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コンパクトカートップの走り ホンダ フィット(4代目1.3Lガソリンモデル) 試乗レビュー

今回は、フィットのガソリンモデル(ベーシック)に試乗してきた。過去にeHEVのリュクスグレードもレビューしており、サイズ感や価格、走りの質感の総合力において世界で一番の車と称するほどに出来のいい車だった。
そのベースモデルに当たるガソリンのベーシックで、前後のライト類が変わっていたり、もちろんエンジンもeHEVは1.5Lなのに対して、ガソリンは1.3Lになる。マイナーチェンジで1.5Lに変わったが、そちらは走りに何かしら変化があるのか非常に楽しみである。

内装はやはり上位グレード推し

画像提供:@letit_roll0613 さん

結論から言ってしまうと、走りの質感を考えると内装もやはり上位グレードを推したいと思ってしまうのが正直なところである。
以前内装に関してはやっているので、今回はベーシックとリュクスの違いについてやっていこうかと思う。

まず一番違うのはステアリング。ホンダセンシングはベーシックグレードでも装着されているが、左側がなんとも寂しい。ナビの操作関連がなくなっただけではあるが、印象は相当変わる。
また、シートヒーターとステアリングヒーターはない。エアコンもオートではなくオートのフリをしたマニュアルエアコンで、見た目の質感はかなり高いが、使い勝手は劣る。

また、メーターに関してもeHEVではバッテリー残量になっている部分が水温計になっている。今日日のお手頃実用車に水温計がついているあたりがホンダを感じる。

走りの完成度はトップクラス

このフィット、あまり世間からの評判は芳しくないように感じるが、個人的には現行で販売されているコンパクトカーの中ではトップの出来だと感じているくらいいい車である。というのも、トータルバランスが非常に優れており、すべての人におすすめできる車を聞かれたら、フィットと答えてしまうくらいのいい車だと感じている。今回はeHEVではなく、電動という名の高級感で粉飾されていないぶんの素が見えるガソリンモデルでその基礎能力の高さを紐解いていこうと思う。

サイズ感が非常にいい

後述していくが、乗り味に対してサイズがかなり小さい。つまり、この乗り味をこのサイズで実現するなんてすご!ということである。

車体サイズが小さいことは正義だと感じる。大きい車でも車体サイズが小さく感じる車も存在するしそのような車が大半になってきてはいるが、やはり駐車の際など、マスに収める時には物理的な大きさは感じてしまう。フィットであれば5ナンバーサイズなのでその心配はかなり少ないし、見切りも基本的によく、巷で言われている通りAピラーはかなり細く、見える範囲はかなり広い。左前はスランとしたボンネットとサブAピラーとの干渉で比較的見えにくい方ではあるが、基本的に見切りは化け物級にいい。

狭い道を苦労せず駆け抜けられるのは日本の道にとっては最強はないだろうか。ただ、軽はちょっとなあ…という人にとっては、このクラスのコンパクトカーはかなり重要なセグメントになるだろう。

ステアリングには若干の雑味が

ステアリングには若干の雑味がある。これは、ガソリン車であることの弊害とも言える。もちろん普通の車としてみれば充分な質感ではあるとかんじるが、VGRつきのハイブリッド車と比べると回した時の滑らかさはかなり劣る。ステアリングからの情報も、16インチであること、電気モーターで駆動するためエンジンの振動をより抑えられることが手伝っているのか、eHEVのVGRつきのモデルの方があからさまに鮮明である(VGR=可変ステアリングギアレシオはハイブリッドの16インチのみ採用、詳しくはメーカーHPにて。ちなみにメーカーHPには「操舵量に応じて最適な切れ角を提供する」と書いてあるが決してそんなことはなく、中の人的にはガソリン車の方が自然。詳しくは後述の通り。)。

ちなみにVGRの方は切った量に比例して切れ角が増して行くわけではなく、それ以上に反応してしまう感があり、普通の車の感覚でハンドルを切ると思った以上に内側に回り込んでしまうような感覚がある。慣れの問題ではあるが、最初は少しびっくりするという人もいそう。
ただ、総合的にみて15インチのグレードより16インチのグレードの方がステアリングの印象はいいので、買うなら16インチのグレードを選択することをお勧めしたい。

優秀なエンジン

ホンダと言えば、エンジン。もちろんこのフィットのエンジンもそれに漏れることなく、排気量なりの優秀さを見せてくれる。
回転数変動はもさっとしており、出足も遅いが、これは素の排気量の問題だろう。素早く、いいペースで走れるとまではいかないが、普通の道で、普通に使う分にはこれで充分である。ヤリスの1.0Lの3気筒の方が警戒感は強いが、こちらはひたすらに上質なマイペースタイプといったところで、CVTもエンジンのまったり感に合わせたような滑らかなフィーリングになっている。
Nboxなどの他のホンダ車にもあるような特性だが、他社のCVTだとギクシャクするような微低速からの動きだしや再加速がスムーズに行えるのはストレスフリーでいい。

シエンタの1NZではトルクの谷があり、2000回転から3500回転までの日常回転域が絶望的にスッカスカだったが、そのようなクセもなく、運転していて非常に楽である。

ブレーキとアイドリングストップはさすが

実はこのフィットで一番ビックリしたのはアイドリングストップ。セルを使う通常タイプなので、振動こそあるが、動きだしがめちゃくちゃスムーズで、ブレーキを離してから動き出すまでのラグが全くない。デミオやMAZDA3に匹敵するくらいのスムーズさで、マツダ以外でこのアイドリングストップを味わえるのがとっても意外。あんまり言われてないが、セルを使っているアイドリングストップは実はホンダも優秀なのかもしれない。

ブレーキタッチに関しても自然で、こちらはマツダのようにとはいかないが、初期から効きすぎることもなければ、最後にブレーキを抜くときもショックなく止まることができる。普通の人が普通に使う分には充分と言える。

まとめ

ハイブリッドを以前レビューした際にも、その基礎能力の高さついては触れたが、ガソリン車でもその基本性能の高さは感じることができた。普通の足として使うには十分どころか、これだけあればファーストカーにもってこいの一台だろう。荷物も後席のチップアップのおかげで高さのあるものも積めるし、大人が後席まで使っても余裕を持って移動できる。
走りの質感もコンパクトカーでは唯一のものがあったが、これだけの実用性まで持ち合わせているとなると、万人におすすめできるコンパクトカーはこのフィットさんになるだろう。

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