[2023]ヒラマサが読んだ120冊と良かった7冊

ご挨拶

M2の年末、佳境も佳境ということになりました。
今年は基本的に月10冊ペースだったのですが、11,12月はほぼ1冊も読めずに1か月をまくってしまいました。例年、あと数日であと数冊読むのですが、今年はもうそれどころではなく、とはいえたった数年でも続けてきたお約束を途絶えさせるのも気持ち悪いということで。

さて、今年は120冊ほどの本を読んだようです(読書メータ―に登録できなかったものも数冊あるのですが)。2020年に読んだ78冊 や2021年に読んだ120冊2022年に読んだ75冊 を踏まえて読んだ今年の本はこんな感じでした。

こう眺めると、やはり写真のアルバムをめくるのと同じように、本と共に思い出がよみがえってきます。縋るように手に取った本や、ふと思い出して読み始めた数年来の積読、薦められた本や目が合った本、何で読んだか、何が書いてあったか覚えてない本など。
もっと本ばっかり読みたい1年でしたが、就活や履修上のマイルストーンなど、常に何かに追い立てられ続け、常にひっ迫感を感じている落ち着かない日々でした。もっと読むべき本があったし、読みたい本もあったのですが、それはもっと定常状態みたいなところにいないと読めない本かなと思います。来年以降はその定常状態に突入するんだと信じていますが、どうなんでしょう。読むべき本が林立している中では、読める本から読んでしまうのではないでしょうか。
ともあれ、この中で面白かった/読んでよかった7冊をピックアップしてジャンル別に紹介したいと思います。なお、修論の文脈が入らないように意識しています。

目次:
生活
・小説とエッセイ
・社会
・生活

生活

限りある時間の使い方

タイトルから、ライフハック・仕事効率化系の内容を想像しますが、むしろ「効率的に仕事を処理しても(するから)時間は増えない」という立場で、自身の人生の限りある時間をどのようにマネジメントするべきかを論じています。学術的な知見も様々導入されており、読み物としても面白かったです。わりと年の頭に読んで、これは確実にBook of the yearノミネートだぜ、と思うほどに感動的だったのですが、内容が盛りだくさんで逆にメモしておらず、内容を思い出せずにいますが、落ち着いたら再読します。覚えてないのにここに取り上げるくらい、なるほどベストセラーだぜって思いました。くやしい。

小説とエッセイ

ルビンの壺が割れた

タイトルと表紙が魅力的で買って以来、しばらく積読していました。それゆえにあらすじも何も知らずに読み始めたので、「仕掛け」に見事にハマりました。寝る前に読んでしまったので、変な夢を見ました。
かみ合うようなかみ合わないような、ルビンの壺のように曖昧な対話の輪郭が割れる瞬間に、脳内でつじつまが合い、心底納得したうえで恐怖に陥れられる、エキサイティングな1冊でした。

マンハッタン少年日記

ピュアとワイルドを徹底して、逸脱した先にある孤独と連帯が儚くてロマンティック。
言葉にできない、直線的でないこの感情こそ読書体験なのだろうと思っています。

52ヘルツのクジラたち

いくら多様性という言葉を使っても、結局私たちはそれぞれ異なる周波数帯で会話しているのだと思います。帯域ごとの分断も、帯の外で孤独な叫びがあることも忘れそうにもなります。優しさや寛容さはもはや様々な混線を避けるための無関心と読み替えられつつあることを踏まえた上で、私たちはいかに踏み込むかを試されているのだと思います。善性の実践が多義的になった時代を反映し、想像・共感・実践のあり方を問う作品でした。 読了後、無性にブルーハーツを聴きたくなりました。愛じゃなくても、恋じゃなくても、君を離しはしない。

マイ・ウェイ

お笑いコンビ・東京ダイナマイトのハチミツ二郎氏の自伝です。
M-1ネタもコントも好きだったのですが、その風格・カリスマ性の背景はあまりにも壮絶でした。現在進行形のこの人生から綴られた手記には迫力さえあります。僕もニューロティカを聴き始めました。
僕はパンクが好きでよく聴いてきましたが、パンクの実践には程遠い人生です。それでも、人生を懸けてパンクを実践する人たちへの憧れが、僕のパンキッシュとは程遠い些細で姑息な人生を、少し挑戦的にさせてくれたと思っています。

社会

ハマータウンの野郎ども

いわゆる<野郎ども>は落ちこぼれるのではなく、制度を超越した文化によって自主的に肉体労働を志向し、階級が再生産されるという指摘。古典であり、内容は多くの書評を見てもらえばいいのですが、臨場感・躍動感のある記述は読み物として面白く、パンクやロックを体現した(ように僕には見える)クールな彼らの思考を追体験できる楽しさがありました。僕はlads<野郎ども>に羨望の眼差しを注ぐ自覚的ear'oles<従順な子>なのです。

会社はこれからどうなるのか

法人名目説・実在説的な会社の在り方を述べ、日本型資本主義の凋落と、これからの展望を述べています。
そして第二次産業革命にオーバーフィッティングした日本型資本主義ですが、ポスト産業資本主義たる知識社会では、「差異」こそが利潤の源泉であり、これを実現するためには組織的な力が必要になるため、組織特有の人的資源蓄積を促す日本的経営・雇用慣行にも合理性があると指摘しています。
「会社とはなにか・どのように扱われてきたか」「資本主義の変遷」がわかりやすくまとまっており、その帰結として「会社がどうなるのか」が明快に論じられており、読みやすいです。読み始めたのは偶然ですが、知識社会にフィッティングして創設された知識科学研究科を前身にもつ領域にいるので、こういう議論はぜひ知っておきたいですね。ディスカッション系の授業が多いので、本書を批判的に検討する授業があったら面白そうだなあとか想像しました。

おわりに

今年は小説・エッセイが多めでした。どれも救いを求めて読みました。ここで取り上げなかった本にもたくさん救われました。薦めてもらった「天国はまだ遠く」とか、本当にしんどい時に読んで、なんとか生き延びさせてくれたと思ってます。「こころ」を再読しなきゃいけなかったあの時の自分も、時の流れを経て少しずつ変わろうとしています。本当はもっともっと、色々な小説を読んで、想像を膨らませて感動したかった。来年は心おきなく読みたい。読めると信じて、目の前のことを頑張ります。
資産形成・運用関連の本は今年も色々読んだのですが、正直新たな知識を吸収する余裕がなく、これまでの知識を焼き直すような基本的な書籍を読むことに終始してしまいました。知っていることを読んで安心していただけです。これまでに得た知識で、ある程度運用方針が固まってしまったところもありました。来年は経済とか金融のもっとマクロな勉強をしたいと思います。
他にも読んでよかった本はたくさんあるのですが、今年はじっくり振り返る時間がなく、表紙を見て内容を思い出せた本のみになりました。その本に何が書いてあったかを思い出せなくても、内容は自分の行動を変えているはずです。来年は好きな分野の本を制限なく読めるであろうことを夢見て、もう少し頑張ります。
2023年末なのかと、なんだか驚きました。あっという間の1年でした。しかし気の利いた挨拶を考える時間も憚られる今日この頃です。よいお年をお迎えください。僕もきっと迎えます。

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