食卓ひとつ、世界はまわる*1ヶ国目:イタリア*
飛行機のチケットも、大きなバックパックもいらない。
片手にプライパン、もう片手にフォークを持って。
鮮やかなテーブルクロスをひいてロウソクを灯す。
目を閉じて、おいしい香りで心をいっぱいにしたら、そっと瞼をひらく。
そこには歴史と文化がつまった、遠い国の料理が並ぶ。
たったこれだけで私たちは、
この小さな食卓の上でまわっている世界を、旅することができる。
私と彼(やじまさん)は、この連休でどこへ行こうか、と話し合っていました。2人ともフリーランスなので、連休中に進めたいお仕事もあります。ありのままに言ってしまえば、海外旅行にいくお金の余裕はそこまでありません。
でも、私たちには好奇心と想像力がたっぷりとあるのです。
連休前のある夜。
「メキシコ料理が食べたいな...」
やじまさんが言いました。
そこから、彼は閃きました。
「この連休で、世界の料理を食べよう!そこから、歴史やその国のことを知ったら楽しそうじゃない?」
何もないと思っていた連休。世界を旅したい、でもできない。と心の隅っこで思っていた小さな私が、むくむく!!と起きてきました。
「それは楽しそう。世界の食卓を旅しよう。」
どこへ行こう!2人で行ってみたい国を挙げていき、決めました。
イタリア、メキシコ、トルコ、デンマーク、ギリシャ、韓国、イギリス、そしてモロッコ。
さっそくキッチンに立って、旅に出ましょうか。
ひとつめの旅先は、イタリア
パスタが好きな私たち。イタリアは絶対に行きたい国のひとつです。悶えるほどおいしいパスタを食べながらワインを飲んで、昼から夜までテラスでのんびりする。そんな妄想をするだけで「っんふ♡」が出てしまいます。
さて、何を作りましょう。
パスタはいつも食べているので、ちょっとつまらない。せっかくなら、あまりお家で作らない「ラザニア」を作ることにしました。
ラザニアの歴史は古く、なんとローマ帝国の時代から食べられていたそう。イタリアでは長く愛されてきた家庭料理なのですね。
昨晩はお客さんがふたりいらしたので、やじまさんのオリジナルカクテルと一緒に、コースのように楽しんでみることに。
色合いがおいしい、カプレーゼ
わたしはモッツァレラチーズが大好きです。濃厚なミルクの味が、オリーブオイルや岩塩、フレッシュなバジルとトマトによく合う。
カプレーゼには、シンプルにワインを。
夕方の4時から、という休日らしいスタート。もてなしている私たちもワインをちびちびと飲み、お客さんとゆっくりお話を楽しみます。
幸せな時間です。
花火のように薫る、燻製ソーセージ
「あ、おいしい!花火みたい。」お客さんのひとりが、そう言いました。
私たちは燻製が好きで、中でもあらびきソーセージの燻製は文句なしに最高のおつまみ。
やっぱり、ソーセージにはビールですよね。
やじまさんのオリジナルカクテル「潮風のビール」が食卓に。
これビールなの?と思うくらい、爽やかでゴクっと飲めるのです。
ちょっとドイツな感じのするメニューになってしまいましたね。旅は気まぐれに。こういうのもありです。
お次は、メインのラザニア。
おいしいの、重ねましたラザニア
前日から仕込んだミートソースに、ホワイトソースとチーズをたっぷり重ねて。
小さなココットに入れると、
「これはわたしだけのもの」って気持ちになるのでわたしは好きです。
もちろん、大きなお皿でみんなで分け合うのもいいけどね。
スイーツには、ちょっと日本が恋しくなるカクテルを
ゆっくり食べていたら、日が暮れました。ロウソクを灯して明るくしましょ。
最後のカクテルの名前は「チャヤカクテル. あずき」。
よもぎとシナモン、そしてあずきが程よく混ざり合う甘いカクテルです。
口元には、お塩が。
おいしくってゴクリと飲んでしまうのですが、れっきとしたお酒なのでホワッと酔わされます。
イタリアっぽい音楽もかけて、ゆるりと過ごした午後。なんだか、本当に旅行に行ったような気持ちになりました。
食卓を囲むことは世界共通。こうやって、世界中の食卓は心のこもった料理を載せて、人々のお腹を満たしているのだろうなあ、と思いを馳せました。
・・・・・・・
「食卓ひとつ、世界はまわる」
初日のイタリアへの旅は、お客さんの存在もあって賑やかであたたかい旅になりました。
さて、次はどこへ向かいましょうか。
トランジットも距離さえも飛び越えて、食卓の上の世界はまわる。
言葉で、日々に小さな実りを。そんな気持ちで文章を綴っています。