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突発事故の時、無意識に行動できる強み

他人の目

私は子どもの頃から常に他者の目を意識する性格だったので、この性格を一生、背負っていくのかと思うと、情けなくなっていました。

それが顕著に現れるのは、自分の思い通りにいかなくなった時。ひどい時は街を歩いていても、無意識に人と目が合わないように視線を下に向けていました。

うつむき加減で歩く自分を想像すると、通行人が私を見てひそひそ話をしているように感じ、ここまでくると病的です。

そんな私ですが、40代になって、仕事に誇りと自信が持てるようになりました。しかし、今度は自己肯定感が高くなり過ぎてしまい、自分を認めて欲しくて目立ちたがり屋なっていました。

どこまでも両極端なゼロ百思考は続きます(笑)

私のように人目が気になるタイプは、人の行動も気になります。
駅のホームで電車を待っている人や乗客の様子が、昔とずいぶん変わりました。

以前は、本や新聞を見ているか寝ているかと相場が決まっていたので、人間ウォッチングをしていても楽しかったのですが、今は、ほとんどうつむいてスマホを見る人ばかり。

見ている内容は違っても行動は同じ。批判しているわけではありませんが、最近のデジタル化とAIに進む社会は、昔、映画で観た近未来のワンシーンに自分が入っているようで気持ち悪くなります。

基本、人は集団を好むので一度、集団の中に入ると無意識に行動を共有します。その方が安心で安全だからです。もちろん私もその中のひとりですが、それに反発したい自分もいます。

無意識の行動

以前、舞鶴で相撲巡業が行われた時、土俵の上で市長が倒れるというハプニングが起こりました。周りにいた男性は突っ立ったままでしたが、女性はすぐに土俵に上がって心肺蘇生をしていました。

あれは看護師だから職業的にできたと言う人もいます。でも近くには医師もいたそうですが、即座に行動できたのは女性だけでした。これは私の持論ですが、その行動の違いは、男性脳と女性脳の違いだと考えます。

一般的に男性は、物事を解決する目的脳。女性は、声を出して共感し合う共感脳と言われています。つまり、突っ立っていた男性は、目的を探している間に様々な感情が入り混じり、脳がフリーズ状態に陥った状況。

一方、女性は声を掛け合って土俵に上がったと聞いています。あの光景は、男女の脳の違いを垣間見たような気がしました。突発的に起こった出来事で「無意識にとる行動」は、人によって違います。

職業、性別、性格、経験、体験、知識、トラウマなど、何が作用するか分かりませんが、突発的な行動を批判するのは、危険を感じた時に「逃げるな」と言うのと同じかもしれません。

私は救命講習を受け、自分自身も心肺停止を体験していますが、人が目の前で突然倒れるという状況に出くわしたら、直ちに救命措置がとれるかというと自信がありません。

では、どのような出来事だったら、すぐに行動できそうかと想像してみました。そう私にも1つありました。もし、日常の生活の中で建物に関係する突発的な事故が起こったら直ちに行動できるでしょう。

私はそれを阪神大震災直後の現場で体験しました。被災建築物応急危険度判定の業務で、二人一組に分かれて現場に入りました。まだ余震がある時だったので、崩れ落ちる建物もありました。

危険な状態の自宅に入って家財を取り出している住人に遭遇しました。

私たちはプロなので直感で危険な建物が分かります。直感には理論的根拠がないので、家財を取り出す住民に対して「危険です!」と言っても説得力がありません。

何度か住民の方と口論になったことがあります。あの現場で大きな怪我もなく行動できたのは、職業上の知識と経験とプロの直感があったからですが、今思えば無意識化の行動だったので業務中のことはあまり覚えていません。

しかし、地震の恐怖の感情は後から湧き出てきます。それはトラウマになっていますが、建物の危険度を察知する直感を身につけることができたのは、地震大国の日本においては、強固な盾を手に入れたと思っています。


【小さな実践】
突発事故で、あなたが直ちに行動できるとすれば、それはどのようなことかをイメージしてみる。あればそれはあなたの最大の強み。

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