高の選手になる」と言っていた。
僕もこの頃までは、日本を背負って活躍する選手になると思っていた。
そこから何度も膝の怪我を繰り返し、何度も這い上がって来た宮市亮。
また絶対に復活してくれることを願っている。

初日はサッカーの話で盛り上がり、日本のお土産をホストファミリーにプレゼントして終わった。
カタコトの英語でも、なんとなく伝わってよかった。

2日目〜10日目?


語学研修学校で英語の勉強をしまくっていた。
英語を使ったゲームや、日本語禁止ピンポン大会などをしたりした。
とても楽しかったのは覚えているが、何を喋ったとか、どんな形で勉強していたかは全く覚えていない。

グループに分かれて、ホームステイ先があるイーストボーンという街の散策をしたりした。
フィッシュ&チップスはマジで美味しかった。
意味もなく、パッケージが全部英語のFIFAのソフトを買ったりもした。

9日目ほどだっただろうか。事件は起きた。

ホームステイ先には10歳のケビンの他に、17歳の金髪ギャル、ジェシカがいた。
朝8時ごろに目覚めて、洗面所で顔を洗っていると、ジェシカの使っている化粧品入れに、何か違和感を感じた。

よく見ると、僕が使っているiPod touchが突き刺さっていた。
「俺が寝ぼけて突き刺したんだろうな」最初はそう思っていた。

当時使っていたiPod touchは、ホームボタンが陥没してしまい、スクリーンショットが撮れない状態だった。
AssistiveTouchをオンにして、なんとか凌いでいる状況だった。

iPod touchを開いて写真フォルダを見ると、「6時15分」「6時18分」にスクリーンショットが撮られていた。
僕は絶対に寝ている時間だった。ジェシカの化粧品入れに突き刺さったiPod touch。
とにかく変だったが、僕が寝ぼけていただけだと思い、その時はなんの疑いもしなかった。

10日目〜最終日

ロンドン観光。デカめの船に乗って、ロンドン橋ビッグベンを目の前で見ることができた。

画像1


そしてその日の午後、この短期留学での一番の目当てだった、「ワーナーブラザース スタジオツアーロンドン-メイキング・オブ・ハリー・ポッター」に行くことができた。
目の前には、実際に映画で使われた映画のセットがズラリ。
とにかく興奮していた僕は、はしゃぎまくっていた。

画像8

画像2

画像3

画像4

画像5


オリバンダーの店や、秘密の部屋のドアなど、とにかく目の前には大好きなハリーポッターの世界が広がっていた。
この時のためにお金をあまり使わず貯めていた。
今日はここで大量にグッズを買って帰るぞ!そう思っていた。

楽しくグッズを選んでいたら、たまたま僕と全く同じ服を着た少年「ガブリエル」に会った。
adidasのオレンジ色のパーカー。僕は日本で買っているが、ガブリエルはもちろんイギリスで買っているだろう。
あまりの偶然に写真を撮ってもらった。いい写真だ。

大量にグッズを抱えてレジに行き、商品をすべてレジ打ちし終わった後、僕の財布の中身を見て、店員さんが僕に話しかけた。

 「ニホンノヒトダネ。オカネタリナイネ。ドウシヨウカ。」


耳を疑った。ふたたび財布に目をやる。

オカネナイネ!!!!!!!!!!!!!!!!!


僕は頭を抱えながら、とにかく所持金で買える範囲のグッズを選んだ。
選ばれたのは、カエルチョコ百味ビーンズゴールデンスニッチ。ただそれだけだった。

画像6

画像7


僕のテンションはどん底に落ちた。ニワトコの杖も、フラッフィーのぬいぐるみも、クィディッチのブラッジャーも、ルーナがプリントされたTシャツも、何もかも買えなかった。

どんよりした気持ちのまま、ホストファミリーの家に戻る。
日本に帰る支度をしている最中、ホストマザーから衝撃のひとことを聞かされる。

「娘があなたのお金を抜き取ったかもしれない」

ふたたび耳を疑った。僕は驚きすぎて笑ってしまった。
ジェシカだ。ジェシカは僕が寝ている間に、財布からごっそりとお金を抜き取っていたらしい。
ここでiPod touchの謎に迫る。
僕の考察というか、ほぼ確定案件ではあるのだが、

「僕が寝ぼけてジェシカの化粧品入れに突き刺した」

のではなく、

「ジェシカが僕のiPod touchを開こうとして苦戦したのち、結局日本語がわからず、諦めて放置した」

これが真相のはずだ。僕は怒りよりも怖さが勝った。
初めての留学で、まさか自分がこんな目に遭うとは。
とにかく苦すぎる最終日だった。ホームステイプログラムの保険で、盗まれた金額は返って来たのがせめてもの救いだった。
 

最終日〜日本に帰るまで

とにかく大変な経験をして、イーストボーン空港からドバイ空港に飛行機で向かっていた時のこと。
機内で飛行機の進路を確認できる画面を見ていると、飛行機が同じ場所をぐるぐると旋回しているのが確認できた。
僕はパニックになり、「え、俺ここで死ぬんや」とつぶやいた。
それに気づいた隣に座る女の子が騒ぎ出し、みんな事態を把握した。
すぐにCAさんがやって来て、説明をしてくれた。


「ドバイ空港の上空に雷雲が発生した影響で、雷雲が消えるのを待つために旋回していました。ご心配をおかけして申し訳ございません。雷雲が消えそうにないので、バーレーンに緊急着陸します。」

バババババ、バーレーン!?!?!?!?
あの、バーレーン!?!?!?!?!?!?


機内は大パニックになった。落ち着いた頃には、バーレーンに着陸しようとしていた。
バーレーンに緊急着陸し、機内で5時間を過ごした。
僕は永遠にSEKAI NO OWARI「幻の命」を聴きながら、機内のパネルでできるボウリングのゲームをして時間を潰した。

雷雲が消え、ドバイ空港に着いた頃には、日本行きの飛行機が出発してしまっており、ドバイ空港で2日過ごさないといけなくなった。
引率の方から、タクチケならぬメシチケを3枚もらい、ドバイ空港で無料で飯を3回食べた。
日本料理屋で食べたお寿司はクソまずかった。
マクドナルドで食べたチーズバーガーは、日本のものよりも2倍あった。
スタバでキャラメルフラペチーノトールを頼んだら、なぜかヴェンティが来た。
拙い英語で「違いますよ!」と伝えたものの、フランクな店員が「いいよ!持ってけよ!」と言ってくれた。
日本のものよりも1.5倍くらいのヴェンティ。当たり前のようにお腹をぶっ壊した。
予備で持って行っていた日本円をドバイのお金に変えてもらい、なぜかドバイ空港でオランダの国旗がプリントされたサッカーボールを買った。
結局、日本行きの飛行機に乗ることなく、一旦香港を経由することになった。
香港に行く飛行機の機内で出た機内食のハンバーグには、ハチミツがついていた。
ハンバーグにハチミツは意味がわからない。一口も食べずに残してしまった。

香港に着いた。空港でお姉さんとお姉さんが中国語で罵り合っていた。
横にはとにかくイケメンのお兄さんが立っていた。恋愛関係のトラブルだろうか。

香港の空港でパズドラのガチャを回したら、クシナダヒメが出た。
当時はとにかく強キャラだったので嬉しかった。

やっと日本に帰ってきた。予定の2日遅れでの帰宅。
ジェシカのせいで3日に1回ほどしかシャワー浴びられなかった僕は、帰って早々熱々の風呂に入った。
人生で1番気持ちよかったのではないだろうか。

春休みの宿題は何もやっていなかった。とにかく答えを移しまくり、無理やり終わらせた。

ミニクーパーのイギリス仕様の大きめのおもちゃを当時2歳だった弟にプレゼントした。
喜んでくれて心から嬉しかった。
日本に帰ってすぐにUSJにハリーポッターエリアができた。
事情を知っている親のおかげで、大量のハリーポッターグッズを買うことができた。


 ニワトコの杖も買えたよん。



以上が僕のイギリス短期留学記。とにかく疲れた。
一歩踏み出して思い切ってチャレンジしたこの経験は、今後かならず活きてくると信じている。

fin。

















是非サポートお願いします。サポートしていただいた資金は制作資金、ギター資金、ミルクティーに変わります。宜しくお願いします。