石油に次ぐ新たな資源としてのデータの特徴(デジタルファースト・ソサエティ)
「デジタルファースト・ソサエティ」を読んだ。本書の中で学んだ「モノづくりからコトづくりへの移行」、「石油に次ぐ新たな資源としてのデータ」についてまとめる。
モノづくりからコトづくりへの移行
これまでの製造業は「モノを効率的に作って売ること」が最重視されていたが、これからは「モノを使い続けてもらうこと」が重視される。
所謂、モノづくりからコトづくりへの変革には、システム思考やデザイン思考、新価値創造が必要だ。
製造業のデジタル化はモノづくりからコトづくりへの変革を可能にする。
モノづくりからコトづくりへ移行する際には、「プラットフォーム」「他企業との連携」の考え方が大切である。顧客が求めている「コト」を1企業で実現するのは困難だからである。「コト」を提供するために、各企業はプラットフォームへの参加やプラットフォームづくりが必要である。
石油に次ぐ新たな資源としてのデータ
これからの時代、データは企業に富と成長をもたらす「資源」といえる。10数年前は世界における時価総額の上位企業には「石油関連」の企業が多くを占めていたが、近年は「デジタル・IT関連」の企業が軒並み増加している。
新たな資源として「データは石油」と呼ばれているが、その所以を理解することで新たな資源としての「データ」の特徴を掴むことができる。
①プラットフォームが不可欠
石油の場合もIoTの場合も資源を活かすには、プラットフォームが欠かせない。プラットフォーム無しでの活用は不可能ではないが、経済的合理性が求めづらい。
②掘っただけでは使えない
石油もデータもそのままでは使えない。堀った石油、取得したデータを処理・加工することで初めて価値が生まれる。
③異種成分との混合で価値が高まる
石油の場合は異種成分と混ぜてより価値が高い石油化学製品を、データの場合は企業内外のデータと組み合わせることで新たなビジネス価値を生み出すことができる。
このように「石油」とも共通する「データ」の大きな特徴は、取得から活用、新たな価値創出までのプロセスが決して容易ではないことである。
終わりに
本書で学んだ「モノづくりからコトづくりへの移行」、「石油に次ぐ新たな資源としてのデータ」についてまとめた。
コトづくりで、新たな価値を生み出すには、システム思考やデザイン思考、プラットフォームの作成または参加が必要なこと。また、「データ」というこれからの時代の資源を取得、活用して、新たな価値を生み出すプロセスは決して容易ではないと学んだことで、製造業DXの解像度が上がったと感じる。
既存のシステムをデジタルに置き換えるだけのデジタル化ではなく、新たなシステムで価値を生み出すデジタルトランスフォーメーション。学べば学ぶほど、実践すればするほど、とても面白い。