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無料記事vol.8 『鑑賞者の記憶にアクセスする』

ゴキンジョコミュニティ(http://qr.paps.jp/hLKv2) 内で、
週2回更新している『 絵について 』『 仕事について 』の記事を
note / 定期購読マガジン【 絵について表現について。】で掲載しています。

その中から、いくつか無料の記事を公開しております。
どんなことを書いているのか、を見ていただける機会になればと思います。
読んでみていただけたら幸いです。

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絵について

鑑賞者の記憶にアクセスする

( 2022・12・31 掲載 定期購読マガジン【 絵について表現について。】より)

移動の電車の中でこれを描いてるヒロです(新幹線揺れない)(地方に向かう在来線は特急でもすごい揺れる)(今は在来線なので揺れの中でのタイピング)


何かを作った後って「誰かの目に触れる」ということが発生します。僕は「作る」という行為は「この世界に事実として出現させる」ことだと思っていて、この世界に出現したものはいつか誰かの目に触れる可能性があります。


僕は「誰かに見てほしくて」何かを作ることをしています。毎週の練習スケッチは誰かに見てもらう必要は本当は無いんだけど、でも「こういうことをしてる人、考えてる人です」という前提を共有するために練習スケッチも公開しています。

いざ作品を誰かに見てもらいたいとしても、何を考えてるかわからない人の作品に興味を持つことが僕には少ないので、僕が作ったものに興味を持ってもらいたいということもあって、普段考えてることさえ知ってもらいたいと思っています。(知ってもらいたい、見てもらいたい理由っていくつもいくつもあるんだけど、他人に言えるものも言えないものもあります)。


「誰かに見てもらう」時に「作品」には鑑賞者に感じてほしいことがあるはずです。「感じて欲しいことを感じてもらう」にはその為の技術があって、とても大きな要素として「鑑賞者の記憶にアクセスする」ということがあると思っています。


今日は簡単な例でスケッチを見ながらそのことを共有できたらと思います。 「良い作品」って人それぞれに感じる「良い」があって、そういったことに繋がるお話です。


▼ 描いてないことで描いてある

先日スケッチ配信した絵にこういった絵があります。

コードが結んであるイヤホンですが、これを描こうとする時に「ちゃんと描くぞ」って意気込むほど「コード一本一本」を全部描いてしまいます。

これはまだコードが少ないから良いですが、例えばもっとコードが多かったり、麺類の食べ物を描く時とか、全部のコードを描こうとするとものすごい数の陰影が画面内に出来上がるので結果的に見づらい絵になります。


なので見やすい絵を描くとしたらコードを「全部描かない」。(もしもコードの「複雑さ」を描きたい場合は一本ずつ描くのもあり)。


絵の画面左側を見るとコードの影だけ描いてあります。床と同じ色だけど、そこにコードがあるのはわかる。

鑑賞者にとっては「見たことがあるもの」なので、「コードが繋がっている」というのが「経験(記憶)」からわかります。

だとしたら、もしかしたら影を描かなかったとしてもここにコードがあるのが鑑賞者には伝わるかもしれない。そうすると情報を簡略化(デザイン)して絵を作ることができます。


これは人間が同じ環境で生活している、同じ情報(記憶)を共有しているから可能になることで、例は簡単なスケッチですがもっと複雑な作品、例えば映像ストーリーにも応用できます。


▼  作品に感情移入する、心を寄せる

例えば「鬼滅の刃」で早い段階から炭治郎の旅の目的に納得できます。家族がみんな殺されてしまって、生き残った妹を救う為に旅に出ます。このことに疑問を持つ人はあまりいないはずです。

それは「家族」という単位が人間にとっては身近なもので、家族を大事にするというのは実体験だったり、経験がなくても知識として「人は家族を大事にするんだ」ということを「記憶」しているから炭治郎の行動に違和感なく物語に集中することができます。


こういった「鑑賞者の記憶を借りる」ことで作品を見てもらった時に感じてもらいたいことを感じてもらえる可能性が上がります。


絵一枚、作品内に載っている情報量には限りがあります。でも鑑賞者は無数にいてその記憶の数も無数にある。だとしたら「鑑賞者の記憶に頼る部分」を作品に入れておくのはとても重要なんじゃないかと思います。それが作品の中にあれば少なくとも鑑賞者は作品に感情移入(記憶移入)できる部分があって、それは心の一部を作品に寄せてもらえる可能性に繋がるんじゃないかって。


技術論って「くだらねー」って思うことがあります。悪いようにとらえると、人の心を操作しているような捉え方ができるから。「マーケティング」という言葉にはそういう意味を感じやすいです僕は。


でも、誰かに心を寄せてもらいたいって思うことは悪いことだとは思えなくて、さみしいから、ひとりだといやで、作品を通して誰かとそばにいることはできるかもしれなくて、それは本当は自分自身のためなんだけど、誰かの為にもなるのであれば、作品を作る理由になるしそれは行動するエネルギーにもなるかもしれないから。


行動する=事実にする
事実にしたら誰かの目や耳に触れることができる。そうしたら近くにいられるかもしれない。

それはとても大事なことで。


今年最後の記事になります。1年たくさんいろんなことを書きました。読んでくれて本当にありがとう。いろんな理由で読んでくれてるんだと思います。僕には記事を書くのにお金を集める為という理由もあるのは本当だけど、でもそれだけじゃなくて、誰かの願いが叶えば良いと思うのも本当だし、近づきたいし、近づいてもらいたいと思ったりします。いろんな理由があります。


健康に生活ができて、人と繋がれて、自分の望みに近づきたい。欲張りですよね。でもみんなそうなれたらいいなって思います。どれかが欠けたらたぶんつらいから、全部少しでも持てるように世界が整っていったらと願っています。

来年もよかったら読んでやってくださいね。
良いお年を。


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