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「少なくとも私にとって」

こんにちは。社会福祉士、精神保健福祉士のぽこです。


◇雑談


最近、Voicyでフォローしているチャンネルやインスタのフォローアカウントの整理をしました。
気になるアカウントはすかさずフォローしていましたが、情報を追いきれなくなったのです。
「発信してくれた内容を漏れなく受け取りたい!!」と欲が湧いてきてしまい、その欲に対して自分の時間を配分できずに葛藤していました。
今までは、フォロー数は変えずに「無理のない範囲でチェックできるものだけ受け取ろう」としていました。
しかし心の中には常に「受け取れるはずの情報を受け取れていない」とまるで損をしたような感情があります。
この引っ掛かりを取るために、思い切って何人かフォローごと外してみました。
すると、自分に流れてくる情報の波を堰き止める防波堤を設置したように、波が穏やかになりました。
いつか、無料の情報は受け取らないくらいの思い切った姿勢を取りたいなと思います。

◇湊かなえ:「物語のおわり」

さて、今日はお気に入りの小説のある一文を紹介します。
湊かなえさんの、「物語のおわり」という小説です。
私は湊かなえさんの小説が大好きで、特に登場人物の頭の中で行き交う内言や、掛け合う言葉並びがとても好きです。
そんな彼女の小説の中で特にお気に入りなのが、この小説です。

・「少なくとも私にとって」

場面として説明するのは難しいのですが、小説の中のとある一文を紹介します。
空想を文章に書き留めるのが好きな小学生の女の子がいます。その女の子は、自分の空想の世界をくだらないと思っているし、小説を読んで作家という職業に憧れながら、自分がそうなることは夢にも思っていません。
でも彼女の書き物を読んだ友達がこう言います。
「少なくとも私にとっては、あなたはもう作家よ」と。

・特定の誰かにとっての「何か」であること

その書き物を書いた本人は自分のことを作家だなんて思ってもいません。
また、自分の書き物をきちんとした作品だ、とすら考えていません。
しかし少なくとも、その友達にとっては作家だった。

この文章を読んだとき、「特定の誰かにとって、私が望む何かであることができれば充分なんじゃないか」と思いました。
万人に対してではなく、特定の誰かにとって大切な人であればそれでいい。
万人にとって同じような存在である必要は無いのだと思うし、改めて考えるとそれは不可能なことなのです。

・誰かの人生に登場できるのが嬉しい

先日昔の日記を読み返していたら、こんなことが書いてありました。
「誰かの人生に良い形で登場できていたら嬉しいな」
その文章は、大学を卒業して4月から社会人になる、そんな3月の末に書いた日記でした。
私は放課後児童会、回転寿司、ブライダル、経理事務など複数のアルバイトをかけ持っていたため、本当にいろいろな人と出会い、いろいろな人のお世話になりました。
助けられながら働いてきた反面、いろいろな人の助けになる仕事もしてきました。
放課後児童会の子どもたちにとって、回転寿司のお客さんにとって、さらにそれらの職場で働いていた他の社員にとって、私はどんな存在だったのかは分かりません。
それでも、何か少しでも良い形で登場できていたら、とても嬉しく思います。

私はいろいろな人と出会う中で、いつの間にか「みんなから同じように好かれたい」と思うようになっていました。
それは同時に「みんなから同じような価値を見出されたい」という思いに繋がってしまっています。
人それぞれにとって違う私がいるのだということを受け入れ、そこに喜びを見出して生きていきたい。
そんなふうに思わせてくれる一文です。

・まとめと紹介

断捨離しようと思って、本棚の隅に隠れていたこの本を手に取ったのですが、結局また本棚に戻ることになりそうです。
言葉並びが気に入った本はどうにも捨てられません。
この小説は、本の結末を読者に委ねるという変わったスタイルをとっています。
気になる方はぜひ読んでみてください。

では、また💐


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