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人的リソース不足時代に活かせる「プロセスを楽しんで引き受けてもらう」という発想

日々聴いている木下斉さんのvoicyで頻出するキーワードの1つが「供給制約」

私の身の回りにも、モノの納期が長くなっているとか、人的リソース不足で仕事が受けられないとか、そういった話が増えてきているように感じます。

そのような状況なので、リフォームといった分野ではプロにすべて発注せず、自ら内製しコストを浮かすとか、あるいはそういった仕事を請け負い稼ぐといった「セミプロ」の時代が来ているそうです。

この放送を聴いて「セミプロの時代」に向けて、個人としてどういったスキルを身に着けておくかという視点がある一方、事業者側も「どこのプロセスをセミプロに依頼するか?」という視点を持つべきだと感じました。

さらに事業者側の視点では、「従来はプロが提供していたプロセスをお客さんにやってもらい、かつ満足度を下げない(むしろ上げる)」ことができると、一石二鳥であり、サービスを提供する上で重要なポイントになると思います。

昨年の旅先での体験や、世の中で取り組まれている事例等を踏まえて、このあたりについて書いてみたいと思います。


グランピング経験で感じた、宿泊事業者のプロセスアウトソース

昨年の春、人生で初めてグランピングを体験しました。
(学生時代には登山などテント泊とか野宿とかよくしていたのですが、グランピングというものは初めてです・・・!)

行先は山中湖周辺のグランピング施設

テントドームの中から富士山も見えました!

ドームテントのほか、個々の居住空間に露天風呂とテントサウナが設置されていたり、キッチン・ダイニングには様々な調理家電が設置されてました。

で、こちら夕食・朝食ともお客さんである我々が調理をします。
調理といっても、予め準備されている具材をバーベキュー用コンロで焼いたり、スープなどを温めたりといった作業です。

こんな具合に食材が冷蔵庫に入っているので、室内のBBQグリルで焼いたり温めて食べます
(ビジョングランピングリゾート山中湖のWEBサイト掲載画像より引用)

朝食も用意された具材でホットサンドを作ったり、スムージーを作ったりといった感じでした。

宿泊施設での食事の提供は、通常であれば①調理→②配膳→③下げ膳・片付けといったプロセスが必要になりますが、今回の旅では予め部屋の冷蔵庫に入っている食材を、お客さんである私たちが調理するという形になるので、宿泊施設にとっては①、②にかかる労力を減らせています。

他方、私たちも良い景色のなかで、ワイワイと肉や魚を焼いて食べるということで、①のプロセスを楽しみながら過ごせ、満足度の高い滞在となりました。

こんな経験を踏まえて、
「これまではプロが行っていたプロセス」を、
「お客さんに楽しみながらやってもらう」という設計が、人的リソース制約があるなか、サービスを提供する上で重要なポイントになると考えた次第です。

インフラメンテナンスの領域でもプロセスをアウトソース

「プロが行っていたプロセス」を「楽しみながらやってもらう」という事例として、「インフラの異常を調べると、ポイントがもらえる」といった取り組みが行われています。

東北電力が行っている実証試験、その名も「電柱聖戦in東北・新潟」

インフラのメンテナンスでは、①目視点検→②異常の覚知→③異常の修繕といったプロセスを経ていますが、人的リソース制約がこのプロセス維持も難しくしています。

 当社は電力の安定供給を確保するため、日頃から東北6県および新潟県に
おける約370万基の電柱をはじめとする配電設備の巡視点検を実施しております。配電設備の巡視点検業務においては、当社社員または委託員が1基ごと配電設備の異常有無を歩きながら確認しておりますが、設備数が膨大なために多大な労力を要しております。

今般、インフラ情報を投稿するアプリ「TEKKON」を利用し、地域の皆さまにご協力をいただきながら電柱の写真を収集し、収集した写真を当社で確認することで、配電設備の巡視点検業務の効率的な運用可否を検証する実証試験を開始いたします。

東北電力ネットワークのお知らせより引用

東北電力の取り組みは、目視点検のプロセスを「市民のスマホ」に置き換えることで、リソースを浮かすことができそうです。

これまで10地域で、配電設備の情報収集に取り組まれ、いずれも設定した日数をすべて使い切ることなく、情報収集が完了しているようで期待している効果は出ているのかと思われます。

生産年齢人口減少で、多くの分野でリソース不足になる

旅行とインフラの維持、2つの分野について触れてみましたが、これから先、生産年齢人口が減っていくことが見えています。

(出典)内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」

従来はできていたことが、人的リソース制約で難しくなるということが、多くの分野で頻発しそうです。

そういった時代を乗り切るために「プロセスを楽しみながら引き受けてもらう」。そんな視点を持ちながら、私も今後の仕事に取り組んでみたいと思います。 

では今回は以上です!


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