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私が医学部に行かなかった理由

どこかの記事で書いたが,私の両親は医者だ.

だが私は一応両親に勧められたものの,高校の進路決めのときに真っ先に医学部を外した.

周りの人からもよく

”暇人くんは医学部?”

”やっぱり医者を目指しているの?”

などと聞かれる.

鉄板の質問なので深く考えたことがなかったが,理由を話すと長くなって面倒くさい.私は感じたことはないがネット上では上記の質問にプレッシャーを感じる人もいるらしい.

なので今回は私が医学部に行かなかった理由を自分なりに綴ってみた.

1.そもそも学力がない

もう前提条件から崩壊しているのだが,私は勉強がそれほど好きではない.幼少期に勉強しているとバカにされるし,他人に聞いても「そんなことも分からないのか」みたいな態度で扱われてきたからだ.

なので,そもそもテストや入試で点を取ることに魅力を感じなかった.周りは”受験はゲームだ”と言う人が多かったが,そのゲームそのものが魅力的な媒体に映らなかった.

それでも渋々5教科7科目勉強していたが,地理以外はどれもパッとしない成績だった.特にこれといった得意教科や興味のある分野はないし,差はあれど全教科ベースアップしないといけない状態だった.なので,この成績で医学部を目指すとなると5浪しても済まないような気がして医学部は志望しなかった.

2.医系の血筋ではない

私の家系は,決して医系の家柄ではない.母方の祖父は工学系のエンジニアだし,父方の祖父も物理を専攻し,小学校で教鞭を取っていた.父方は分からないが,母方の祖父・祖母は両方とも北陸の商人だった.(蔵のある結構でかい商家だったらしく,今もちょっと金銭感覚が違うなと感じる部分もある.)なので特にこれといった職業に先祖代々従事している訳ではない.

まぁ一応共通項を見出すとしたら,医者も教師もエンジニアも商人も専門性のある職業なので,”職人”の家系になるかもしれない.だが医者だけに限定されていない.前向きな表現をすると比較的風通しの良い環境だったので,両親も一応勧めてみるけれど無理強いするレベルではないと考えていたのだと思う.

3.”医者=ブラック”という偏見を持っている

これは私の幼少期の記憶なのだが,私の両親は月に2回ほど土曜日も出勤していた.なので,土曜日によく保育所に預けられていたのを覚えている.私も

「休日くらい家にいたいなぁ」

と思いながら預けられていた.当時はそこまで深く考えてなかったが,それほど仕事が忙しいのだなと感じていた.

また,普段の会話が患者の愚痴ばかりだったのもある.良い話ならいいのだが,8割型は「診療方針に文句言ってきたから大学病院に送った」という趣旨の愚痴だ.医者同士なら話していて気持ちの良いものなのかもしれないが,医者の”イ”の字も知らない当時の私にとっては疲れる内容だった.こんな愚痴を幼少期から浴びるように聞いているので,「医者にはなりたくないな.」と思うようになったのかもしれない.

4.血がニガテ

親いわく,医学部(少なくとも医学科)では人体実験が必修らしい.実験では死体解剖をするので,結構な量の血が出ることがあるという.だが私は血が苦手だ.血を見るだけで胸のあたりがザワザワする感覚に襲われる.高校の生物の授業でカエルの解剖をしたが,それですらダメだった.(脊髄破壊で脚がビィーン!となったのを今でも覚えている.)

人体実験では自分と同じ種類の生物を解剖するのでよりリアルなものを見ることになる.なので,カエルでダメならヒトでもダメだろう.死体を見ただけで卒倒してしまいそうな気がする.

長々と書いたが,私には医者になるような特性は生まれつきない.というか向いてない.医系の家柄だと条件が変わってくるのだろうが,向いてない職業を無理に継承する必要はないと思う.完全に経営に専念して理事長的なステータスに就くとか,逃げ道ならいくつかありそうな気がする.

ただ一つ言えるのは,医学部は成績が良いからという理由で行ってはいけないと思う.聞いた話だが,医学部に入って燃え尽きたり,特性を見いだせず退学する人もいるらしい.頑張って医学部に入っても医学に興味がない,あるいは血が苦手だ,というのだと元も子もない.成績が良いなら,まずは自分の特性や性格を見極た上で判断することをお勧めしたい.

私の場合,医学部を目指さなかったおかげで今があるように思える.


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