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伊那にはホンマもんの桜がありました。

写仏部部長のHimashunです。

先日、信州は伊那在住のクリエイターにして写仏部員のつきふねさんのお誘いを受け、日帰り弾丸ツアーに行ってまいりました。

伊那は信州でも南信と呼ばれる地域。松本や長野、上田に比べると知名度は低いですが、なんとも風光明媚な景色が広がります。

南アルプスと中央アルプスに挟まれ、心地の良い風が吹き付ける、不思議な土地でもあります。

私は今回が初の来訪でした。世に名高い伊那・高遠の桜は見てみたかったのです。

今回は写仏部の結んだ素敵なご縁がありまして、つきふねさんにご案内いただきながら伊那の良いところを巡ってまいりました。

今回はそのつきふねツアー、もしくは部長による部員の個人面談の様子をレポいたします。


朝3時に起き、奮発して着物を着付けして、4時に出発!中央本線の鈍行に揺られ、伊那についたのは10時半でございました。

伊那北駅ではつきふねさん(以下、つーさん)がお待ちかね。アイコンの絵そっくりの御顔立ちだったのですぐ分かりました。

つーさんのお車でまずは高遠城址公園へ。今日が満開ということで駐車場はいっぱい。なんとか止めて高遠桜の並木道を上っていきます(この時つーさん名物の急バックも体験したのです)。

高遠の桜はコヒガンという種類。

ソメイヨシノよりも早く咲く彼岸桜の一種ですね。

都会のソメイヨシノに見慣れた私としては、大変新鮮なものでした。

というのも、やはり色が違うのです。

あっこれが本当の桜の色なんだなぁと思わされました。

もちろんソメイヨシノもきれいなんですが、高遠のコヒガンを目にすると、なんとも味気ないものに感じられる。それくらい高遠桜は迫力満点!

満開の桜の中、にこやかなつーさんにご先導いただき城址公園を進みます。

お城は山城と言えば良いのでしょうか、石垣はなく、大掛かりな土塁が張り巡らされ、往時を偲ぶことができます。

歴史やお城は全然詳しく無いのですが、高遠はかつて織田軍と武田軍による戦いがあった場所ということだけはインプットしてきました。

つーさんによれば、武田軍は壊滅し、その時の血を吸って高遠桜はこんなにも赤く染まったとのこと。怖い話は苦手なのでやめて…。

お茶も点てます。

そう、野点セットを持ってきていたのです(重かった…)。

つーさんにもご相伴いただきまして、高遠桜を見ながら抹茶を召し上がっていただきました。

私が原っぱに敷くのに祇園祭大船鉾の手拭いを取り出すと、つーさんも負けじと奈良の鹿さん手拭いを。さすがです。

高遠の桜です。

見てください、この美しさ!

都会とは違ってのびのび育っていますね。

結構彼岸桜って枝ぶりが特徴的で、ソメイヨシノは横にしなりながら伸びるのに対し、高遠桜は枝や花が軽いので上に上に伸びていきます。

なので火焔型の燃え立つような樹形になって、より美しいのです。

花は一つ一つが小さいけども、そんな控えめな感じがまた良い。

満開になりたてなので、色合いもかなり濃いですね。

高遠城址公園を一巡りしたところで、私はお腹が減りまして。

ただつーさんは超少食なので食べられないとのこと。私は着物姿で鹿のジビエソーセージを買ってかぶりつきました笑。

しかもこれがとってもおいしかった!本当はもう一本食べたかったんですが、つーさんがお待ちなのでサッと食べて駐車場に戻ります。

ちなみにサムネの画像はその途中で撮った、笑い男、ならぬ笑い部長・降臨!の写真。

モザイクの内には桜に囲まれて満面の笑みを浮かべるHimashunの顔が…。つーさんのみぞ知る。


さて、お次はつーさんのお車でもう一つの目的、伊那文化会館で開催中の池上秀畝展へ。

池上秀畝展についてはつきふねさんも私も記事を書いています。

つーさんに関しては伊那でやっている四つの池上秀畝展を全てコンプリートされたとのこと、今回が二回目の拝観ということでした。

お目当ては、上の画像でも使われている《蜀桟道》という作品。

図録では見ていたものの、実見するとまた印象が全然違う!

画家というのは、細部を描きながらも全体を意識するわけでして、図録だと全体しか見られないのです。

ですから、美術館に行って細部を見るという体験は、画家の超人的な全体把握能力を改めて認識させられる場として有意義だと思いました。

《蜀桟道》は江戸南画の伝統を継ぐ、形式主義(マニエリスト)な側面がありつつも、点描のように豊かな色彩を重ねる色彩主義(カラリスト)的な面も強いです。

さらには形式主義と反目するはずの写実主義(リアリスト)的要素も入っていて、この秀畝という画家の一筋縄では行かない多角的な側面がよーく分かりました。

正直、練馬区立美術館でやっている秀畝展よりもかなり充実しています。行ってよかった!

伊那文化会館を出て、隣接する春日城址公園を散策。

こちらも桜の名所であり、高遠のコヒガンとは違った系統の、様々な桜を見ることができます。

写真は小高い丘から桜と市街を眺めるつーさんの後ろ姿。

私のつーさんにお会いした印象は、「俗塵とは無縁なお方」。

つきふねさんはnoteでは日本の心を追い求め、自分なりの表現で創作を行われる風流なお方であると皆さん理解されているかと思います。

リアルなつーさんもまさしくそうでして。詳しい話はいたしませんが、本当に慎ましやかな方なのです。

とってもなごやかな雰囲気をお持ちで、一緒にいると幸運が訪れそう、そんな方だと思います。

春日城址公園の桜、本当にきれいです。

うららかな春の日に、思わず酔いしれそう…。

つーさんと車中でクラシックのお話をさせていただきましたが、つーさんはピアニストでもありまして、演奏者の視点から見た曲や音楽家の良し悪しについてのお話がお伺いできました。

それによると、バッハの平均律クラヴィーアやベートーヴェンのソナタは実に難しくて、しかもやらされるものなので好きになれないとのこと。その点ショパンは良いそうです、演奏していて気持ちよくなれるからだとか。

上の埋め込みは、つーさんとのお話で俎上に上がった、メンデルスゾーンの「無言歌」。ワルター・ギーゼキングの古い演奏です。

ちょうど伊那の満開の春の美しい日を連想させる名演ですので、良かったらお聞きください。

春日城址公園は人が少なく、しかも地元の人しか訪れません。

高遠城址公園も皆さんにこやかで、桜も美しく素敵だったのですが、やはり人がいないというのは最大の贅沢でしょうか。

成人式でしょうね、振袖を着た女性が家族と共にいらっしゃっていて、この美しい日に素晴らしい門出の瞬間が送れるというのは、お会いした我々をも幸福にしてくれます。

伊那という土地の美しさ、豊かさを思わされるような、ゆるやかな時間がただただ過ぎてゆきます。

私とつーさんがとりわけ感じ入ったのは、この大きな枝垂れ桜。

とっても包容力があるというか、優しく包み込んでくれそうな大木です。

本当に信州の桜は美しい。そう、桜を見たときには美しいという凡庸な言葉しか口から出てこないのです。

都会というのはセカセカしていて、桜も急かされるように咲き、ストレスも多いものですが、伊那の桜は本当に伸びやか。

伊那というまるで武陵桃源図で描かれる桃源郷のような里、そしてそこに住まわれる清らかなつきふねさん。なんとも物語のようなお話です。


枝垂れ桜を見上げて。

これからの写仏部の方針についてもミーティングを行いました。

やはり部長の私が一番身軽な人間なので、色々なチャレンジをしたりやアイデアを出していくべきだという思いを強くしました。

リアルでの出会いも大事にしようという話にもなりまして、是非部員全員と面談をしようではないかという方針も打ち出されました。

もしご迷惑でなければ、いつか部長が部員たちのもとに参ります。これを一つ大きな目標にしたいと思います。

あっという間に15時、お別れのお時間となりました。

つーさんはわざわざ30分も待って御見送りいただきました。

この美しい隠れ里を、名残惜しくも後にし、余韻に浸る間もなく私は上諏訪の角打ちでDABADA…。

お家に帰ったのは22時過ぎでありました。


伊那のつきふねツアー、第二弾も検討されているようですよ。

部員たちは是非伊那行きをお考えになられてはいかがでしょうか。

まあ、一番やってみたいのは奈良の写仏合宿ですがね。

今回のつきふねツアー、点数をつけるならば100点を通り越して200点満点でした!

伊那の風光明媚さ、桜の美しさ、春の天気の麗らかさ、そしてつきふね部員の何を言ってもフォローして頂けるスキル、言う事なしです。

私は生涯の思い出に残る観桜をしたかもしれません。

つきふねさん、本日は本当にありがとうございました!

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