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フリーランスで監督業

私は大学を卒業して2年半だけ会社員をやりましたが、そこから20年ぐらいフリーランスとしてやってきました。

フリーランスと言っても、「フリーランスとしての自負」みたいなものがある訳ではなく、来た仕事をやっていたら、たまたま会社に所属すること無く今に至り、毎年確定申告をしている、という感じでしょうか。

私が会社をやめた理由はいろいろあるのですが、一番大きかったのは昼寝が出来なかったことかもしれません。「そんな厳しい会社だったんですか!」と思われそうですが、そういう事ではありません。私がしたい昼寝は、しっかり布団に入って2〜3時間寝るタイプなんです。会社の椅子に座って昼寝をするレベルではないんです。学生の頃から、必ず昼間に2〜3時間昼寝をしていました。昼寝をすると頭がスッキリして閃きがあるし、ものすごい集中力が出るんです。学生時代にそんな生活をしていたので、昼寝が出来ない会社員生活はつらいなあと思っていたんです。

とは言え、結局はここ15年ぐらい昼寝をすることもありません。昼寝をしない習慣がつくと、昼寝をしないものなんですね。適当なものです。

たぶん日本で映像を作る「監督」と呼ばれている人の多くは、フリーランスだと思います。私はフリーランスではありますが、マネージメント事務所に所属しています。マネージメントのアウトソーシング、みたいなイメージでしょうか。

スケジュール管理やギャラの交渉をしてもらいます。「スケジュール管理」と「ギャラの交渉」という、私にとって本当に苦手なパートをやってもらえるのは、すごく助かるんです。そこに関するストレスが無いですから。監督の仕事は異常に打ち合わせが多いので、スケジュール管理が大変なんです。仕事が複数になるともうパズルのようなスケジュールになってきますから。

それにしても、どうやって20年もフリーランスでやってこれたかと言うと、偶然としか言いようがありません。たまたま良い人や仕事に巡り合ったとか、そういう偶然の積み重ねだった気がします。確定申告をする時に毎年思うんです。「今年も奇跡的に仕事が来たな」と。

とは言え、私の事で言いますと、「来た仕事は断らない」「怒らない」「キレない」「ちゃんと納品する」「締切は守る」「遅刻しない」ぐらいの事は気をつけてやってきました。私ならではの事ではなく、仕事をする社会人の最低限の事ですけれど。

でも「監督」と呼ばれる人たちは、ちょっとおかしなところがあって、仕事を断った自慢をしたり、キレた武勇伝を話したり、仕事を降ろされた自慢をしたり、普通に1〜2時間遅刻をするんです。才能のある人や旬の人は、仕方なくそれが許されたりするんですが、才能が無くなり旬じゃなくなった瞬間に、恐ろしい結末が待っているんです。私は気が弱いので、そんな事絶対に出来ません。

でも、「来た仕事は断らない」を守りすぎたせいで、一度過労で倒れました。厄年になってすぐです。幸いにも過労死せずに済みましたが、それ以降はスケジュールやボリュームを考えて仕事をするようにしています。「ちょっと無理すればやれるかも」というのが一番怖くて、結局やってしまうと「ちょっと無理」ではなく「相当無理」する羽目になります。

今まで仕事をしたことのない制作会社やプロデューサーからのオファーだったりすると、ちょっと無理してでも、挨拶代わりにやっておこうと、若い頃は思いましたが、今はあんまりそれを優先しようとも思いません。結局は仕事の内容次第でしょうか。仕事の内容と言っても、自分のやりたい仕事だけを厳選するとかではなく、「やる意味」と「報酬」と「大変さ」のバランスです。

あと、昔お世話になった人だからとか、付き合いがある人からのオファーだからといって無理するのもやめました。そこで無理すると、その人を嫌いになってしまう気もするからです。嫌いになりたくないから一緒にやりたくないってのは、本当にあるんです。

今はフリーランスなのに、CM制作会社の「株式会社DASH」さんに席まであり、そこで作業をしています。DASHさんでやっているレギュラーの仕事がいくつもあるので、常駐している方が効率もよく、気心知れてる方々ばかりで本当に良くしてもらっているので、居心地もいいんです。フリーランスにしてはすごく恵まれている環境にいます。

私はたまたまずっとフリーランスでやってこれたのですが、いざとなったら生活環境を思いっきり変える覚悟はしています。収入が突然激減することになったら、思いっきり安く生活できる場所に引っ越す予定です。年齢的にもここから収入が大きく上がることは無いと思うので、そろそろ少しずつ縮小して行く予定です。今は「たくさん稼いでたくさん使う」という燃費の悪いやり方をしていますから。子どもたちの前で移住の話をしたら、「じゃあ沖縄がいい!」「目の前が川で毎日釣りできる所が良い!」と悲壮感は無いので、いざとなった時に、移住の可能性は十分にあります。

完全に「監督業」を辞めて、生き物の養殖とかそういう仕事もいいな、などと思ったりすることもあります。

フリーランスの監督業について書いてみましたが、そんなに面白い話にはならないなと、2100文字ぐらい書いたところで気づきました。

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