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他者との比較をせずに、自分が絶対的に幸福を得られるのはいつなのか。(幸せとお金の経済学)

「幸せとお金の経済学」を読みました。

◆目次
1.地位財・非地位財という概念
2.地位財とは何か
3.非地位財とは何か
4.地位財の消費が非地位財の消費を抑制する
5.いかに地位財を求める競争に参加しないか
6.非地位財への消費を意識的に増やす
7.まとめ

1.地位財・非地位財という概念

この本を読んで、地位財・非地位財という概念を知った。それぞれ、以下のように定義されている。

地位財…他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの
非地位財…他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの

2.地位財とは何か

地位財とは、社会的地位や服装などのことだ。例えば、「同期よりも社会的地位が高い場合に感じる優越感」や「同じコミュニティの中で高価でオシャレな洋服やアクセサリーを身に着けていることで感じる満足感」。このように、他人と比べて自分が優位であることで感じられる幸福感のことだ。

学歴などを考えるとわかりやすい。自分が東京大学卒であるとして、AとBの場合、どちらでより幸福感を感じるだろうか。

A.京都大学や早稲田大学、慶應義塾大学出身の同僚たちと働いている
B.スタンフォード大学、ハーバード大学出身の同僚たちと働いている

恐らく、Aの場合は少なからず優越感を感じるが、Bの場合は劣等感を抱くことになるだろう。

このように、自分が所有しているモノ、自分の状態が同じにも関わらず、コンテクストによって幸福感が左右されるモノのことを本書では「地位財」と定義している

3.非地位財とは何か

一方で非地位財とは、休暇や健康などのことである。例えば、「学生の夏休みの長さ」や「一年で風邪で体調を崩す日数」。このように、絶対的に感じられる幸福感のことだ。

休暇を考えるとわかりやすい。次に示す、AとBの場合どちらでより幸福感を感じるだろうか。

A.自分の夏休みの長さは1ヶ月半、友人の夏休みは2ヶ月
B.自分の夏休みの長さは1ヶ月、友人の夏休みは2週間

恐らく、大多数の人が友人の夏休みの長さとの比較によらず絶対的に夏休みの期間が長いAを選ぶだろう。

先に説明した地位財は相対的に優位な場合に幸福を感じる財だが、非地位財はこのように絶対量が多い時に幸福をより多く感じる財のことである。

非地位財は、コンテクストによらず幸福を感じる事ができるのだ。

4.地位財の消費が非地位財の消費を抑制する

本書は、地位財から得られる相対的優位性による幸福感を求めすぎるあまり、非地位財へかければ得られたであろう幸福感が減少していることを指摘していた。

例えば、皆がジーンズとTシャツだったら自分もジーンズとTシャツで挑んでもなんら問題がないはずの就職活動において、相手の行動を読みあった結果、皆がお金をかけてスーツや鞄を購入して他者より少しでも自分を良く見せようとしている。このように、皆が地位財を手に入れる事を求め続ければ、地位財を手に入れるために必要な金額は上がり続ける。最終的には、非地位財の消費にかけるお金が逼迫されて、個人の幸福感が減少してしまうだろうという指摘だ。

だからといって、地位財を求める事は一切やめろとは言っていなかった。いかに、地位財を求める競争を抑制するか。また、非地位財への消費を増やすか。といったことを意識して行動する必要があるのではないかという問いを投げかけられていた。

5.いかに地位財を求める競争に参加しないか

いかに地位財を求める競争に参加しないで、消費を抑えて幸福感を得るかを、自分で考えてみた。

わたしは、相手と自分の評価軸を複数持つように意識する事が重要だと思った。確かに学歴では劣っていても、自分が相手よりも得意な所や優れている所は必ずあると思う。だから、無意識に同じ土俵で戦いを始めそうになったら、視野を広げて違う土俵に移動しようと思う。

ここで重要なのは、自分の優れた所を認識する力だと思う。

6.非地位財への消費を意識的に増やす

次に、非地位財への消費を意識的に増やす方法を考えてみた。

非地位財への消費を増やせば絶対的に幸福感が増すので、非地位財への消費を増やす事を意識するのは大切だと感じた。

では、自分にとって非地位財とは何だろう。

休暇、読書の時間、旅行する時間、良い香りをかぐこと、家族や恋人・友人と過ごす時間、音楽を聴く時間、演劇を観る時間、異文化に触れる機会、、、

たくさん出てくるようで、自分に取って「これだ!」という非地位財が浮かばない。

まずは、認識できている非地位財の消費を意識しつつ、見知らぬ非地位財に触れる機会を作りたいなと思う

7.まとめ

この本で、地位財・非地位財という概念を知った。

地位財とは相対的に優れている事で幸福を感じられる財。その特徴は、皆が競争して優位になろうとするため、皆が地位財を求めれば求める程、同じ金額を支払った時に得られる幸福感が小さくなるという事。

非地位財とはコンテクストによらず絶対的に幸福を感じられる財。非地位財への支出はした分だけ、幸福感を感じられる。

そして、一つの問題として挙げられたのは、「皆が地位財ばかり求める結果、結果的に幸福感が小さくなっているという事」。その原因は主に2つ。1つ目は、他者も地位財に対する支出を増やすから、相対的に自分の地位財が減少し、地位財から得られる幸福が減少するから。2つ目は、地位財への支出競争に参加することによって、非地位財への支出が減少するから。

この視座を得て、私は以下の2つを意識する事が大切だと思った。

「相手と自分を比べる評価軸を複数持つ事」
「自分に取っての非地位財は何かを認識し、非地位財の消費を意識的に増やす事」

他人と比べて一喜一憂せずに、自分はどういった点で優れているか、自分が何が好きでいつ幸福を感じるか、ふと立ち止まって考える時間を持つようにしようと思う。