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20240414 20年前の戸山公園での野外劇の話。

「こんど新宿区の戸山公園で野外劇をやるのです」ということを百景社の志賀さんにお話ししたところ、「前にも戸山公園で演劇をやった話を聞いたことがあるよ」とのことで、どうやら20年前にも戸山公園で野外劇が行われていたことがわかり、よくよく話を聞くと16日間で32演目、58公演という規格外の演劇祭が早稲田の街で行われていたということがわかってびっくりしてしまった。

▼不勉強ながら私自身も戸山公園の担当者の方からも、あるいはいま東京で演劇をやっている人からもそういう情報を聞いたことがなく、ちょうど20年前くらいだとインターネットも黎明期で、ツイッターなどのSNSもなく人々の記憶からすっぽりと抜け落ちてしまっているものらしかった。

2004年の第11回BeSeTo演劇祭のフライヤー。

▼「16日間で32演目、58公演」というそのスケールも、一つの街の中で大学や公園や劇場を巻き込んで複数の会場で行われたというその無茶苦茶な企画をぶん回していた人たちがいたという事実も、2024年の私からするとにわかに信じがたい。志賀さんからもらった演劇祭のフライヤーをみると、後援に外務省のクレジットが入っていて「元気だな!」という勢いを感じる。

▼私たちが今回上演を行う野外演奏場跡地はその時は会場になっておらず、戸山公園のもっと広いグラウンドに無茶苦茶大きい円形劇場が建てられていたらしい。かえすがえすもちょっとにわかに信じがたいスケールである。

戸山公園の早稲田口すぐのグラウンドに建てられた円形劇場。スケール感!(撮影:平賀茂)

▼志賀さんからお話を聴きながら、「ああ、人間というのはみんな似たようなことを考えるものなのだな……!」という感慨を得た。「この場所でこんな演劇祭ができたらおもしろいのではないか」ということはすでに先人たちが考えていて、それを現在では想像できないようなスケールで達成してしまっているのだった。こうなってくるともはや古代の遺跡を発見して息を飲む考古学者のような気持ちになっていた。

▼20年の時を経て、今一度戸山公園の野外演奏場跡地に演劇を立ち上げようとしている。単にスケールや規模感でいえば先人には遥かに及ばない。とはいえ東京の状況もこの20年の間で大きく変わった。そこで演劇をやっている人たちもそのほとんどが入れ替わってしまった。単に先人たちの足跡に憧れて真似をしようとするのではなくて、今の自分たちの目の前の状況をよく見つめて、本当に必要な場所を想像して今の自分の演劇祭という場を立ち上げていきたいと思う。

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