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【読書】むらさきのスカートの女

著者:今村夏子

街中で”むらさきのスカートの女”と言う名で噂になっているとされる女性に興味を持ち、ひたすら追いかけ続ける1人の女性の物語です。

最初に見かけた時の”むらさきのスカートの女”は髪がボサボサで、無口で、いつも公園のベンチに1人で座っているという特徴から暗い性格のイメージがありましたが、その後仕事を見つけてからは職場での経験や人との繋がりによって少しずつオープンな性格に変化していきます。
一方で、本作は主人公の女性目線で物語が描かれているのですが、客観的に主人公のことを説明する描写がほぼないため、”むらさきのスカートの女”よりもむしろ主人公の方が得体の知れない人物であるという状態が終盤まで続きます。

後半に入り、”むらさきのスカートの女”の職場でいつくかのトラブルが発生したあたりから物語が動き出し、”むらさきのスカートの女”と共に主人公の正体が見えるようになってくる部分はスリルがあり、勢いよく読み進めてしまいました。

常に良い知れぬ不安感を感じながら細かな描写に気を配り、物語の核心を考察して読むのが楽しい一冊でした。

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