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【物語】遠吠え #最終話~胸騒ぎ~

その夜
私はなぜだか胸騒ぎが止まらなかった
「しろ」のことが頭から離れず
とうとう朝まで眠れなかった

夜明けて辺りがうっすらと明るくなった頃
「しろ!」
私は走り出した!!

「しろ」の顔が見たかった
なぜだかわからない
とにかく無性に

「しろ もうすぐ行くから待ってて!」
息を切らして私は走ってゆく

「しろ」がよく話してくれた公園を抜け
駆けてゆく

赤い屋根「しろ」の家が見えてきた!

「しろ!!」
私は叫んだ
力一杯 心の底から

目に飛び込んできたものは・・・

「しろ! しろ!」
しろが しろが動かない!!

いつも寄り添って暖めあった
「しろ」の体を抱き寄せた

「冷たい 冷たいよぅ しろー!!」

私の涙が「しろ」の頬を伝っていく

私はいつまでも いつまでも
涙が枯れるまで泣き続けた

涙が枯れた頃 「しろ」の顔をみつめた
その顔は今まで見たことがないほど
穏やかで 幸せな顔だった

「しろ もう自由だね 
やっと好きなところへ駆けて行けるんだね・・・」

「しろ」の顔を優しく撫でた

たった一人の親友「しろ」
愛情という束縛の中を
精一杯生き切ったんだね

私は空を見上げた

私はもう泣くことはないだろう

私はあなたとの日々を決して忘れない 
あなたのことを胸に抱いて
これからを強く強く生きてゆくよ

「しろ」が亡くなったその日は
雲一つない青い空だった

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