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世界各国の食を巡る:中華料理編2

東京近郊で、世界各国の料理を食べようシリーズ。
ことの発端とあらましについては、過去回を参照。

少し間があいてしまったけれど、久しぶりに料理を主な目的で出かけた。先日、中国に出張が多い知り合いから教えてもらった情報で、ガチ中華の流れのひとつらしい。前回、中華料理(この場合は中国料理と言ったほうが正確なのだろうか)を食べて、他にもいろいろと食べてみるのも面白そう、と思っていたので今回も中華料理で。

というのが今回のお店、御徒町の「羊貴妃羊湯館」

「楊貴妃」をもじって羊貴妃というのがなんだか面白いネーミング。名前から分かるように、羊の料理をいろいろと提供してくれるお店らしい。「羊湯(ヤンタン)」というのは文字通り羊肉を煮込んだスープで、中国では割と一般的らしい。逆に日本が羊肉が珍しすぎる、というだけのような気もするのだけど。

店内に入ると、湯気とともに羊のにおいがほんのりと。厨房の奥で羊の肉や骨が大きな鍋で煮込まれてるのが見える。あれがこの店の中心らしい。ほぼ羊肉オンリーの店なので、すべては羊を中心にまわっている。

とにもかくにも注文を。一番の王道である羊湯は頼むとして、羊の正肉のみを使った「羊肉湯」か、内蔵類を含めたすべてが混じった「羊雑湯」かで迷う。いろいろな食感を試してみたかったので、今回は羊雑湯のセットを頼んでみた。

ランチ時かつシンプルなスープがメインということもあって、提供は早い。数分で出てきたのがこちら。

まずはメインのスープ。控えめながら塩味がほんのり効いた、シンプルな羊のスープだ。シンプルなんだけど、羊の匂いの強さはかなりのもの。臭いわけではなくて、でもむわっと羊の匂いが香ってくる。羊の毛の中に埋もれたらこんな感じなのかも?

入っている具はハツやセンマイのような内臓類が多め。コリコリとした食感が楽しい。味はスープの方に移っているからか、肉そのものからは少し失われているけれど、でもやっぱり肉の旨味がある。

セットで付いてくるのはナン、と書かれていたけれども、食べてみるとどことなく「葱抓餅」に近い。葱はそれほど入っていないのでそんなには香りはしないけれど、もちもちの食感といい、やっぱり台湾で食べた葱抓餅を思い出す。

スープの味付けはシンプルな塩味で、これはご主人の出身である大連の味付けらしい。卓上には塩、胡椒、酢、黒酢、辣油が用意されていて、好みの味付けにできる。酢や辣油が定番らしいので、これを使って味変してみると、なるほど確かにこれはいろいろな方向の美味しさが楽しめる。

中華料理では一般的な黒酢。スープの脂身を少しさっぱりさせる効果があって美味しい。結構別もののスープになる感じ。

辣油は特製となっていて、ということは自家製だろうか。あまり辛くないタイプなのだけど、じわじわとだんだん辛味が増していって、口の中を徐々に辣油のコクで満たしていくような、ちょっと不思議な味わい。これ、かなり美味しい。

黒酢と辣油で別物のスープに仕立てて、そこにナンを浸して食べるとまた別の美味しさが。元の味がしっかりしているからか、いろいろな楽しみ方をしてもしっかり羊のスープを頂いている感覚は消えることがなくて、面白いなあ、と思いながら頂いていた。

シンプルなはずの羊のスープだけど、だからこそなのか包容力がとても凄い。奥が深いなあ。

この日はまだ冬の気温でちょっと凍えていたところだったけれど、体の芯から一気に暖かくなった。
ごちそうさまでした。


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