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短編:練習02

はあはあはあはあと犬みたいな呼吸しかすることができず胸と背中が空気をバネにするポンプのように動き続けている地面へ両手足をついてどうにか健全な精神を取り戻すべく深く息を吸い吐く動作を繰り返すが耳鳴りどころか動悸さえちらとも落ち着くことはなく音高く脈打つ心臓の動きと同じように目頭がしぼんでは膨れ目の下がひくひくと痙攣する地面がゆれ体が振子のようにどこへ倒れるべきか迷ってうねうねと左右へ大きく傾ぎ往復し続けている何をしているのかと戸惑いの滲む声が頭上から降ってきて体裁を保ちたい私はいいや何ともないなんて答えるつもりで持ち上げた舌は尾を踏まれた芋虫のように縮み怯えるような痙攣を起こしただけだった。

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