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【じーじは見た!】 後編:第6次エネルギー基本計画の課題⁉

COP26が話題になりましたが、日本政府はCOP26に向けて国連に提出したNDC(国が決定する貢献)を決定しました。

決定に際して、次の3つを10月22日に閣議決定しています。

1)第6次エネルギー基本計画(主管官庁:経済産業省資源エネルギー庁)
2)地球温暖化対策計画(主管官庁:環境省)
3)パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(主管官庁:環境省)

3つの閣議決定の内、産業界の発展に軸足を置く経産省資源エネルギー庁の『第6次エネルギー基本計画』を確認しています。
本編は後編です。
前編に目を通していただくと話が繋がります。


✅原発比率20~22%はどうやって担保するのか?


2030年に原発比率20~22%を確保するというのは、住民感情から考えて実現が難しいという見方もあれば、現実問題として困難との見方をする専門家の意見もあります。

では、第6次エネルギー基本計画に「原子力」はどんな風に書かれているのでしょうか?

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まずは、原発事故を反省して安全最優先であることの理解を得たうえで原発立地自治体に再稼働の理解と協力をお願いすると書いてあります。

理解を得るための課題解決策として書かれているのは

①使用済み核燃料対策としては「中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用の推進
②最終処分としては「できるだけ多くの地域での調査の実現
③国民理解としては「わかりやすく丁寧な広報・広聴

これでは、原発再稼働がどこまで計算できるのか?
明快にならないのも仕方ない気がしませんか?

更に「立地自治体の信頼関係構築」をお題目にしなければならない程、10年前の原発事故で信頼関係が傷ついてしまっているのです。

✅政権与党が国民に訴えなくてはならないこと⁉


自民党総裁選挙では脱原発派の河野さんですら「原発を今すぐゼロにはできない」と発言されていたエネルギー問題。

野党が「脱原発」を声高に言えば立派な争点になったのですが、今回の衆議院選挙の争点にはなりませんでした。

そりゃあ『今回の選挙は「原発賛成か、反対か」を問う選挙です』なんて野党が連呼できるか?と言えば、野党も少しは電源構成を学んで賢くなっているので争点にはしませんでした。

脱原発を争点にして後で実現不可能なことになって八ッ場ダム沖縄基地の最低でも県外移転公約の繰り返しをする訳にもいかず、エネルギー問題を選挙の争点にはしませんでした。

そうやって国民の理解を求める政治家の説明がないまま、第6次エネルギー基本計画では、原子力比率20~22%が前提となりました。

前提が実現できないとNDC(国連に提出する国が決定する貢献:日本は温室効果ガスを2013年比46%削減)は達成できないことが分かっていながら国連にコミットしてしまいました。

政権与党が原発に及び腰で「新設もリプレースもしない」と言っているのに経済産業省は国の行く末を考えて「研究開発の推進」のタイトルで次のように書いています。

2030年までに、民間の創意工夫や知恵を活かしながら、国際連携を活用した高速炉開発の着実な推進、小型モジュール炉技術の国際連携による実証、高温ガス炉における水素製造に係る要素技術確立等を進めるとともに、ITER計画等の国際連携を通じ、核融合研究開発に取り組む。 

「新設もリプレースも放棄する」のなら「高速炉開発」「小型モジュール炉の実証」「高温ガス炉による水素製造」「核融合研究開発」は、矛盾する計画です。

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✅政権与党は、原発問題から逃げてはいけない⁉


正直に
「原発をあきらめて電気代が3倍になるだけでなく、産業基盤の自動車産業を始めとして多くの産業を崩壊させ、失業者にあふれても脱原発社会を早急に作るのか?」
「安全性を確保した上で、日本の国際競争力を維持するためにまずは、2100年までは原子力に依存する原発共存社会を作るのか?」
を国民に問わなくてはなりません。

フランスのマクロン大統領は長らく塩漬けにしていた原発新設に舵を切り原発共存社会を目指す「SMR(小型原子炉)の開発宣言」をしました。

じーじたち国民は馬鹿ではありません。
ちゃんと説明してくれたら理解します。

じーじは、ヨーロッパ主体に作られたルールで日本の国土という再エネに不利な条件下でも日本が再成長するためには、原発共存社会が必要だと思っていますが、いろいろな意見があるでしょう。

ただし、議論ばかりして結論を先送りしている余裕はもうないと思います。
この話の続きは次週に回しましょう。

✅これから日本はどうなっていくのだろうか?


昭和の戦後復興とは、国際的に競争力のある自動車産業を中心に系列化や下請け化(部品会社を下請けにする)、世界に例のない建設会社数(50万社)を誇る下請け、孫請け、曾孫請け構造づくり、どんどん規模の小さな会社に発注して人を安く雇って上位企業がピンハネする産業構造の成功体験でもありました。

しかし、その成功体験は85年のプラザ合意後35年以上も給与の上がらない社会、経済の競争力を無くした社会になった現実からも、もはや世界には通用していません。

エネルギーの選択というのは、その弱っている産業基盤すら崩壊させかねない大事な問題なのに原発うやむやでいいのでしょうか?

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そして、エネルギー問題以上に大切なのは「属人化」「部分最適」を基盤とした社会構造をどうするのかであり、どこに成長投資をしていくかです。

緊縮財政は愚の骨頂。
建設国債による財政出動すべしです。
まずはインフラ(水道・電気)劣化更新と気候変動への適応投資です。

なぜならば日銀がいくら国債を引き受けてお金を銀行に供給しても財政出動したお金が成長分野に投資されず、日本の成長に結びつかないことはアベノミクスの結果を見ても歴然だからです。

じーじは先週「標準化」「全体最適」「働き方改革」に繋がる分野への投資と気候変動への適応投資・劣化更新投資が必須だと勝手提案しました。👇

しかし、その分野に民間の投資資金が向かうかが問題です。

成長分野<言葉を変えるとリスク分野:BIS規制によって銀行が国債を日銀に買ってもらってもそのお金はリスク分野に投資できない>に投資資金が回る仕組みがないので日銀の異次元緩和だけではゼロ成長継続確定です。

どうなっていくのでしょうかねえ?

今回は、何とも歯切れの悪い第6次エネルギー基本計画のお話でした。
次回は、原発未達の場合の奥の手を一緒に見ていきましょう。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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