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平凡女の人生衝撃急展開③~恐怖のMRIと対峙した話~

私は、閉所恐怖症である。

幼少時代にトイレに閉じ込められたことが根深い。
完全なるトラウマ。

おまけに暗所も苦手。

知っている人は知っている。
漫画「うる星やつら」に出てくるお金持ちイケメンキャラ・面堂終太郎のお決まり文句「せまいよ、くらいよ、こわいよ~!!」を地でいってます。(脱線するけど、面堂の妹・了子がサイコっぽくておもしろかったんだよね!読みたくなってきた)


そんなわけで、事前情報から察するに私にとってMRIなんて地獄中の地獄。絶対MRIに入らない人生にするぞと決めていた。


……なのにだ。


予想より50倍速くらいの勢いで、その時はやってきてしまったのである。


クリニックで90%悪性と言われた数日後、乳がん治療をしている区内の大きめ病院に行った私。

「前回よりもっと太い針を使って、組織をとります。」

「はいっ」(心得てます!)

「その後、別の日にMRIもやりますんでねー」

「・・・・・・」(ぎゃあああぁぁぁ)

先生ってば、なんて軽く言うんだ!
心の叫びが顔に出て、ゆがんじゃってたかもしんない。

しかも事前の準備が意外と面倒くさいのよ。MRI。


それでは第3話、始めます。

皆さんがMRIを受けない人生になることを願いながらも、ご参考までにどうぞ。


30年前の淡い思い出


豪雪地帯である実家地域は、冬になると歩道は雪で埋まり、人は車道を歩く。人も気をつけるけれど、車もだいぶ徐行運転してくれていた。

それが当たり前の地域。

だが、いかんせん山の中。
街灯がない道路の方が多い。長い。いや、ほとんどそれ。

あれは、高校卒業間近の冬の夜。
ツレ2人と横並びで、暗ーい車道を歩いていた。

周りが真っ暗な分、星がほんとうに綺麗だった。
雪深くて大変だけど、自然がとっても豊かな土地。
その中でも、満天の星空は自慢のひとつ。

「星に手が届きそう」とか「星が降ってくるみたい」っていう表現が多いけど、宇宙の規模感がわかるくらいの星空は、ちょっと恐怖を覚える。

その日も3人で「星がきれいだなー」と空を見上げながら歩いていた。
はっきり覚えている。


その満天が、ぐるりと1回転したところまでは。


気づくと横たわっていた。
アイスバーンになった道路に、私は横たわっていた。

ちょっと離れたところでツレのふたりが私の名前を呼んでいる。
ふたりの足しか見えない。

車のライトがチカチカしてるな。
あれ?車って、通ったっけ??

ふわりと誰かに抱えられて、車に乗せられた。
ツレも一緒に乗った。これから病院に行くという。


「???なんで???なにがあったの???」
「車にはねられたの!!!」
「誰が?」
「アンタが!!!!!」


一部始終を見ていたツレの方が、パニックになっていた。
動揺と不安と心配が、「???」になっている私を見てさらに膨れ上がっていたに違いない。

後で聞いたところによると、私をはねた運転手さんが迅速に車に乗せて病院に連れて行ってくれたようだ。

後日、この辺りは笑い話として成仏できた。
笑って話してくれたツレたちには本当に感謝。

そんなわけで、私は高校の卒業式に左腕を包帯で吊られた姿で登場し、周りを少しだけざわつかせた。

左鎖骨骨折というおまけ付きで。


記憶と電話と漫才と



「で、骨折とかしてね、金属プレート入っていると熱くなっちゃうから受けられないの。MRI」

「金属プレート・・・」

テキパキ看護師さんからMRIの注意事項などの説明を受けていた。
予約時に必ず受ける講義らしい。

してる。骨折。
でも、プレート入っていないと思うんだけどな。

「骨折はしたんですけど、プレートは入っていないと思うんですよね~」

私の回答が曖昧だったためか、

「病院に電話して確認してみて」 と一蹴。

「30年前ですよっ!?」

「でもね…個人情報だから、病院から電話しても教えてくれないのよー」

答えになってない気がするけど。


「で、狭いところは大丈夫?」

「苦手です!こわいです!」

「ちょっとの間だから、がんばってー」

なんで聞いたんだ!!


30年前に入院した病院なんて、どこか知らないし…と思って、その町の病院を検索したらひとつしかなかった。

「ここかいっ」

とりあえず電話してみる。
3コールくらいで、やさしそうなおじさんが出た。
経緯を話し、なにか残っていないかと尋ねてみた。

「お、覚えてないんですかねぇ…??」

覚えてないから電話してるんだけどね。

「すみませんっ。でも、女の子だからって先生が傷を残さないようにしてくれたかも」

「10代だったらね、骨はくっつくから多分プレートとかは入れない手術をするはずだよ」

懐かしい訛りが混じる。
そうか。そうだったかも!ナイスおじさん!!

「そんな気がしてきました!ありがとうございました。」


結局、患者の資料は10年前までしか残していないとのこと。
そりゃそうだよ。
それをそのまんま、現在の病院へお伝えする。

「あ、そうなんですねー。大丈夫だと思いますー。ま、熱くなったらブザー押せばいいしねー」

電話させといて軽いな。

でも、私は金属プレートが熱くなる前に、恐怖でブザーを押すかもしれない。


時が来た



MRIの受付は、爽やかお兄さんだった。きゅん。
担当のお兄さんも、やさしさそのもののあったか系。

撮影するのはおっぱいなので、実際MRIの中に入るまでの処置は、さっぱり系おもしろ姉さんだった。お話、とてもなごんだよ。ありがとう。
(ちなみに、このお姉さんはMRIへっちゃらタイプで、爆睡しすぎて逆に動いてしまい怒られたという強者。そのメンタルちょうだい)


とにかく「動かない」「ドキドキしたらブザー」これのみ。


しかも途中で、体内に造影剤なるものを注入する。そのための針を腕に刺す。人によっては痒みがでたり、気分が悪くなったりするらしい。その時もブザー。

そういうこと聞いちゃうと、気分悪くなるんだよなぁ。
本当にメンタルが豆腐&米粒なみでいやになる。


MRIは仰向けのイメージだったけど、おっぱいはうつ伏せ。カップ状の穴におっぱいが入るようにして、後ろ手に縛られる。(書くとやらしいな)

顔は、完全にマッサージやさん。
うつ伏せの時に使う、顔の部分が空いている枕みたいなやつ。

30分くらい動けないため、少しでも痛いところはないか、違和感がないかとお姉さんが体勢を微調整してくれる。

体は大丈夫なんだけどね……顔が枕のサイズに合っていないのか、ほっぺがギューンって上に上がったままなのよ。でも言えやしない。そんなに痛くはないし。若干、自分がおもしろいだけ。


そうそう。MRIの特徴のひとつに「バカでかい音」がある。
工事現場みたいって経験者が言ってたような。
それをなんとかするためなのか、クラシックが流れるヘッドホンをしてもらったんだけど、結論、まったく意味がなかった。


そんなこんなで、MRIに入室。
視界は、マッサージ枕から覗く薄明りが差し込んだMRI台の床面。


・・・・・はじまる・・・・・・


思ったと同時に、ぎゅわんぎゅわんぎゅわん と本当にはじまった。

(めっちゃデカい音!!うわーすげー!!)

そう。私は、最近のライブハウス通いで、デカい音には慣れていた。というか、逆にちょっとテンションが上がってしまった自分がいた。


ズンタン!ズンタン!ズンタン!
(え、ドラムの音に似てる。リズム刻んでるぞ!)

ウイーン!ウイーン!ウイーン!
(このサイレンみたいな音、どっかのライブで聴いたぞ!)

ウワン!ウワン!ウワン!
(うーん…この音はあんまり好きじゃないな)

オイ!オイ!オイ!オイ!
(パンクじゃん!!!)


音の評論しながらリズムとってたら、あっという間に20分が経過。


「お疲れ様でーす。ちゃんとキレイに撮れてますよー。ご協力ありがとうございまーす」

「あ"い」(ほっぺがギューンなので、うまく声が出ない)

「これから、造影剤入れますんでね。なにかあれば、ブザー押してくださいねー」

「あ"い」


そうか。これから異物(じゃないけど)が体に入ってくるのね。

・・・しばし待つ・・・が、なんともない。針が刺さっている腕がじんわりあったかかっただけ。私の体、造影剤も問題なし!

そしてまたライブが始まり、オイオイ言ってる間に無事終了。


「お……終わった……」


なんて達成感なんだ。
地獄と思っていたことを乗り越えた瞬間だった。
そして、すっかり忘れていたが、金属プレートは入ってなかった。


ってか、MRIライブ感えげつなー!!!


これが、私のMRIの感想です。
ご参考までにどうぞ。


この2日後、私のポッコちゃん(悪性のとこだけど、ポコッとしてるから。悪くいうのもなんなので)の真相が明らかになる。どのレベルで、どんな性格なのか。ポッコの性格ひとつで、今後の治療方針も変わるのだ。

それはまた、第4話でお話します。

この間に出会った言葉シリーズ。(第2話は感情的すぎて忘れてました)
「停滞もギフト」
このギフトを、私は今後に活かします。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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