【背神】改造シスター服の廃教会:エピローグ

「いやいや、ほんとに悪い冗談ですよ」

 新しく楽しい事を始めようと選んだ建物は、とんだ事故物件だった。
 潰えてしまった、偉大な信仰。忘れられたのではなく、力不足による滅亡。
 孤児院も兼ねていたここには、取り残された者たちの無念や妬み嫉み(ねたみそねみ)が溢れかえっていた。それらが神の皮袋を被っただけの、神のようなもの。ーーそれでも、れっきとした神の末席だった。
 信仰に飲まれるとはかくも恐ろしきものだ。力があるというだけで、八百万に加えられてしまう。本当に、この世界は常識外れに優しい。
 新天地を求めて扉を開いた先にいたのは、そんな神サマだった。

 ーーなので、神のいないこの月に空き巣を働くことにした。
 大義名分で神を貶め、装束で背信を訴える。皮袋であっても教義に基づいて存在している神サマには、ひどく暮らしづらい環境が出来上がっていることだろう。

「迷える子羊に救いあれ、とか言ってみたり」

 神サマによってラクエンに閉じ込められていた魂が、ショゴスの触手で送り届けられているのを見届けながら、次の配信準備に精を出す。

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