見出し画像

至極のギャグを交えて病み期の話をする Part3

どうも、ひらおです。

この記事はPart3です。

Part1、Part2をまだお読みでない方は
ぜひこちら↓から先にお読みください。

Part1

Part2

実はこのシリーズ、前回から今回にかけて打ち切りの危機がありました。

というのも、前回更新後に、
妻から「暗い」という強烈なご意見が編集部(俺)に寄せられましてね。

まぁ、おっしゃる通り。
読むのにも心の体力がいる感じになってしまっているのは間違いないわけで。

悩んだよ、俺は。

打ち切りにしないまでも、休止しようかとか、明るい通常回を挟もうかとか。

だけど、そんなときにあたたかいメッセージをくれた人がいて、
とても勇気をもらいました。

嬉しかったです。ありがとうございました。
今後も応援してくれる人がいる限りは続けようと思います。

内容的にはおそらく、次回くらいに希望が見えてくる感じで、
今回はまだ沈んだエピソードもあると思われます。

ごめんね!

もし読んでいて息苦しくなったら、適宜休憩して心の栄養補給をしてほしい。

あったかいココアを飲むとか、YouTubeで爆笑動画を見るとか。

俺の過去記事であほあほエピソードを読むのもいいね。
リンク貼っておきます。
ちょっと笑ってくれたら嬉しい。

で、笑顔になったら続きを読んでみてほしい。
少し辛くても、必ず最後はハッピーエンドで終わる話だから。
至極のギャグ()もあるしな!
何故か誰も言及してこないけどな。

それではいきます!

05 「試験と目覚まし時計」

朝。
目覚まし時計の音が響く。

身体に鞭を打ち、立ち上がる。

体感の睡眠時間は毎日20分くらいだった。
実際それくらいしか寝られない日もあったけど。

小学生時代から使っていたお気に入りの目覚まし時計の音は、
いつしか世界で1番嫌いな音になっていた。

毎日生きるのがとても辛くて、
あるいは何も感じなくて、
その始まりを告げる朝日がいつも
真っ暗に見えた。

(電車の中で寝ていいよ。
学校で寝ていいよ。
だから今は少しだけ動こう。身体を運ぼう。
寝る場所を変えるだけだよ)

そんなふうに自分に言い聞かせる。
心を騙すように、毎日を過ごす。

唐突だが、俺はウルトラマンが好きだ。
(色々観ているが特にティガ、ダイナ、ネクサスが好きだ。同志よ語り合おう)

だから元気だった頃、朝起きるときは、
メガネに手を伸ばしーーウルトラセブンの変身シーンを思い浮かべながらーー

「デュワッ!!」

と叫び、メガネをかけて起きていた。

俺はもともと変人なのである。

(これだけやっているにもかかわらずセブンについてはニワカである。いつかフルで観たい)

だが元気がなくなってからは、ユーモアが自分の中から消えた。
ただ目覚まし時計が憎かった。

日常生活は破綻しかかっていた。
それでも毎日大学に一限から行き、
根性で授業に出続けていた。

しかし、4年間で一度だけ単位を落としてしまったことがある。

おそらく大学で最も厳しい教授が担当している講義で、
進級には関係ないが、社会福祉士になるには必須のものだった。

授業には全部出て、迎えた試験の日。

他の科目も試験がたてこんでいて、その日だけで4つ目の試験だった。

試験開始まであと15分。
最後に不安なところを確認しようと思い、適当な空き教室に入った。

でもそうやって、独りになったのがまずかった。

椅子に座ってノートを広げてーーそれ以降の記憶がないのだ。

気がつくと俺は床に寝転がっていて、辺りは真っ暗になっていた。
反射的に時計を見る。
試験の終了時刻はとうに過ぎている。

「ああああああああ」

どうしよう。やってしまった。
頑張ったのに。あんなに頑張ったのに。

悔しくて泣きたかったが、泣き方もよくわからずに机を引っ掻いた。

「あああ…」

次に恐怖が襲ってきた。

試験を受けなかった理由を聞かれたらどうしよう。
教授は俺のことを気にかけてくれていた。聞かれないわけないな。

体調不良の場合は事前に申告する制度があるから言い訳できない。でも正直にも言えない。

特待生じゃなくなったらどうしよう。
実習行けなくなったらどうしよう。

とにかく「どうしよう」で頭がいっぱいになった俺は、後日教授の部屋を訪ねて謝りに行った。

「先日はテストを受けられず申し訳ありませんでした。
おなかが痛くなってどうしてもトイレから出られなくなってしまって。
すみませんでした」

教授は声を荒げることもなく、
「君だけ特別扱いするわけにはいかないが別の年に受けることもできるから…とにかく事情はわかりました」

と、教授にしては相当優しい返事をくれた。
おかげで「どうしよう」はひとつ減ったのだが、
「どうしようもない」疲労感と虚無感は
果てしなく続いていて、俺は途方に暮れていた。

目覚まし時計が壊れたのは、それから少し後のことである。

ある日寝坊して、どうして目覚まし時計は鳴らなかったんだ、と思い枕元を見ると、目覚まし時計が壊れていた。

故障ではなかった。無惨にボロボロになって、破片が散らばっていた。

そのときは、高いところから落としてしまったからだと思ったのだけど、
別に高所にセットしているわけでもなかったのでそれはありえない。

今思うと、おそらく無意識のうちに投げつけるか、叩き割るかして破壊したのだろう。

俺はまったくそのことを思い出せないのだけど、時計には悪いことをしたな。
中学受験のときも、奨励会を受けるときも、一緒に過ごした時計だったのにな。

そんな感傷に浸り、少し悲しくなった。

自分を通すために頑張っていたのに、
自分が自分でなくなっていくようだった。

06 「実習とタクシー」

3年生になると、社会福祉実習が始まった。

実習先や期間は希望する分野などによって異なるのだが、
俺は児童分野を希望していたため、児童養護施設で30日間の実習という、
考え得る限りハードなコースになった。

週7日のうち、実習が5日(毎日8時間)、あと1日は学校で指導を受け、休みは1日。

今考えると、やめとけよ、と思う。
できるわけないじゃん、そんな状態で。

児童養護施設は被虐待や親の死別などの事情がある子どもたちが過ごす場所だ。
心身が健康じゃない状態で実習に行くのは、子どもたちにも迷惑である。

でも俺はバカだから。
そんな状態でもなお、自分が病んでいることを認められていなかった。
できると信じて疑わなかった。

実習開始前、先生たちが皆に釘を刺していた。

「遅刻などで実習先に迷惑がかかる場合は強制的に中止させます」

当然の注意喚起である。
だが、各所に寝坊、遅刻を繰り返していた俺にとっては大きなプレッシャーだった。

実習は、あまりにも辛かった。

毎日朝起きて施設に行くこと。
太陽の下を歩くこと。
人と話すこと。

また、俺は家事が得意ではなかったので、
実習先の先生から、家で料理を練習するように言われた。
「お母さんとかにやってもらってばっかりなんじゃないの。もっと練習しなきゃ」

おそらくは悪気なくかけられる何気ない言葉。
でもそんな一言が俺の心を刺していく。

ふざけんなよ。
俺が今家でどんなふうに過ごしてると思ってるんだ。
家族のことに気安く触れるなよ。

初日の実習が終わったときから、俺は実習の進捗を分数にして気を紛らわせることにした。

初日が終わったら、30分の1。
2日目が終わったら、15分の1。

10分の1、7.5分の1、6分の1…。

なかなか進まない数字。
意味のないようなこの作業をひたすら繰り返す。
毎日僅かに変化するこの数字に、俺は希望を託していた。

それと、やっぱり朝はなかなか起きられなかった。

目覚まし時計が壊れて以降は、携帯のアラームを最大音量でかけていたのだが、身体を起こすのは難しいことだった。

「強制的に中止させます」

先生の声が蘇って、力を振り絞って起きる。
でももはや、普通に行ったら間に合わない時間になってしまっている。

そこで俺はタクシーに頼った。
お金を握りしめて家を出て、急いでタクシーを捕まえて連れて行ってもらう。

それでもギリギリだったが、なんとか間に合って、遅刻を帳消しにできた。

タクシーの良いところは、乗り過ごす心配がないところだ。
電車と違って、気を失っても目的地にたどり着く。
俺はそれからも頻繁にタクシーを使った。

悪いところは、お金がかかるところだ。
バイトで貯めたお金を銀行口座から全部おろしたが、あっという間になくなった。


異変に気付いてくれたのは、彼女だった。

どういう会話の流れだったのか思い出せないのだが、ある日LINEで実習のことを話していると、唐突にこう言われた。

「直ちに実習を中止してほしいと思う。あなたの感想は、他の人と全然違う

何を言い出すんだよ、と思った。
なんのためにやってきたんだ。辞められるわけないだろ。

俺は彼女の言葉に耳を傾けなかった。

でも彼女は俺のことをよく見て、話を聞こうとしてくれた。

デートに3時間遅刻しても、待っていてくれた。
彼女がトイレに行くタイミングで俺が立って寝ているのに気づいて、心配そうに手を握ってくれた。

ある日、実習の合間を縫って行ったデートの帰り道。
ふと俺が「疲れちゃった」と言った。

誰にも言えなかった言葉が自然に言えた。

「もう休みたい」

「うん」

「実習も行きたくない」

「うん、行かなくていいよ」

「眠い」

「うん、休んでほしい」

そして駅につき、彼女は言った。
「あなたのやりたいことをやってほしい」

やりたいこと?

俺の今やりたいことってなんだろう。
フラフラになって、必死でやっていることはいっぱいあるのに、
やりたいことが何もないな。

やりたいこと。

結構長い時間考えて、やっとひとつだけ見つかった。

「勝負がしたい」

言ってから、我ながらなんて馬鹿馬鹿しいことを言うんだろうと思った。
奨励会はもう辞めたのにな。

「勝負?」

「うん。なんでもいいから勝負がしたい。
負けても笑えるようなやつじゃなくて、勝つことに命をかけられるような真剣勝負がしたい」

そっか、と彼女はうなずいてくれた。

「それが今、あなたがやりたいことなんだね」

絶望の中に少しだけ光が差した気がした。


♪テッテテテレレレ、テンテンぱふ!
(笑点の音楽)

おーい、みんな!生きてるか!?
今回もなかなかヘビーだったね。ごめんね!

読んでくれてありがとう。
それでは至極のギャグで締めさせてもらいます!

えー、本編でもわかる通り、睡眠というのは難しいんですな。
よく眠るための方法はいろいろありますが、
昼間に運動するのもなかなか良い対策だと言われております。

野球やサッカーも良いけれど、私のおすすめは水泳です。
もうぶっちぎりでいいですね。

なんでかって?

そりゃもう、ほら。

わかった方はご唱和ください。

エドはるみばりに…せーの…

すいみんぐーーーー!!


……!!!!!!!

もう10月も終わりだね。寒いね。
あ、座布団もうないよ。え?退場?そんなことある?

皆さんもう少しお付き合いください。
またまたまた続くっ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?