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[小説]ギフト~練習~

 練習が始まる。ランニング、筋トレ、基本練習、ドリブル、パス回し、その後は顧問の先生の指示で変わる。1対1だったり3対2だったり、ミニゲームだったりセットプレーだったり。でも1年はパス回しまでやると、大きめの休憩を挟んでまたランニング、筋トレ、基本練習だ。どうやらうちの顧問はテクニックより体づくりに重きを置いているらしい。まぁ成長期だしな、と思いながらもやっぱりおれはゲームがしたかった。

 一通りの練習メニューが終わり、それぞれ休憩していると遠くで先輩達が先生になにやら話をしているのがこちらまで聞こえてきた。

「先生、いいじゃないっすかちょっとぐらい!渡辺の弟もミニゲーム参加させてくださいよ!」

聞き間違いかと思った。あいつは基本練習を少し見ただけでもわかるくらい、そんなに上手い訳じゃない。おれの方がまだイケてる方だと思っていた。つまりはあいつはあの先輩の弟だからそういう風に言われているという風にしか考えられない。

「あのなぁ、先生もいろいろ考えて練習メニューやメンバーを決めてるんだぞ。やりたきゃ部活終わったあとにでもやれ」

先生は先輩達を一蹴していた。それを聞いておれは心の中でブワッと燃えだした火がスッと一気に鎮火したような気持ちになった。


 練習後、先輩たちはあいつをメンバーに入れてミニゲームを始めた。部活は終わっているが、みんな残ってそのゲームを見るようだ。おれはそんなの見る気になんかならない。祥太は嬉々とした表情でおれを誘ったが、適当に断り、一人帰路についた。

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