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🌸老舗旅館6代目女将になって🌸よっつめの話し🌸

先日のブログの続きで、女将としての戦いのはじまり、の話し。(写真は、むか〜しの私、、、)

なりたて女将は、社長のサポートを受けながら
まず労務管理、給与管理についての改善のために、
必死で学びを深めて、どのようにしていくことがベストなのか、
日々仕事に向かっていました。
(この頃は、約15~20年前ほどなので、様々な価値観や環境が現在と違うことをご了承くださいませね。現在はしっかり行われています。)

当時の社員からすると、
今まで平凡に何事もなく毎日が過ぎていたのに、
新しい女将が来た途端、
あれこれ指示されたり変えられていくことは、
とても嫌なことだったと思います。
特に、仕事の方法や時間、給料に関しては、
彼らにとっては死活問題ですもの。
それでも、この改善を「今やらなければ、いつやるのか」と自分の信念のもと
実行するタイミングを熟慮して、社員に説明する日がきました。

社員は、「何をやり始めるのだろう、、」という不安そうな表情をしながら、広間に集まってきました。
まずは、新たにした就業規則の説明に始まり、
その内容に基づき、現在までの仕事の方法や時間や働き方を改善していくためのはなし、
もちろん、その中には、給与面での変更も盛り込まれました。

社員にとって、マイナス面と感じるものについては、
もちろん不満が噴出するのが当然。
勤務表の作成については、ベテラン勢が不満タラタラ、、、であるのは、想定内のこと。
勤務時間の正しい運営方法についても、
現代に見合った働き方にしていくことを伝えていく。
遅刻早退の処理の仕方、欠勤公休、有給や忌引休暇の違いや申請の仕方、
などなど細かい説明をしても、なんとなくわからない感じの表情。
全ての手続きには、届書などの書類が必要であることには、
これまで書類など無い「なんとなく、、、」内々に許されていた人々、
特にベテラン勢からの反発がありました。
だって、カレンダーに希望の休暇を書き込んでいく方式は、
ある意味、偉い者順であり、早い者勝ち、みたいなもので下から、反発は当然です。
それでも、「変えてくてれ良かった」と感じてもらえたな、と
思えるような表情の社員がいることに望みを託しました。
自分の意思とは無関係に、環境を変えられるのは、気分の良いものではありません。
昔ながらの方法で「得をしていると感じている人」は、不満に思うのは当然です。
しかし、「得をしていると感じていない人」にとっては、
「平等感」を感じ、納得してもらえるはず。
いつか、「変革」「改革」「改善」をする会社への期待を持ってもらえると信じて、
丁寧に説明することを必死で行いました。
わかりやすい言葉で、メリットとデメリットがどれくらいずつなのかということも含めて、
社員一人ひとりが、少しでも理解してくれるように、と願って。

給与面での不満(前述の昔ながらの手当の廃止)を補うために、
休日を4日しかなかったものを当時の法定通りにしたことで、
休日増加を感じてもらえることに。
休日が増えるということは、
1日あたりの賃金や時間給が増えるということにもなるので、
そのことについてもメリットと感じてもらえるように。
有給休暇も法定通りにすることで、多い人は倍にもなりました。

そして、手渡ししていた給料を口座振替にする手続きの話しに。
給与手払いは、紛失してしまうトラブルや、準備する時の人的ミスや人件費などなど、マイナス面が多いのです。
正確に安全にさらに個人情報保護のためにも口座振替にすることになりました。
しかし、当時は現金主義の人が多い時代であり、
さらに年齢的にも割と高めであることで、ATMには馴染みのない人もいて、、、。
銀行口座なんて、、、という感じの社員も多く「面倒である」という雰囲気。
そこで、旅館までの通りにある郵便局口座(現在のゆうちょ銀行)を指定することで、現金引き出しの便利さを説明。
現代のようにコンビニのATMは存在していないし、
地域がら、銀行よりも郵便局がそれぞれの町に存在しており、便利でありました。

その他にも、細かく決まり事や約束事、ルールづくりをしました。
一定のルールに従い、社員が一定に満足できる会社になりましょう。
誰でも気持ちよく納得のいく環境を作ろう。
そんなメッセージを伝えて。

おしまいに、
私は皆にひとつだけ質問をしました。
「私たちの月々のお給料は、誰からいただいていますか?」
この質問は、とても大切なことであり、考え方を変えて欲しいと願うことでした。

社員は、お互いに顔を見合わせて、
ボソボソ、、、、と何かを呟くのです。
「社長?」と言ってみたり「会社?」と言ってみたり、、、。
そのうち、黙ってしまって。。。
「私たちのお給料は、お客様から頂戴しているのですよね」と。。。
社員は、きょとんとしていました。
なんで、お客様?というような顔。。。。
確かに、社員が得る給料は、月々会社からの名前が入った袋に詰められて手にします。
では、その会社が得る給料の元は、どこからなのかしら。。。
お客様が宿泊して、チェックアウトの時お支払いくださっている「宿泊代」です。
みんな、一泊の宿泊代がいくらか知っていますか?
おいくら出して、ご宿泊くださっているか、解りますか?
もしあなただったら、同じ代金をお財布から出して、家族みんなで宿泊しに来てくれますか?
皆さんにとって、とても大切な給料。
お客様にとっても、大切なお給料なはずです。
その大切なお金を我々にお支払いになり、
お泊まりにいらしてくださっているのですよね。
この会社は、その大切なお金をお預かりしていて、
その一部が、私たちの給料になっているのですよね。
ですから、
「お給料は『お客様』から頂戴している」のです。
お給料を受け取った時には、
もうお客様にお礼を伝えることはできません。
だからこそ、
その日その日にいらしたお客様に対して、
今自分のできる精一杯のことをすることで、
感謝の気持ちを伝えていきませんか。
1日1日、お客様にも仲間にも感謝しながら、仕事に向き合って参りましょう。

説明が終わり解散すると、思いの外「笑顔」の溢れる数名の社員。
拒否反応を示した社員もいましたが、
なんとなくホッとした感じがありました。
私は、汗びっしょりになっていたけど、
なんだか、ちょっとだけ、前に進めたような感覚。


やれやれのひととき。
安堵したのは、つかの間、、、。
またまた、問題勃発。。。。
その話しは、また後ほど、、、、。


🌸ブログ更新しました🌸
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