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[旅行記] サイクリング in マデイラ

マデイラ生活の後半では、自転車を借りて島を巡ってみた。

自転車乗りとしては、やはりこの陽気でこの風景のマデイラ、走らないではいられない。

ロードバイクもあるショップだったので、普通ならロードを借りるところなのだけど、正直坂道が大変すぎるのが明らかだったのでe-bikeにする。これまで何回か乗っている人を目にしていて、マデイラの坂道もなんのそのといった感じで軽々と走っていたのを見て、やっぱりこっちかな、と。

天気の心配があったのだけど、南側の沿岸なら今日は大丈夫、という話を聞いてその通りに海岸沿いを西の方へ。滞在しているフンシャルから、とにかく足と時間とバッテリーが許す範囲で西を目指す。

隣町のカマラ・デ・ロボスを過ぎたところで、早速とんでもない坂道に遭遇。いや、ほんとにこれきっつい……。感覚的には15%を超える坂が連続してくること、そしてとにかく平坦な道がないこと。マデイラの地形の厳しさを叩き込まれる。

でも、頑張った後にこんな風景が見られるのであれば、上ってきた甲斐があったというもの。

マデイラでは虹がよくかかる。高い山々から流れ出てきた雲が降らせるシャワーで、ところどころで雨模様。でも、すぐに止むので気にならない。

先日マデイラワインの見学をしたこともあってた、ワイン畑があちこちにあるはずだ、と思っていたけれどこれが意外と見つからない。でも、よくよく見ると実はあちこちにあった。なんとなく気づきにくいけど、ひとつ見つけられると目が慣れてくるらしい。

バナナの樹とワインのブドウの樹が同じ場所に存在している。なんだか不思議な風景。

そろそろ昼になろうかという時間帯、でもまわりは市街地ではなくて周りにはぽつぽつと家があるだけの場所。地図を見ると、もう少し先まで行けば幾つか食事処があるという表示。

この地図のアイコンが、どうにもマデイラではあまり役に立たない。レストラン、という店名だったとしても、スナックくらいしか置いていない小さなカフェだったり、はたまた休業中だったり。実際、数件をパスして、次のあたりでもうダメだったら何でも良いから食べよう、と思っていたところで出会ったレストランは、求めていた通りのレストランだった。

Estação 8 - Bar e Restaurante

表に出ていた今日の一皿の黒板、6.5ユーロという値段が嬉しい。フンシャルから離れているからか、かなり良心的な値段。

注文をお願いすると、鶏肉か蛸か、という2択だったので、せっかくなので蛸をチョイス。飲み物は、普通なら水をお願いするところなのだけど、かなりカロリー消費していたし、この日は暑くて炭酸がほしかったので何があるか聞いたら、地元らしいマラクイア(パッションフルーツ)の炭酸飲料があると。それにしよう。

やってきた一皿がこちら。

これは美味しそう。トマトと蛸のいい香りが食欲をそそる。

お腹が空いていることもあってか、とにかく美味しい。適度な塩加減でしっかりと煮込まれた蛸は柔らかく、トマトや豆と煮込まれているためか味に奥行きがある。ジャガイモもちょうど良い茹で加減。そして味も染みてるのに煮崩れてない。一見なんでもないように見えて、実は凄いことなのでは。

ごはんなのもありがたい。ポルトガルはヨーロッパのなかで一番の米食文化。日本のように粘り気が強いジャポニカ米ではなく、サラサラとした長粒米が主流。日の丸弁当のように真ん中に乗っているのはオリーブで、こんなところでも似ているような、でも梅干しとは違うところになんだか親近感と違和感を同時に感じる。面白いなあ。

見た目以上にボリューム感があって、蛸もジャガイモもしっかりとした量が入っている。これまでとこれからの消費カロリーを補うには丁度いいくらいだ。

マラクイアのジュースも、食後のデザート代わりとして丁度いい味わい。さっぱりとしたパッションフルーツ感が、天気の良いマデイラの風景にはよく似合っていた。

ウェイターさん、ナイスチョイス。
ごちそうさまでした。Muito Bon!!

その後、コレィタ(Calheta)のあたりまで走ったところでそろそろ潮時、ということで戻ることに。最西端まではいけなかったけど、とても楽しく走りごたえは十分にあった。往復で約100km。e-bikeで楽させてもらっていたからこれくらい走れたけれど、普通のロードバイクだとここまで走れるか、ちょっとギリギリなところ。なんとかいけなくもなさそうではあるが、相当にキツかったと思う。

ところで、海外での自転車行で問題になるのが、水をどう確保するのか、ということ。日本のようにコンビニや自販機が並ぶわけでもなく、水道がそのあたりにあるわけでもない、というのが一般的な海外。

なのだけど、マデイラについていえばあまり気にならなかった。30分以内には小さな商店があってペットボトルの水が買える。それも特に高いわけでもなく、1ユーロもしないので150円未満。

そしてなにより、マデイラは公共の水道があったりもする。

これはカマラ・デ・ロボスからリベイラ・ブラーヴァに向かう長い坂の途中にあった水道。この近くだけで3箇所くらいあった。どうやら昔からあるらしいこの水道で水を汲んで飲んだが、特にお腹を壊したりはしていない。

宿のホストたちに聞いてみたところ、マデイラは常に雨水が豊富で、水の島とも言えるくらいなのだとか。日本も潤沢な水で世界から羨ましがられるくらいだけど、マデイラもそれに負けず劣らず、ということらしい。そして水道はしっかりと殺菌処理されているので、普通に飲んで問題ないよ、と。

こういうありがたい場所がそれなりに見つかるのがマデイラ。わざわざペットボトルの水を買わなくてもいいなら、それに越したことはない。


翌日は島の北側へ向かいたくて、山を超えて行こうと考え天気予報とにらめっこ。なんとかならなくもないか、というくらいの予報だったので向かってみたのだけど、標高1000mくらいのところから雨がパラパラと。それくらいなら突っ切ろうかと思っていたのだけど、さらに登るととんでもなく強い風と共に雨がやってくる事態に。前に全く進むことができないような、狂ったような嵐。

ある程度の高さからは突然、嵐の様子に

これが割と普通らしく、山の上の方まで晴れることはなかなかないらしい。これがマデイラのマイクロクライメイト(局所気候)のひとつの姿。偏西風と海流の影響で、北側は比較的寒く雨が多く、南側は山のおかげで乾燥して暖かく穏やか。一番高い山では1800mまであるため、標高の高さによっても気候がぜんぜん違う。

どう考えても自転車で進むのは無謀すぎると判断して、仕方なく来た道を引き返す。島の北側は、また違ったマデイラの風景が見られそうだったので、ちょっと残念だけど仕方ないか。

山の上の天気とはかけ離れた南側の山下

フンシャルから北側には幾つかのバスが出ているのでそれで行ってみるか、もしくは小型のツアー案内が街中には幾つもあるので、それを使うのが良さそう。バスは10ユーロもかからない値段で、ツアーは40ユーロくらいで行ける。フンシャルとは正反対にあるポルト・モニスや、セイシャルのあたりは、一度見てみたかった。

レンタサイクルは2日間で60ユーロ。10000円ほどしたので、正直かなり高いと思う。でも、自転車乗りとしてはやっぱりこの島は走ってみたいと思っていたし、いろいろな風景を見たり実際にマデイラの土地を見てまわれた見てまわれたのはいい経験だった。

感覚としては、伊豆半島に近いと思った。特に西伊豆のあたり。伊豆半島一周=マデイラ半周ちょっと、くらいの感覚。

興味がある方はぜひチャレンジしてみてほしい。

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