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言語聴覚士として何を提供できるのか(成人の分野)

いったい何の仕事?って思う方が多いと思う。まだまだ知名度の低い仕事だ。リハビリのイメージは理学療法(PT)が先行して、次に作業療法士(OT)、続いて最後に言語聴覚士(ST)。患者さんからも知らなかったって言われることもある。でもいつも縁の下で頑張ってるよ!!

リハビリ3職種 

🍀理学療法士(PT) 大きな動作(起き上がる、歩く)や呼吸、心臓の循環関係などのお仕事をする。

🍀作業療法士(OT) 日常生活動作(お風呂、トイレ、家事など)や手の専門だったり、精神科領域のリハビリも行っている。

🍀言語聴覚士(ST) リハビリの中で一番最後にできた資格。話す・食べる・聞こえなどのほか、高次脳機能障害(頭の中のお話)に対するリハビリも行う。

STの仕事

「失語症」話せない・聞いて理解できない・読めない・書けない

 ある日突然、脳梗塞や事故で脳に障害を負って「しゃべれなくなった」「家族・友人の言葉がわからなくなった」。こんなことが起きたらどうだろう。昨日までと全く違う世界に放り込まれたら・・・想像もできない世界だ。怖くて、不安で、恐怖に包まれるだろう。パニックになるだろう。だって、いきなり海外にポツンと一人放り込まれたような状況だもの。

「構音障害」ハッキリ話せない、ろれつが回らない、聞き取ってもらえない

 唇や舌が麻痺してうまくしゃべれない、何度も聞き返されちゃう、電話じゃ伝わらない、コーヒー飲みたいのにこぼれちゃう、ぶくぶくうがいもこぼしちゃうから服がびしょびしょ・・・顔の麻痺があって外出しにくいなぁ、外食したいけど食べ物や飲み物が口からこぼれちゃうから行けない・・・ 

「嚥下障害」むせて食べられない、誤嚥性肺炎を繰り返す、体重が減った

 むせてむせてご飯が食べられない、飲み込めない、軟らかい物しか飲み込めない、元気がない、体重が減った、微熱が・・・痰が・・・肺炎・・・・脳梗塞の後食べられなくて鼻から管で栄養、胃ろう作るように言われた。胃ろうなんて・・・作りたくない・・・

「高次脳機能障害」記憶障害、道がわからない、2つのことが同時にできない、物がうまく使えない、今までできたことが出来ない・・・

 人の頭ってすごい!たくさんの機能が詰まってる。そんな大事なところが脳疾患や事故なんかで障害を負ってしまったら、びっくりするほど色んな症状が飛び出してくる。そして日常生活を送ることが難しくなってしまう。働き盛りなのに仕事どうするの・・・、主婦なのに家事がうまくできない・・・

ざっくり書くとこのような症状に対してリハビリを行うのが言語聴覚士だ。

行うなんておこがましい。いつも患者さんから勉強させて貰っているのはこちらなのだから。

話すことはその人の想いを伝えること、食べることは生きていく事、また楽しみの一つ。それは人間の根底に当たる部分だと感じている。伝えたい人に想いを伝えて、家族や友人とご飯を食べて。そんな大事な部分を支えていく仕事だと感じている。

話せない、食べれないって・・・胃ろうって・・・口からご飯がこぼれちゃうからみんなとご飯に行けないって・・・顔の麻痺があるからいつもマスク外せないって何・・・ろれつが回らないから人前に行けない、話せないって・・・

  まとめると、「生きにくい」って感じるかもしれない。これじゃ笑顔になんてなれないって、思うかもしれない。

だから言語聴覚士として何が提供できるか考えると、

つまりは笑顔

だと思って働いている。だって、辛いときって周りに合わせて作り笑顔はできても、心から笑えないから。心から笑えた時、その人は辛さを抱えながらも一歩前に進んでいるから!

どんなに患者さんとともに頑張っても障害が残ってしまうこともある。でも一歩でも前に、少しでも良くなって行くことが出来たら。患者さんが笑ったら、それは心が軽くなっている証拠。昨日より今日・今日より明日、半歩でも前に、一緒に進む。あの人の笑顔、この人の笑顔、見たいから日々経験積むし、後輩にもそれを伝えていく。一緒に泣いて一緒に笑うセラピストが居ても良いんじゃないかな。              

 

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